222.吸魔力虫駆除薬・農薬の開発
思わぬところから、吸魔力虫駆除薬や農薬の開発に至ることに。
222.吸魔力虫駆除薬・農薬の開発
あの日以来ディアンヌは、自宅であの虫を駆除する薬品の開発に没頭している。
リアやクリスチーネからはその様子をたびたび聞いており、
2人が外出を誘っても、「いいから!」と言われ、断られ続けているという。
リア「あの、食いしん坊のディアンヌが食事もそっちのけで、研究をしているのよ。」
クリスチーネ「私も心配になって、家に食事を持って行ったんだけれど、
食べてくれないのよ。」
気にはなる。
2人の話を聞いた翌日の夜、ディアンヌの部屋を尋ねる。
部屋に通してはくれるが、
ディアンヌ「私は忙しいから、台所に紅茶があるから勝手に飲んで。」
今にいる私に向かって、研究室?から声をかけられる。
「どのような研究をしているか、見ていいか?」
ディアンヌ「…わかった。こっちに来てもいいわ。」
研究室?に入ると、薬瓶に入ったいろいろな材料や魔法陣、
蒸留装置、スクロールなどがあちらこちらに散らばっている。
前世で嗅いだようなお香?のにおいがする。
部屋の隅にはカップラーメンの食べ終わった入れ物がいくつもある。
「何を作っているんだ?」
ディアンヌ「吸魔力虫駆除薬。」
前世で蚊〇線香やフキラー、バ〇サンといったものを作っているのか?
それもこの異世界にいる吸魔力虫に対しての。
どう考えてもこの間の事件がこの行動の原因だな、と推測する。
「虫の嫌がる植物はないのか?例えば、除虫菊の様な。」
ディアンヌ「モンスターの嫌いな成分を持つ植物は試してみたんですが、
除虫菊?何それ?」
前世では、マーガレットの様な除虫菊という植物があり、
この乾燥させたパウダーを凝着させたものを燃やした煙が虫を寄せ付けない性質がある、
というものだったが。
前世の部分を隠し、ディアンヌに説明をする。
「とにかく、明日植物と虫に詳しいルーカスにその様な虫の嫌う植物がないか、
聞いてみよう。」
ディアンヌ「わかったわ。」
翌日、農業営団の管理棟で、ルーカスに会い、そのような植物がないか、
相談をする。
ルーカス「思い当たるのが1つありますね。あの植物、虫が寄り付かず、
葉っぱや花にも虫がつかない不思議な植物なんですよ。
実際にここにあるので行ってみますか?」
ディアンヌと私は、ルーカスに案内され、その植物があるところに案内される。
「え?ゆり???」
ルーカスに案内されたところにあった植物はオレンジ色のゆりだった。
確かに葉っぱや花が虫に食われていない。
ルーカス「この植物、球根から生えているのですが、
この球根も、虫が寄り付かないんですよ。」
早速、このゆり?の花と葉っぱ、茎、球根を採取した。
あのファイヤーグラスホッパーも被検体として捕まえるが、
当然ディアンヌは水田のところに行こうとしない。
ルーカスと私であのバッタをガラス瓶に数十匹捕獲し、
医療学校の研究室で、いろいろと実験をすることとした。
まずは、球根から液を絞り出し、バッタの瓶にその液を垂らすと、
効果てきめん。数十秒ほどで、バッタはひっくり返り、5分ほどで動かなくなった。
次に花を乾燥させ、粉末状にし、でんぷんのりで渦巻き状に固める。
火をつけて、その煙を瓶に入れると、バッタはひっくり返り、8本の足をバタバタさせる。
ディアンヌ「驚異的だわ。」
イスナルド「この植物にこのような効果があったとは。」
「球根から抽出した液は農薬として使えるな。そして、この渦巻きの香取…は、
虫が近づくのを避ける効果がある。これで、魔力が座れたりせず、
大切な農作物も被害を避けることができる。」
ルーカス「すごい、早速、この植物を育て増やします。国王。」
イスナルド「この植物の球根からとれる液体の化学式構造を調べます。
農薬は革命です。」
その後、イスナルドは農薬の研究、ルーカスはこの植物の量産、
そしてディアンヌは…念願をかなえることができた。
作者のうしねこです。
ディアンヌの執念から素晴らしいものを作ることができました。




