286.相次ぐ開業ラッシュと大規模交通インフラ構築、国の発展
中世の世界から、国王の知識により、急激に近代化が進んでいるのですが、ここは異世界。
モンスターやダンジョンは新しい町の建設の課題の1つとなっている様です。
286.相次ぐ開業ラッシュと大規模交通インフラ構築、国の発展
ラッセルハイムの視察の後、イルンの町に戻り2か月、季節は秋から冬になり、いろいろなことがあった。
まずは、魔法学の権威であるミネアをちょっとしたきっかけからイルンに招くことができ、
弟子であるディアンヌと再会、2人は決して仲が良いという関係ではなかったが、
魔法導力研究所で、いくつかのプロジェクトに一緒に取り組んでいる。
まだ2か月程度ではギクシャクした関係は続いているが、お互い気持ちをわかろうという努力をしている様に思える。
我がディディエ王子とアリシアの中も…進展していると思う、たぶん。
今現在我がリール国とギエフ民国、そしてフクセンブルク公国が統一に向けて動き出しており、
今現在はお互いの関税免除にとどまっているが、国境のボーダレス化とインフラの共用化に向け、定期的な話し合いが行われている。
インフラの共用化とは、例えば、各国を走る鉄道や高速道路を完全民営化(我が国は先に実現をしているが)したり、
電気や水道も国を超えて民営組織で共用管理を行っていくというものである。
ただ、前世でGAFAといった、あまりにも大きくなりすぎた多国籍企業の様になるのは、避けなければいけない。
競争とより良いサービスが民間の手で生み出される、そのような組織を目指さなければならない。
そういったところで、今、議論や仕組みの構築を検証しているところである。
この2か月、立て続けに開業ラッシュを迎えた。
まずは、高速道路。突貫工事で片側3車線の高速道路がイルン東~ヴィウリまで開業した。
マカダム補装ではなく、アスファルト舗装なので、車は制限速度の140㎞出せる。
この区間の開業を急いだのは、イルン~ヴィウリ~港町ウズマイールを開業させ、
ウズマイールの大製鉄所や造船所、港湾設備の建設のためと、近代船?による石油や他国からの資源物資の輸送を行うためで、
大型近代船も、石油タンカー、LNG、コンテナ、そしてフェリーの設計がイルン商船大学で進んでいる。
その建設や輸出入の物資を運ぶための高速道路となる。
ただ、この輸送は道路によるトラック輸送だけではなく、鉄道建設も急いでいる。
今現在、イルン~ヴィウリまでの鉄道を開業させているが、
ヴィウリ~ウズマイールまでの鉄道路線建設を急いでいて、
24時間3交代制であと2か月で完成予定である。
この高速道路と鉄道ができれば、ウズマイールからイルンまで大量の物資を高速に運ぶことができる。
鉄道と言えば、ついにイルン環状線と北方線、南方線の一部が開業した。
北方線のターミナルはイルン北駅で、環状線、延伸した路面電車と接続する。
北方線はリュンネまで開業。
現在、南北をつなぐ地下鉄についても、このイルン北駅から中央市場駅を経由して、南方線の南町砦駅まで建設中である。
環状線はそのほかに、西方線イルン西公園駅に接続している。
南方線の南町砦駅にも接続。
南方線もイルンから南に60㎞ほど行ったところにある、南町砦駅~バイルブロン駅まで開業。
とりあえず、東西南北の各路線と環状線が接続し、旅客と貨物列車を大量に裁くことができる。
西方の高速道路も着工を開始し、イルン西魔法パレスを起点に最終的に王都フィンデルまで建設予定。
といった状況となっている。
このような中、イルンの人口は50万人を突破した。
都市部では住宅不足で価格が上がっている。
そのため、東西南北の各路線のほかに、環状線の駅を基点にニュータウンまでつなぐ鉄道の計画が開始された。
前世でおなじみの郊外の住宅から都心部へ通勤、といった流れがますます加速する。
こういったニュータウンを開発する前に、その地域にいるモンスターやダンジョンの調査業務が増えており、
リアが、
リア「まったく最近休みが取れない。どこか行ってのんびりしたい。」
といったセリフを頻繁に聞くようになった。
私が一番心配しているのはオスマン運輸大臣で、
相次ぐ大規模交通インフラの開業と新規計画立案で、死にそうな顔をしている。
もう一人の死にそうな顔と言えばヒシーニ建設大臣で、
ヒシーニ「5年前、王国の役人で、車や高いビルなんて、思いもしなかったのに、
イルンは古き良き、町だったのに、3階建ての宿屋や酒場が大きな建物だったのに…」
独り言が増えている。
5年で、3回立て木造建築から、今は100階を超える高層建築、カルチャーショックも受けると思う…たぶん。
今現在国の役人も不足していて、シモーネに国立大学の増設を打診している。
優秀な人材はすぐには育たないと思うが、急激な都市や国の発展に、人材供給が追いつかなくなっている。
我が国は4つの国に囲まれているが、他国から急激に人が集まっており、
経済はバブルの状態が続いている。
しかし、ここ最近はこイルンの町が震源地となり、地方都市もインフラ整備が急激に増えてきている。
建設資材の高騰が続いており、ハーヴェ内政大臣やトーステン財政大臣も頭を抱えている。
要するに、クリスチーネコック長以外は忙しい状態が続いており、
精神的にも追い詰められてきている。
何とかせねば。
作者のうしねこです。
地球で200年かかった発展が、国王のチート知識により、わずか5年で大きく変わろうとしている様です。




