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182. モンスターとの鉄道事故

特急列車とヒュージボアの群れとの衝突事故に、オスマン交通営団長は現場指揮をとることになった。

182. モンスターとの鉄道事故


ドラム缶に入った石油がトラックで定期的に届くことになったころ、

大規模な鉄道事故が東方線で発生した連絡が入った。

場所はカシュカイシュ~グアルダ間で、ヒュージボアの大群と東砦駅行の特急電車が衝突したとの連絡が入った。


私、オスマン交通営団長は早速現場に視察することになった。


ヘルメットと作業服を取り、イルン東駅に向かった。

ここより事業用車両に乗り込み、現場に向かう。


この事業用車両、保線用の車両であるが速度は120㎞でる。

現場はイルン東駅から220kmキロポスト地点のソリア駅~エレロス駅間で、

2時間弱で現場に到着した。

現場は、森林地帯で跳ね飛ばされたヒュージボアが3頭、線路わきの盛土の下に横たわっており、大きさは3頭とも3mほど。


特急電車はむごいことになっていて、3両目までは線路下の盛り土に転覆しており、4から6両目両目は盛り土の途中に転落しかかっており、7両目から10両目も全て脱線している。


先頭車はつぶれ、ヒュージボアの血液がこびりついている。


前世では、よく列車が鹿を跳ね飛ばす事故が発生していたが、モンスターの大きさが大きく、群れだったので、衝撃波その比ではない。


反対側の線路にカシュカイシュから来た救援電車が止まっている。


救援電車に乗ってきた150名ほどの作業員が現場検証と救出を行ている。

話を聞くと、カシュカイシュ中央病院の医師4名と看護師、消防救急隊員が16名、そのほかは交通営団職員とのこと。


私オスマンが事故の対策本部長になり、負傷者の救出を行う。


近くに車が通れる道路がないため、事業用車で現場とグアルダをピストン輸送する。


4時間ほどで、事故の被害者の全貌が分かり、死亡者は運転士と1両目から5両目を担当している車掌1名、乗客は78名、重体26名、重症61名、軽症227名の事故となった。


乗客の救護が終了し、現場検証が行われる。


軽症の6両目から10両目を担当していた車掌の証言では、数十頭のヒュージボアが、線路がある土手を横切っており、緩くカーブをしているため、その光景が運転士は見えなかったのではとのこと。


営団職員は現場の事故現場を写真に取り、ダメージを負った車両や跳ね飛ばされたヒュージボアの状態を記録に残している。


一通り現場検証が終わり、今度は復旧作業に移る。


ここで活躍するのが、パワーグローブ。


パワーグローブというマジックアイテムは、500㎏の物まで持つことができ、まず、6から7両目を分割し、1両30トン近くの車両をばわーグローブをつけた作業員20人がレールの上に戻す。

20人でも1両丸ごと持ち上げられないので、車両の片側を20人で持ち、レールに乗せたらもう片方を持ちレールに戻す、という作業方法をとっている。


レールの上に戻した7両目から10両目は、事業用車につながれ、グアルダ駅の側線に運ばれる。


盛り土の途中にある4両目から6両目も、時間をかけながら4時間ぐらいかけ、レールの上に戻される。

これも事業用車で戻ってきたグアルダ駅の側線に運ばれる。


周囲が暗くなってきているが、作業は続行。


グアルダ駅の側線から戻ってきた事業用車には魔導士3名が乗車しており、ライトニングの魔法で事故現場を照らす。


土手下に落ちた1から3両目は、台車が歪み、1両目先頭付近は台車が外れている。

遠くでグレートウルフの鳴き声が聞こえるが、ライトニングの明かりを警戒してか、近づいてこない。


2両目と3両目はパワーグローブで台車の歪みを直しながら、何とか5時間かけ線路上に復旧。


この時点で夜12時を越えている。


ゆがんだレールと割れた枕木の交換、架線復旧は終わったようだ。


最後の大破した1両であるが、3時間かけ台車と車体の接続に成功。

そこから2時間かけ線路上に戻し、事業用車に運ばれ、グアルダ駅の側線に向かう。


残った現場作業員と魔導士は、救援列車と事業用車に分乗し、カシュカイシュとグアルダに戻る。


翌日、グアルダに事業用車で戻り、そこで一夜を明かした私オスマンは、朝から事故車両の現場検証に立ち会う。

グアルダ駅にある3面6線のホームのわきに3本の電留側線があり、その1線に事故車両が留め置きされている。


先頭車がひしゃげ、フロントが大破しており、改めて事故の大きさを感じる。


今後、自己解析結果から車両の強度向上、モンスターの鉄道事故防止のための解析研究が行われることだろう。


事故の全容と再発防止は国王に後ほど報告しなければならない。


一連の対応が終わりイルンの自宅に戻り、私オスマンは、極度の緊張から解放され、初めて疲れが襲ってきた。

作者のうしねこです。

体格の大きいモンスターと特急列車が衝突し、大事故が発生していますが、

異世界の事故復旧方法は現代日本の方法と少し異なる様です。

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