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1.状況がよくわからない / 2.復興会議

<登場人物>

元知事=現国王陛下(ローレント国王)

故ファビエンヌ妃

ディディエ王子

ハーヴェ内政大臣

故衛士長ガボン

アリドラ副衛士長→軍務大臣

プレボー衛生兵長→医療衛生大臣

ヒシーニ建設大臣

トーステン財政大臣

ホファー外政大臣

サヴァリアント情報局長


<登場場所>

リール国(主人公の納める?国名)

レンネ城(主人公の住んでいる?城)


北の海に面しているホスナブルック王国

南の山岳国ボルン帝国

東の乾燥地帯が広がるギエフ民国

西のフクセンブルク公国


(イルン城下町)

冒険者ギルド

ドワーフ製鉄工所

医療院

北方教会

市場

ポルカ橋

錬金術研究所

魔法導力研究所

1.状況がよくわからない


あの日、知事室で職務をこなしていたところまでは覚えている。

倒れ意識が遠くなり、その後のことは覚えていない。


「陛下、国王陛下、大丈夫ですか。」


朦朧とする意識の中で徐々に目を覚ます。


「ここはどこだ?誰かが声をかけている。国王陛下?」


うっすらと周りの様子が見えてくる。

ガラス張りのヨーロッパに視察旅行に行った時、訪れたような、中世の城の中。

しかしがれきがあちこちに散らかり、窓は割れ、タペストリが落ちている。

2人の中世の兵士の恰好をした者が私に声をかけている。

日本人ではない。


??訳が分からない。


私はゆっくりと上半身を起こす。


「よかった、無事でしたか、陛下。」


未だにぼーっとしているが、状況が追い付かない。


「陛下、歩けますか。ここは危ないです。謁見室を出ましょう。」


私は兵士?の肩を借り、ゆっくりと謁見室?を出る。

部屋を出ると長い廊下。


「ここは城?なのか?」


あのヨーロッパの古城見学した時の建物とそっくりなのだ。

ただし、壁はひび割れ、血を流したものが倒れている。

兵士の言葉は日本語ではない。でも意味は分かる。

しかも、5~6人の人間が倒れており、多量に血を流している。

中には、彫刻の下敷きになっている者もいる。

おそらく死んでいるであろう。何が起こったのか、現状分析をするが、わからない。


「あの強い地震の中、生きておられたのが我々衛士の救いです。」


お妃は亡くなられましたが、王子は生きておられます。


???家族?


いったん中庭に出る。


------------


周りの者の衣装はどう見ても中世ヨーロッパのもの。

自分の着ている衣装もそう。ただし、王族?の衣装。

けがをした人があちらこちらにいるが日本人ではない。

治療をしている医師?衛生兵?が私を見る。

おでこの部分と右腕にかすり傷はあるが、幸い大きなけがをしておらず、患部に布をまく。


「父上、生きておられましたか。」


遠くから呼ぶ声のほうを見ると、15歳前後?のグレーの髪の少年?と小太りの中年の男が駆け寄ってくる。


「ファビエンヌ妃が亡くなられました。」


小太りの男がそういう。


「母上が…。」少年が声を詰まらせた。


「ここはどこだ。片上(秘書)は?中田(補佐)でも構わない。」


「カタカミ?ナカタ?」


中年の男が混乱する。


「大丈夫ですか?」


声をかける。

少年は声を出さない。


「ここはどこで私は…?」


小太りの中年がいう。


「自分の名前もお忘れですか。あなたはローレント王、ご子息のディディエ王子、私は内政大臣のハーヴェです。」


訳がわからない。

でも政治家の経験として、ここは言葉を選び、ローレント王になりきろう。


「ディディエ、無事でよかった。しかし妃が亡くなって、私もショックを受け、呆然としてしまった。

でも大丈夫だ。」


「ハーヴェ(言いづらい)、状況を説明してくれ。」


「陛下、地震の被害ですが、城内のもの125名の死亡を確認。今遺体を回収しているところです。けが人は、南門の前にある広場の布のテントの仮設救護所で、衛生兵に手当をさせています。」


