206.北部防衛計画9‗生命を生み出す闇魔法
国王は、伝染する呪いの原因の仮説を立て、周りの者に指示を出す。
206.北部防衛計画9‗生命を生み出す闇魔法
魔導書の解析会議の場で、国王はある仮説を話すことにした。
「この魔導書、1つ思うことがある。なぜ、魔法を詠唱していないときも、『伝染』して、
人を死に導くのか?
通常、コホン、ディアンヌの前で話すのも釈迦に説法だが…
」
ディアンヌ「釈迦に説法???」
「いや、あまりにも当たり前すぎる話で、ディアンヌの前で話をすることでもないのだが、
魔法は詠唱してその後、効果を発揮する。ただ、この魔法は、すぐには影響を及ぼさない。」
「ということはだ、この魔法を詠唱することにより、目に見えない、
ウイルスや細菌が生み出されているのではないか、と思って。
そこでだ、トラヴィスに質問なのだが、以前、発掘村で人々が亡くなっていたことを話されていたが、
その時の亡くなられた人の症状、どんなだったか、わからないか?」
突然質問をされ、考え込むトラヴィスであったが、
トラヴィス「そういえば、開拓村には、吐しゃ物や血液があちこちにあったと聞きます。」
「となると、いくつか原因が思い浮かぶな。
私の考えだと、やはり、目に見えない生物が魔法によって生み出され、その生物が人を死に追いやっていると思う。」
「イスナルド、悪いのだが、被験用のネズミと顕微鏡が必要になる。
あとは、この魔導書の封印を解いたとき、手に触れず実験解析する設備だ。」
国王は黒板に密封された透明のガラスの箱と、ブニ(こちらの世界ではゴム)でできた手袋で、
箱の中を操作できる設備の絵を描く。
「この箱の中に魔導書を入れ、封印を解く。そして、内部のネズミがどうなるか?
ネズミの組織をガラスの板に挟み、それを菌が漏れないよう封印して、顕微鏡で見るんだ。」
「そして、この菌がどういったものに弱く、死滅させることができるのか、解析をしてほしい。」
イスナルド「分かりました。」
ディアンヌ「魔導書の封印解除やガラス板の封印など、私たちも必要そうね。」
「お願いする。」
そのような会話が続く中で、トラヴィスはポカーンとしている。
トラヴィス「あなたは一体?」
ディアンヌ「国王はいつもこうなのよ。何か国王は仮説があって、
原因を解明したり、新しいものを作るヒントをくれる。これが的確なのよ。」
実は私がこの異世界に転生した時に得たの能力『脳内解析』の能力で、
頭の中で前世のインターネットを見ることができ、
検索ができる。この能力に尽きるのだが。
翌日から、魔導書の『伝染する呪い』の解析が始まった。
国王の立てた仮説とその解析方法に驚き、ポカーンとするトラヴィスであった。




