201.北部防衛計画4‗脱出
ホスナブルック王国の司祭はある魔導書を持って国を脱出しようとするが?
201.北部防衛計画4‗脱出
トラヴィス司祭はホスナブルック王国を出るため、
ファスファイスからリール国行きの駅馬車に乗ろうとしていた。
王都ペルミからは、国際線駅馬車の警備が厳しくなっており、
透過魔法で変装をしても見破る魔道警備兵が動員されている。
そのため、北谷部砦からサマランカに向かう裏街道の途中の
ファスファイス村の停留所から乗ろうとしている。
1日3本しかないが、24人乗りの馬車に9人と乗客は少ない。
もちろん変装をしており、行商人の格好をしている。
こげ茶色の革製行商カバンには、魔導書が数冊といくらかのお金、
国境を通過するための偽造した身分証明書と高価ではない魔石が入っている。
名目上は魔石行商人ということになっている。
明かりの一切ないリール国への裏街道を、
1台の駅馬車は大きく車体を揺らしながら、30㎞/hほどの速度で駆け抜けていく。
乗客は無言で、馬車の車内は走行音と時々聞こえるオオカミとモンスターの鳴き声が聞こえる。
駅馬車は魔よけの魔法をかけられており、人のいない道中でモンスターに襲われることはないが、
ただただ無言と不安が押し寄せる。
この不安は、自分がホスナブルック兵や密偵につかまる、または暗殺されるのではないかという不安である。
私トラヴィスは、教会の司祭と魔法庁研究機関の主任を務めている、いや、務めていた、が正しいだろうか?
国王が代替わりした頃からある魔道の研究をすることになった。
それは闇魔法とそのほかの魔法を結合した合成魔法を開発することで、
その闇魔法が呪いで衰弱をさせ、死に至らせる効果を追加するというものである。
その呪いは近くにいるものを感染させ、死の呪いを伝播させる。
魔法庁では、はじめはモンスターを検体に使用していたが、やがて、死刑囚や罪人を検体に使うようになり、
広範囲の日の魔法と合わせ、伝染性のある死の呪いを広範囲に詠唱することに成功した。
今カバンに入っている魔導書がその魔法で、間もなく南に進軍し、リール国やギエフ民国、
フクセンブルク公国に現国王は使おうとしている。
呪いで死滅した町を後でいただき、勢力を増やそうとしているのだ。
何としても阻止しなければならない。
眠れぬ長い夜を過ごす。
このようないつ自分が捕まるかもしれないという不安を抱えつつ、2日と半日駅馬車に乗り、
ようやく北谷部砦へ到着。
遠くから砦の様子を眺めるが、状況がおかしい。
国境を越えようとしている行商人が追い返されている。
国境は閉鎖されている!
情報を得るため、国境の町ヒースの酒場併設の宿屋に向かうこととする。
作者のうしねこです。
ホスナブルック王国が戦争を起こそうとしている理由は、
伝染する呪いを付加する魔法を開発した、これだけでしょうか?