「城下の町は、多数の建物が崩れ、被害は甚大です。」


「また地震が来るかもしれません、城は危険です。陛下も南門の救護所に移動してください。」


その後、自分で歩ける様になり、私に肩を貸してくれ衛士の内1人、王子、大臣とともに、南門の救護所に移動する。


------------


「陛下は無事だ。」


衛士が救護所にいる者に声をかける。


「君は?」


「副衛士長のアリドラですが、けがと妃が亡くなられたショックでお忘れですか?」


「そうだったな。」


とっさに返事を返す。


「衛士長のガボンは亡くなられました。」


ふとけが人を治療している衛生兵を見る。


汚れた布で患部を巻いて止血している。


「待て、患部にまく布を洗い、お湯を沸かし、しばらく布を入れてから、固く絞り患部に巻くんだ。」


衛生兵が??という顔をする。


「大丈夫ですか?」


「いいからやるんだ、私の命令だ。」


殺菌消毒をしないと感染症の心配がある。

この時代、細菌の考えが無いのか。

衛生兵がこちらを見ている。


「この間謁見した者の1人が、こうすると血が早く止まり、けがが治りやすくなると言う話だった?。」


とっさにごまかす。


「ああ。北方司教会の助言でしたか。」

「そうだ。」


何とかこの場は取り繕うことができた。


「北方司教会の者が言うには、骨折したものは添え木をするように。」


「意識の無いものは、頭を上げ気道を確保するように。」


「気道?」


衛生兵が声を上げる。


「人間が腹の上のところまで、器官…空気を出し入れする穴がつながっており、これが気道で、つまらないようにするんだ。」


衛生兵は納得したのか、けが人に作業をしていく。


------------


2時間ぐらいして、救護所を王子、大臣と出、城門から反対の町の方向に向かって歩く。

城は高台にある様で、町までの道は下り坂になっており、町がよく見える。

町はほこりと煙でくすんでおり、地震の被害が甚大であったことがよくわかる。


「城の負傷者救護が落ち着いたら、町の者を救護するチームに加わる指示を出さねば。」


私が王子に向けていると、


「父上、今までその様なことは言わなかったのに、どうされたんですか?」


王子は言う。


「国は国民あってのものだ、国民を大切にしない国は滅びる。」


知事をしていると、このような災害時、何をしようとマスコミに叩かれる。

政治家の中には損得、利権で行動するものもいるが、この職業をしていると、有権者を守らねばならない、命題がある。

でも、私の心の片隅には、このような気持ちが初めて市議会議員として当選させてもらった時からある。

この場合、有権者は国民になるのか?

名誉と権威を欲する政治家は多いが、純粋に国民を一人でも助けたいという気持ちから出た言葉であった。


「ハーヴェ大臣も驚かれますよ。」


王子はまだ10代の様で幼い表情が残るが、この時の横顔は大人に見えた。


「城の救護所に戻ろう。」


私は王子に声をかけ、先ほどきた道を登っていく。


「ところで、もう城にとどまることはできないな。仮設テントで暮らすことになるのか。あと、町も復興しなければならない。」


「レンネ城の復興もイルンの町も、復興のための職人をリール国中から集めなければならないですね。」


城の名前、城下町の名前、国の名前が分かった。


------------


救護所に戻るとハーヴェ大臣が先程の衛生兵と話をしている。

私に気づくと、


「陛下、プレボー衛生兵長から城から負傷者をすべて救出、王妃のご遺体も救護所の奥に安置したそうです。」


妃が亡くなった時点ですぐ遺体のところに向かうべきだったか、と思う。

突如この世界に来た時、混乱していた。


「すぐ、妃のところに向かう。」


私は声をかけ、王子、大臣、衛生兵長とともに、妃のところに向かう。


------------


妃はテーブルに布がかけられたところに寝かされ、身体の上からも布がかけられている。

衛生兵長が顔のところの布をとる。

この顔は、どこかで見たことがある。


「イタリアのあの女優だ。ローマの泉の有名シーンの。」


そっくりである。

妃の前にひざまづき、無言で顔を眺めるが、このようなことを考えていた。

王子も妃の顔を無言で眺めている。


「なぜ亡くなったのだ?」


「廊下を歩いているときに、石の彫像が倒れてきて、下敷きになってしまったそうです。」


その時、口から出血したとのことであるが、今ある遺体は口から出た出血をふき取ったとのこと。

しばらく、無言で王子とともに妃を眺めていた。


「とても悲しくはあるが、私はこの国の国王。生き残った大臣を集めてくれ。」


ハーヴェ大臣に指示を出す。


「君は城の救護が一段落したら、城下町に救護に向かってくれ。だが、無理はするな。」


プレボー衛生兵長にも指示を出す。


------------


2.復興会議


私はハーヴェ大臣に案内され、これまた厚い布で急ごしらえされた、会議場へ向かった。そこには王子、副衛士長、衛生兵長とあと数名いた。


会議録を残す口実で、すべてのメンバーの名前が書かれた羊皮紙を見ると、後のメンバーは、ヒシーニ建設大臣、トーステン財政副大臣、ホファー外政大臣、サヴァリアント情報副局長であった。

