180. エチレンでできるもの
石油から生成できるエチレンで、いろいろなものができることを、医療学校と設計事務所のメンバーで共有します。
180. エチレンでできるもの
会議の後、医療学校に戻ったイスナルドは主席研究員を呼び出し、
いくつかの化学材料精製について説明する。
設計事務所のエンジニアも同席している。
医療学校の会議室の上には栓がされた三角フラスコに入っている透明なナフサ液が置いてある。
イスナルド「これからエチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレンを精製してほしい。」
イスナルドは生成方法を説明する。まずはエチレンを精製したら、
塩化ビニル樹脂と高密度ポリエチレンを作ろう。
まずはナフサを熱分解路でガソリン等と分離した後で、ガス化した気体を圧縮してメタン、エタンを除去する。
ここで、分離できた比重の軽い気体にアセチレン水素を加えるとエチレンとエタンを得ることができる。
比重の重い気体について採取し、その中でも比重の軽い気体にメチルアセチレン・プロパジエン水素を加え、
さらに比重の軽い気体と重い気体に分離すると、プロピレン(比重軽い)とプロパン(比重重い)を得ることができる。
比重の重い気体を集め、さらに分離するとブタン、ブチレンになる。
少々複雑なので黒板に化学式と簡単な精製図を書きながら説明する。
主席研究員1「この生成方法で水素、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、ブタン、ガソリンができるわけですね。」
イスナルド「そうだ、しかし途中の工程でアセチレン水素とメチルアセチレン・プロパジエン水素が必要になる。」
主席研究員2「これも別途精製して準備しなければならないわけですね。」
イスナルドが生成のための化学式を書く。
主席研究員3「ナフサをガソリンとガスに分離した後、冷却してガスを圧縮するわけですね。
水の魔法で冷却するために魔法錬金営団に依頼をしなければなりませんね。」
イスナルド「さてと、まず塩化ビニル樹脂だが、ここでとれたエチレンを塩素と混合させ、
塩素化したのち、熱分解して、塩化水素と塩ビモノマーに分離する。
この塩ビモノマーを重合させ、塩ビ樹脂を生成する。
具体的には塩素とエチレンを反応させた後、脱水、煮沸し、気体を冷却、塩酸を除去すれば、
塩ビモノマーができる。
この塩ビ樹脂、まず上下水道管等で使用すると耐久性が高く、軽いという利点がある。
これをコルゲートさせた板は、屋根材に使える。
(国王の受け売り…)
設計事務所主任エンジニア1「成型設備を考えないといけないですね。」
設計事務所主任エンジニア2「そうか、平板状に加工するとひずみでゆがんだり、強度が落ちるので、
波状に加工するんですね。」
イスナルド「さてポリエチレンだが、エチレンに高圧で熱を加えると重合をする。
高分子材料化するわけですね。これをビーズ上に固めれば、ポリエチレン樹脂材料が出来上がる。
これは、フイルムや薄くて軽い袋、医療用手袋、紐やクリアファイル、パイプなどいろいろできる。
(これも国王の受け売り…)」
設計事務所主任エンジニア1「薄くて軽い袋、医療用手袋等は、ポリエチレン樹脂材料を射出成型でブロー成型すれば、できますね。」
設計事務所主任エンジニア2「銅線の周りをポリエチレンで射出成型すれば、銅線を絶縁したハーネスができますね。」
イスナルド「あとはエチレンオキサイドからポリエステル繊維や界面活性剤も作れる。
エチレンオキサイドはエチレンに酸素を結合させればよいのだが、分子状酸素含有ガスを銀触媒を使い、酸化させる。」
これも化学式を書く。
主席研究員2「ちょっと待ってくださいよ。これ、引火によって爆発しやすい特性は無いですか?
反応性が高いですし。」
イスナルド「そうだな、燃料を加えると気化方式の爆弾に応用できる。火気厳禁だな。」
イスナルド「このエチレンオキサイドにアルコールを加えると界面活性剤(洗剤)になる。」
とにかく、エチレンはいろいろなものができるようだということが会議参加者全員に共有できた。
作者のうしねこです。
こうしてみると、石油からいろいろなものができますね。
石油の値段が上がったりすると、ガソリンだけでなく、こういった材料も値段が上がり、
手に入りづらくなるということですね。




