250.VSドラゴン戦2
レイチェルはホワイトドラゴンと戦うことになる…
250.VSドラゴン戦2
ドラゴンの群れの1匹、ホワイトドラゴンに同僚機が1機撃墜されたと無線で聞き、
レイチェルは急遽撃墜地点に向かった。
注意深く地表を探していると、その一帯だけ雪に覆われたところを発見した。
近づくと、何かが動いている。
レイチェル「ホワイトドラゴンだ!」
思わず大きな声で叫んでしまった。
近づくにつれ、ホワイトドラゴンは撃墜機と思われる残骸を中心に、
ホワイトブレスを吹きかけているところが目に入った。
ホワイトドラゴンはこちらに気づき、飛び立とうとしている。
ホワイトドラゴンとの距離は2000m弱。
急いで照準を合わせ、3発火炎魔導機関砲を発射する。
3発の内、一発だけ命中し、ホワイトドラゴンの角に命中した。
ホワイトドラゴンは慌てて飛び立つ。
レイチェルは操縦桿を引き、緊急上昇する。
それとともに、エンジンの出力を調整するスラストレバーで出力を最大にする。
機は急激に上昇し、地平に対し垂直になり、やがて操縦席が地面と向い合せになる。
エルロンを制御し、操縦席の向きを直す。
自機の後をホワイトドラゴンが猛スピードで距離を詰めてくる。
レイチェル「ホワイトドラゴンの速度より、この機の速度の方が2倍以上速いのになぜなのよ?」
思わず声が出る。
たとえエンジンのスラストレバーを最大にしているとはいえ、
旋回し方向転換したので自機は速度を落としている。
水平飛行になったとしても、速度を上げるのに時間がかかる。
レイチェル「現在高度7500m、少し高度を下げ、加速をつけるわ。」
レイチェルは登場しているもう一人のパイロットに伝える。
対地速度が500㎞/hを越えたところで、徐々にホワイトドラゴンとの距離を上げていく。
レイチェル「司令部、ホワイトドラゴンの飛行速度ですが、500㎞/h近くの速度で今、追われています。
同僚の機がやられた原因は、この速度で距離を詰められ、ホワイトブレスか体当たりを受け、墜落したと思われます。」
と伝える。
やがて、自機の速度が600㎞/hを越えた。
レイチェルは速度計を見て、
レイチェル「この機の限界速度に迫っているわ。これ以上速度を上げると、自機が分解するわ。
この速度を維持し、ホワイトドラゴンとの距離を稼ぐわ。」
もう一人のパイロットに伝える。
5分ぐらい飛行し、距離を5000mくらい話すことができた。
レイチェル「司令部。これから旋回し、火炎魔導機関砲で再度攻撃します。
魔導機関砲を後方にも撃てる様、今後検討してください。」
と、無線で伝える。
レイチェルは自機を上昇させ、エルロンを制御し、操縦席の向きを直す。
これで向きを変え、ホワイトドラゴンに地下ずく形となった。
レイチェル「よーし、一気にけりをつけるわよ。」
レイチェルは素早く照準を合わせ6発の火炎魔導機関砲を発射。
数秒してから、4発がホワイトドラゴンに被弾する。
被弾個所は、左翼に2発と胴体、頭に命中する。
一瞬の煙幕の後、ホワイトドラゴンが地面に向けて真っ逆さまに落ちて行く。
レイチェル「やったわ、ホワイトドラゴン、撃墜。」
ホワイトドラゴンが草原にぶつかり、土煙が上がるところを確認できた。
その後、そのまま自機は撃墜地点を通り過ぎる。
レイチェルは自機を旋回させ、ホワイトドラゴンの様子を確認する。
土煙が収まり、左翼が粉々になって、胴体からちぎれているところを確認した。
頭も変な方向を向いている。ホワイトドラゴンは動かない。
レイチェル「司令部、ホワイトドラゴンを撃墜しました。」
少し前まで、人間をはじめ、エルフ、ドワーフはドラゴンに対抗するすべを持たず、
退治は高度な魔法を使える魔導士か、勇者に頼っていた。
しかし、リール国が開発した戦闘機という空を飛ぶ乗り物で、
ドラゴンを攻撃し、2匹のドラゴン、それも、上から3番目の強さを誇るレッドドラゴンと、
その次に強いレッドドラゴンを立て続けに倒すことができた。
いまだに信じられない。自分がこのようなことをできるなんて。
レイチェル「王都フィンデルが攻撃され、亡くなった民の仇は取ったわ。」
思わず、言葉が出てしまう。
司令部「あと1匹、グリーンドラゴンが残っているそうだ。応援に向かってくれ。」
レイチェル「はい…。」
レイチェルは自機を北に旋回させ、同僚機の援軍に回ることにした。
作者のうしねこです。
今までドラゴンは高度な魔法を使える魔導士か、勇者でしか倒すことのできなかった存在、
しかし、戦闘機を使うことによって、レッドドラゴンとホワイトドラゴンの2匹を、
私でも倒すことができた…、感慨に浸るフクセンブルク公国の軍人、レイチェル。




