287.イルン地方行政の見直し
首都イルンは国直轄で行政を行っており、日々著しく人口増加し発展している中で、
イルンの都市行政業務は国全体の業務を圧迫していた。
そのため、イルンに16の区役所を導入することとした。
287.イルン地方行政の見直し
今現在ここ首都イルンはリール国政府の直轄地であり、
各大臣がそれぞれの行政課題を取り組む、そのような形をとっている。
しかし急激に都市が大きくなり、人口が急激に増え、50万人を超えた。
大臣は当然イルンだけでなく国全体の行政課題をこなしていかなければならない。
ということで、前世の日本の首都、東京で採用されていた「区役所」をイルンの各地区に設置し、
統治をおこなう方式をとることとする。
ある日、忙しい中、各大臣に集まってもらった。
その場で「イルン区役所採用構想」を説明した。
内容としては、
①イルンの各地区を16区画に分け、区役所を設置する。
この区役所の権限は、リール国地方都市とほぼ同等の権限を持たせる。
②政府で働くものを国家公務員、地方で働くものを地方公務員と正式に分ける。
③イルンの上下水道、雷の魔石や電気、警察、消防、公立病院、地方財政と徴税、
地方財政で運営されている公立学校等などの業務を区役所に移管する。
④基本国家の財政と地方財政は分離される。
⑤区役所は地方行政として議会を持ち、区長や議員はその地区に住む住民によって選挙で選ばれる。
等などで、新たに区役所の公務員の採用と議会の選挙を行い、
現在の政府職員でイルンの地方行政業務にあたっているものを区役所の公務員と移籍することとした。
もちろん待遇差が出ない様、給与体制は同じとする。
ハーヴェ「業務移管までの作業が大変ですが、長期的にみると業務量が減り、ありがたいですね。」
ヒシーニ「正直建築認可などあまりにも案件が多すぎたので、区役所組織へ移管できるとなると、
より細かな認可のための調査ができ、小回りが利く業務ができていいですね。」
アリドラ「警察業務も移管するのですか。地域を超えて犯人が逃走した場合、連携が難しそうですね。
区役所だとあまりにも細かい単位なので、警察部門に関しては、
国単位と区役所単位の間にもう1つの組織体制を設置した方がいいですね。
各区役所の警察組織を束ねるような。」
「その辺は任せる。」
トーステン「財政面もわけるとなると、徴税組織、税務署の組織も分けなければなりませんね。
可能であれば、各区役所のバランスシートを監視する組織が必要ですね。」
「原案をまとめて後で聞かせてくれ。」
ホファー「外交の主な業務は政府で行うんですよね。」
「ああそうだ。」
サヴァリアント「諜報としては、各区役所に諜報課を設けて警察と連携を取りながら、テロなどの監視をすれば、
より事前にそのような兆候の情報をつかめます。」
「まずは原案を立ててくれ、後でどうするか、原案を元に話をしよう。」
サヴァリアント「わかりました。」
シモーネ「学校組織も地方に移管するのですか。」
「そうだ。」
シモーネ「各区ごとに教育のばらつきが出るのは困るので、学校で教える教師の指針を立て、
各区役所に伝達する方式をとった方がいいですわ。
あとは、イルン設計事務所やイルン医療学校は国の直轄で残した方がいいですわ。」
「私も同じ考えだ。国立として、イルン工学大学、イルン医療大学、イルン神学大学、イルン農業大学、イルン魔法大学、
イルン冒険大学、イルン防衛大学、イルン商船大学は国直轄で運営していこうと思う。
それと今新設予定の、イルン交通大学、イルン法律大学もだ。
国立で残す目的は、国としてこの世界最先端の学術研究にあたるということだ。」
シモーネ「とりあえず、移管のための方針を決める必要がありますわ。」
ティベリウス「司法として裁判所なども区役所ごとに設定するのですか?」
「いや、しばらくは国直轄でよいと思う。」
ティベリウス「わかりました。」
ディアンヌ「魔法部門としては、特に区役所への移管は関係なく、今まで通りね。」
オスマン「今まで開業した鉄道やバス路線などは区営にするということはないですよね。」
「交通関連も今しばらくは国直轄でいいと思う。区の行政区域をまたぐので。
まして、株式会社化した鉄道やバス路線は関係ない。」
オスマン「わかりました。あと先程、イルン交通大学は国立で継続し、
新規開設を目指すということですが、将来大学に移管し研究を続ける予定の、
ジェット航空機やモノレールなども計画変更はないということですね。」
「ああ。」
どの業務を国直轄で続け、どの業務を区役所に移管するか、
今後各大臣の仕事は少し忙しくなりそうだ。
作者のうしねこです。
今まで行っていた行政サービスや業務に、イルン魔法大学やイルン冒険大学があるというのは、
異世界らしいですね。