「副」が参加している理由は、地震で大臣がなくなり、その代理とのこと。


このメンバーの中で気になるのはトーステン副大臣。昔学生のころTVで見た海外の宇宙船で旅する映画の登場人物、乗員1人にそっくりである。耳が長く、顔が人間?という顔をしている。


まず私は、この会議の前に、 トーステン財政副大臣を大臣に、サヴァリアント情報副局長を局長に、そして、アリドラ副衛士長を軍務大臣に、プレボー衛生兵長を医療衛生大臣に任命した。

この非常時、各自が最善を尽くし、仕事を行ってもらいたい為である。


まずは情報局長に今現在の国の各都市の被害状況を確認するが、20日ほどかかるとのこと。

電話、ネットや車、整備されてない道など、この時代、情報を集めるのは時間がかかる。


建設大臣の報告と合わせると城下町イルンの被害状況は町の8割の建物が倒壊をし、各所で道をふさいでいるとのこと。

仮設テントとがれきの撤去を命令する。


財政大臣には、国庫から出せる復興のための金貨を見積もることを指示した。


王子が

「城の貯蓄財産を町の復興に出すのですか?」


と驚かれたが、気にしない。


会議が終わり、王子にトーステン財政副大臣のことを王子に聞くと、

「エルフなので、おかしいところはないと思いますが。」とのこと。

エルフ…


------------

会議の後、城の図書室の場所を教えてもらい、散らばった本の中からこの国の情報を得る。

この本、明らかにラテン語とそっくりの文字だが、なぜだか読める。


まず、種族は人間のほかに、エルフ族、ドワーフ族がいるらしい。

この国の人口比は人間:エルフ:ドワーフ=5:3:2。


この国は平坦な内陸国で、東西南北それぞれ、国境を面していて、北の海に面しているホスナブルック王国、南の山岳国ボルン帝国、東の乾燥地帯が広がるギエフ民国、西のフクセンブルク公国らしい。


妃はフクセンブルク公国出身らしい。


イルンの町の地図もあった。城のある所は小高い山になっており、町の中心部はブルツブルグ川が流れており、緩い谷間を形成している。


大きな町の中心部にあるポルカ橋周辺に、冒険者ギルド、ドワーフ製鉄工所、医療院が3か所、北方教会、市場が4か所等があるらしい。


錬金術研究所、魔法導力研究所なんてのもある。


私はこの町の地図を持ち出した。


------------

会議場仮設テントに戻ると、内政大臣と建設大臣がいた。


建設大臣が話しかけてきて、

「ポルカ橋が地震で川に落ちたそうです。今は船で両岸を行き来しています。」

との連絡。


橋は石造りであったが、250年前の地震でも壊れたとのこと。


コンクリートと鉄筋鉄製橋梁の技術があれば、地震に強い橋、PC橋が作れるのだが。

コンクリート、製鉄技術…


------------

日が暮れ、王子が食事に迎えに来てくれた。


王子との居住用テントに、食事が運び込まれる。

豚足の煮込み、ジャガイモのゆでたものとバターを混ぜたものだけの食事。


食事を済ませ、風呂は無い、トイレはツボ?にする。世話係がメンテをするらしい。


なんで、中世の世界にいるんだろう?大がかりなドッキリでも、映画の撮影でもない。


------------

その夜、夢を見た。夢というか動画が頭の中で鮮明に流れていく。


知事室で私が倒れているところから音のない動画はスタートし、病院に運ばれ、妻や娘が私のそばで泣いている。医師が心臓をマッサージするが、やがて、心電計や点滴などが外され、棺桶に入れられ、病院の外に運ばれていく。


私は死んだのか?


私の体は冷蔵設備のある安置室に置かれ、葬式が開かれ…

次の瞬間、静止動画画像がホワイトアウトし、見慣れたパソコンの検索エンジンが。

文字を入れるところに文字を入れると、次の瞬間説明のWebへ。

なんだ?これは。


そこで目を覚ました。


たいていの夢は起きたら忘れるが、鮮明に起きても覚えている。

私は死んだのか?そして、次世にいる?


でもあの検索画面は何なんだったんだ?


その瞬間、頭の中に検索画面が現れ、文字から検索した解説の検索イメージが浮かぶ。

脳内辞書検索?

はじめまして、作者のうしねこです。

投稿は初めてとなりますが、よろしくお願いします。

とある知事をしていた政治家が中世ヨーロッパ風の世界に飛ばされ、災害のおこった国を復興していく話です。


主人公はどうやら死んで、この世界に来たらしく、そして、不思議な能力を得ることになります。

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[気になる点] 明らかに読点が多すぎる 読点がついているところを少し間を空けて、1度文章を声に出して読んでみるといい 文章の途中に?が入るのも読みずらい
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