233.ある日のある冒険者3
最近の冒険者ギルドの変化についていけない、冒険者チーム、ブラックゲートの面々。
233.ある日のある冒険者3
イルンのギルドで倒したモンスターを換金し、
近くの居酒屋で打ち上げをしている冒険者チーム、ブラックゲートの面々。
アーサー「今日はひどい目にあったわねえ。」
マーシャル「そうよ、あれはないわー。」
シュミット「まあ、カリカリするな。我々の『冒険者ギルド』の運営するテレビ局の撮影だったんだから。」
マーシャル「でも非常識よ。せっかくモンリュソンの温泉ダンジョンの地下4階まで行ったのに、撮影だから出て行けなんて。」
アーサー「いままでフランツ面白いと思っていたのに、ボケに馬鹿にされるなんて。
しかもよりによって、リーダーのスティーブンソンにまで馬鹿にされたわ。」
ルード「もしあそこでトラブルになると、もう冒険者ギルドで依頼を受けさせてくれなくなるかもしれんから、
我慢をするんだ。」
マーシャル「分かっているわ、分かっているけれど、2日がかりで探索していたダンジョンを追い出されたのよ。
撮影がそんなに重要なの?」
アーサー「私たち一般人はテレビに映っちゃダメと言われたわ。
ブラックゲートと白銀の探究者、何が違うのよ?」
ルード「確かにあちらはランクが上じゃが。」
マーシャルとアーサーは、追加でエール風ビール2ジョッキとブルースライムの干物炙り、
スモールボアの燻製ハムとブラウンブルチーズ、バトルダックのささ身揚げを注文する。
マーシャル「あーー、飲まなきゃやってられないわ。それに最近の冒険者ギルド、何あれ?
株式会社って変な組織になったわよ?」
ルード「話に聞くところによると、冒険者ギルドが一般市民に株券という独自の紙でお金を借りて、
借りたお金をほかのところに使い、さらに利益を上げる…仕組みの様じゃな。」
アーサー「難しいことは今はなさないで。最近世の中の流れが速すぎて、ついていけないのよ。」
シュミット「でも、俺たち、急激に豊かなり、便利な世の中になっていないか?」
アーサー「それは否定しないわ。でも、ついていけないのよ。
特に冒険者ギルドがここ最近、すごく変わりすぎている。」
ルード「一番混乱しているのが、リアギルド長だったりするかもしれん。」
アーサー「同じエルフの女性なのに、すごいわ、あの人。
あのむかつく冒険者の番組を放送しているテレビ局のトップなんでしょ。」
ルード「それはわしも認める。リアギルド長は才能がある。」
シュミット「聞いたところによると、本来のギルドはもちろんのこと、
以前の冒険者金融を銀行化し、一般市民に開放し、さらに設けたり、
ダンジョンでやられた時の救出から医療の提供、
ギルド間の通信を事業化したり、
冒険者から購入したモンスターを食品化し、コカトリススーパーに販売したり、
少しお金を払えば、町からダンジョンの送り迎えの車を手配してくれたり、
すごいとしか言いようがない。」
ルード「話に聞くところによるとそれらの団体を会社化し、
「冒険者ギルドグループ」として、
株式会社冒険者ギルドホールディングスというとりまとめ団体で管理をしているらしい。
儂みたいな古い人間じゃ、考えもつかん。」
アーサー「あー、知っている。
あのむかつく冒険者が出る番組『最深部まで到達する一歩上の冒険者』の最後にCMで流れる、
このダンジョン♪、どこのダンジョン♪、気になるダンジョン♪、
で文字が流れる冒険者ギルドグループの会社名ね。
最後にリアの笑顔としゃれたセンスの株式会社冒険者ギルドホールディングス、
冒険者ギルドグループの文字が流れるCMね。」
マーシャル「リア、恥ずかしくないのかしら?」
マーシャル「俺、このまま冒険者ギルドに所属し、冒険者として続けられるのかなあ?」
ルード「儂が言うセリフじゃ、もう冒険者引退する年なのかもしれん。」
アーサー「ところで、冒険者ギルドが会社なら、私たちは社員なのかしら?」
ルード「そうではないじゃろ。あくまで冒険者ギルドと契約しているもので、社員じゃない。」
アーサー「良かった。社員だともっと稼ぐ様にずうっと言われるのかなーと思って。」
シュミット「これまで通り、気ままにモンスターを狩って、生計を立てていけばいい。」
ルード「そういえば、ここの居酒屋、いつの間にかテレビがあるな。」
シュミット「そうですね、2週間前来た時にはなかった。」
テレビのチャンネルはリール公共放送局LPBの夜9時のニュースがやっている。
ちょうど、新しい対ドラゴン戦闘機ができ、訓練飛行で複数のグリフォンを撃墜したニュースが流れている。
マーシャル「えーー、あのAランクのグリフォンを複数匹撃退だって、Sランクの冒険者でも複数相手するの大変よ。
しかも空中を高速で移動するグリフォンよ、あんなの倒せちゃうなんて、戦闘機って何なのよ。」
ルード「戦う飛行機じゃな。」
マーシャル「戦う飛行機?もう高位ランクの冒険者、いらないじゃない。」
ルード「でも空中戦であって、狭いダンジョンでは戦闘機はだめじゃな。」
シュミット「あれは空中戦専用ですね。対象はドラゴンやワイバーン、ガルーダ等ですね。」
マーシャル「ねえ、あの戦闘機、4人乗りなんですって、ということはドラゴンを倒せば、
その経験値は4人に等しく分配されるわけ?」
ルード「分からん。」
アリシア「不思議だわ、体が軽快に動かせる様になったの。」
その頃、自分の経験値が一気に8上がり、体を俊敏に動かせるようになったアリシアはなぜ自分がそうなったのか?
疑問をずうっと持ち続け、イスナルドのところに相談に来ていた。
作者のうしねこです。
久しぶりに冒険者チーム「ブラックゲート」登場です。




