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208.北部防衛計画11‗異世界の赤痢菌と意外な弱点

呪いの闇魔法に対する対策方法は意外なものだった。

208.北部防衛計画11‗異世界の赤痢菌と意外な弱点


私の前世の記憶によると、菌に汚染された水や食物を口からとった時に発病する病気だったと記憶しており、

知事時代に、公の保養施設で赤痢の集団感染がおこり、対応に苦労した記憶はあるが、

発掘村でそこにいた人々すべてが発病し、死に至るとは。


「イスナルド、この菌が気中感染するか調べてくれないか?

純水に濡らしたスポンジに菌を付けた場合と唾液を湿らせたスポンジだ。1時間ごとの増減率を調べてほしい。

あとは、皮膚片をスポンジに乗せて菌を付けた場合と胃液を模した酸性液もだ。」


私が想像するに、会話時など目に見えない唾液の粒に菌が潜んでおり、感染する場合ではないか?と思う。

菌の重量が軽く、気中に漂うという場合である。


その後のイスナルドの調査により、やはり気中感染をするようである。

厄介なことに、純粋の環境下だけでなく、乾燥したところでも1週間で50%ほどしか減らなかったとのこと。

そして、地球の赤痢菌と同じように酸性液(胃液)に対して耐性がある。

霧吹きの中の溶液に菌を潜ませ、吹き付けた時、予想どうり、気中を菌が漂う。


無菌ネズミで行った毒性の強さも、元いた地球の物より毒性は強い。

特にタンパク質がある環境下で生成されるベロ毒素は、さらに毒性が強いことが分かった。


ではこの菌は何に弱いのだろうか?


ここもイスナルドは調べてくれた。


アルカリ溶液、アルコール溶液、熱と低温、真空等々。

しかしどれも劇的に効果があるものは見つけられなかった。

唯一アルコールが菌が時間がかかるが徐々に減っていくことを確認した。


確か前世でも有効な治療法が見つかっていなかったような?

衛生環境をできるだけ改善するしか策はないのか?


それから3日後、イスナルドはいろいろな薬剤で、薬効がないかどうか、調査を行っていた。

家に戻らず、研究室にカンズメとなっていた。


そのような中、突然研究員の1人が体に異変を訴えた。

激しい下痢と血便が出、熱も39度あり、激しい倦怠感があるとのこと。


感染したらしい。


この話を聞き、私はすぐにこの研究員を隔離するよう、指示を出した。

この研究員と接するときは防護服を着て、唯一劇的ではないが、

効果は示しているアルコール消毒を行うというものである。


その研究員は1週間ほど死の淵をさまようことになったが、

ある日、症状が改善されるという出来事が起こった。

報告によると、血便などが止まり、熱が下がり、倦怠感が収まったらしい。


国王はこの報告を聞き、なぜ、改善したのだろうか?考える。

自己治癒力によるものなのか?抗体ができたのか?


この日、国立医療学校に赴き、イスナルドと話す。


話を聞くと、アルコールで増殖率が落とせたので、プラムワインを飲ませたとのこと。

目の前にこのワインのボトルが置かれている。1/4程減っている。


早速成分分析をする。

その成分分析の結果を聞いて、ん?と思う物質があった。


酢酸エチル?


酢酸とエチルアルコールのエステルである。

これか?

早速、赤痢菌と培養環境を入れたシャーレに酢酸エチル溶液を垂らす。


効果てきめんである。

1時間ほどで5%に持たないほど、赤痢菌を減らすことができた。

前世の赤痢菌には持たない弱点発見である。


早速人体に影響のないレベルの濃度の酢酸エチル溶液を研究員に飲ませる。

翌日症状がさらに改善する。


呪いの闇魔法で生成される異世界赤痢菌の弱点は濃度を高めた酢酸エチル!!


早速、国王は酢酸エチルの増産を命じた。

量産方式はFisherエステル化を採用することにした。

酢酸とエタノールを硫酸を使い脱水縮合させ、沸騰した酢酸エチルを蒸留で取り出す。

ウイスキーを蒸留する設備で量産する。

その結果、大量の酢酸エチル溶液を手にすることができた。


同時に酢酸エチルを噴霧する噴霧器を作るよう、アシモフに指示した。

農薬を人海戦術で散布する、圧力を高め、噴霧する装置を酢酸エチルを噴霧できるよう、改造する。


これで、呪いの闇魔法に対する対策ができた。

作者のうしねこです。

ファンタジーの闇魔法の対抗策は科学、というより化学の知識を使った武器だった。

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