263.港町ウズマイールの製鉄所建設計画
親しい隣国に大きな製鉄所と造船所を建設するため、新しく得た能力、脳内地図検索を使い、インフラ構築を検討するのだが…。
263.港町ウズマイールの製鉄所建設計画
空けて翌日、新たに加わった脳内地図検索の機能を使い、
港町ウズマイールの地形と町の構造を紙に書き出してみる。
基本的にはウズマイールは海に面した都市ではあるが、
厳密にいうとウズマイール川という大きな川の河口に面したところであり、
町の中心はこの川沿いに内陸に30㎞入ったところにある。
加工には大小の池が点在し、その池を避ける様に市街地が構成されている。
ただ、大きな起伏や丘陵はない。平らな土地であった。
亜熱帯に属しており、コーヒーやイポーというパイナップルに似た
フルーツがとれるところでもあるとのこと。
その様な地形の中、海岸線に目を向ける。
広い平らな土地が海岸線に面しており、ウズマイール川から水を引ける。
この脳内地図検索、どういった資源があるか、具体的な埋蔵量まではわからないが、
大まかにはわかる。
その機能を使うと、ウズマイール川上流域の南の山岳国ボルン帝国に近い、
我が国の南部の都市、ラッセルハイムという都市の南部山岳地帯に、
鉄鉱石と石炭があることが分かる。
ウズマイールからウズマイール川でラッセルハイムまで、750㎞程。
1000トン位までのバラ積み船なら、かろうじてすれ違うことができる。
何を考えていたのかというと、大型船の建造は大量の鋼材が必要で、
ウズマイールに大規模な製鉄所を作りたいのだが、
メルモ鉄鉱山から運んだ鉱石をイルンの製鉄所で加工し、
大型船の部材をウズマイールまで運ぶとなった場合、
まず、鉄道では部材が大きすぎて運べないのと、
製鉄所の加工キャパシティーにも供給不足が発生するという問題があった。
ということで、ラッセルハイムに大規模な鉄鉱石と石炭の鉱山を作り、
鉱石と石炭を船でウズマイールの製鉄所に輸送する方向で考える。
鉄を製鉄するとき、設備冷却・部材の冷却・洗浄などに大量の水を必要とする。
ウズマイール川の水を取水することができる。
また使用済の廃棄水について温水もあり、この温水を使用した温室
(亜熱帯とはいえど、冬季は温度が10度以下に下がる場合もあるらしい。)
等を考える。
ここで製造した鉄鋼材を隣の造船所まで輸送できるような立地が良い。
船だけでなく、ここで製造した鉄鋼材は橋脚やトンネル等のインフラ設備の建築鋼材や、
雷の魔石を充電する発電機のタービンなどの重機械も作れる。
これらの工場も脳内検索した現状の地図に書き込んでいく。
後は道路や通勤用短距離鉄道も書き込む。
そして、リウマポリ方面から将来石油天然ガス輸送船、
他国との交易船を停泊させる港湾設備も書き込む。
そうした上で、アリシアに提案をする。
あくまで以前タチアナ女王から相談を受けた、
ギエフ王国の工業アドバイザという名目で。
アリシア「わかりましたわ。それにしても、
母上、ずいぶん精密な地図を渡されたんですね。」
「…」
脳内地図検索の能力を得たことはこの場では言わない。
このあと、タチアナ女王とエリス建設大臣に話をし、
エリス大臣が、このプロジェクトのリーダーを務めることとなった。
あとは我が国のラッセルハイムの鉱山の建設と船での輸送拠点だが、
具合がいいことに、ウズマイール川に接続する形で、ジムス湖というものがある。
ここに港を築き、港と鉱山を鉄道でつなぐ。
そうして、ウズマイール鉄工所裏の港に鉄鉱石を運ぶ。
脳内検索でジムス湖の水深や鉄鉱石や石炭の埋まっている位置がわかるとはいえ、
実際に視察に行き、確認する必要がある。
このラッセルハイム市に行くには、
首都イルンから南方街道を480㎞程南下したところにある、
ヒュンフェンという大きな町から脇街道に入り、
30㎞ほど行ったところにある町になる。
ヒュンフェンまでは南方街道が舗装整備され、鉄道も目下建設中である。
空港も建設中でまだ完成していない。
ということで、工程500Km近くを車で視察に行くこととする。
作者のうしねこです。
新しく得た脳内地図検索という能力で、鉱物が埋まっている地区や港を建設するため、
湖の深さまでわかってしまう機能、チートです。




