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177. 火力発電所の研究

製油で生成した重油を使い、火力発電所の模型を製作する。

177. 火力発電所の研究


高速道路の研究が軌道に乗り、次は重油を燃料とした火力発電所の研究に入る。


先日、石油の蒸留製油装置の件でディアンヌが設計事務所に来た時、


ディアンヌ「最近の魔導士の悩みは、高ランクの雷の魔石に魔力を長時間注入し、『充電』することが多く、

魔法の研究に没頭できない。」


とぼやいていた。


水力発電で発電した電力で充電できるが、都市の規模が大きくなり、電力が足りなくなってきている。

電力が足りなくなっているので、電圧が不安定になり、とても高ランクの雷の魔石に魔力をチャージできないとのこと。


国王曰く、新しい発電所を作らねばとのことだが、この精製した重油で発電所ができるらしい。


原理は重油を燃焼させ、水を温める。

温めた温水から出た蒸気で水力発電で使用しているタービンを回すらしい。


お湯が沸いた時に出るあの湯気でそんなタービンを回す力が出せるのだろうか?


タービンを回すために使用した蒸気は、冷やして水に戻すらしい。

蒸気を冷やすため、大量に水を得られる場所、つまりブルツブルグ川沿いにこの発電所を作らなければならない。


アシモフ「ということで、次は火力発電所なるものを作るのじゃ。」


アシモフは設計事務所の会議室にある黒板に火力発電所の原理と模型図を描く。


チーフエンジニアA「配管はかなりの高温と圧力にさらされるので、それに耐えられるものを使わなければだめですね。」


チーフエンジニアB「重油の量と燃焼量を調節して火力を調整し、またタービンに送り込む配管の開量を調整し、

タービンの回転量を調節する機構が必要ですね。」


チーフエンジニアC「タービンに効率よく蒸気をあてる機構と、タービン軸の真円率を確保する設計も大変そうですね。」


流石、無茶ぶりばかりの国王に鍛えられているせいか、設計の勘所をよく理解している。


イリーナ「すみません、遅れました。東西街道が渋滞で、空港脇の製鉄工所から来るのに、いつもの倍の時間がかかってしまって。」


アシモフ「この間作った高速道路の試走路を使ってみらってもよかったのに。」


イリーナ「いや、あそこはいま新型車の走行風洞実験をしていて、通れません。」


アシモフ「そうなのか。ところで、今度は火力発電所の試作を作ろうとしている。

イルンの町の電力需要に水力発電が追いついておらず、魔導士が雷の魔石に魔力をチャージすることが増えていて、

ディアンヌから『早く新しい発電所を作って、チャージ作業から私たち魔導士を解放してよ!』と言われてしまったんじゃ。」


黒板に書いた火力発電所の模型図をまた説明する。


イリーナ「分かりましたわ。設計図をお願いします。私は材料を集めます。」


そんなやり取りがあり、1か月後、火力発電所の模型が完成した。

サイズはタービン直径が1mほどで、旋盤などの加工では時間がかかるので、せかされているディアンヌに協力いただき、

魔法で加工を行った。なので、1か月でできた。


模型は➀ボイラー部、➁タービンと発電モータ接続部、➂復水部の3つのユニットを配管で接続する。


チーフエンジニアが話していた通り、重油の燃料供給制御弁とタービンへ蒸気を送り出す量を調節する弁、

蒸気配管の圧力量を図る機構、蒸気の噴出口を制御し、タービンブレードへあてる角度を調節する機構なども設計に盛り込まれている。


早速配管に水を注入し、重油を燃焼させる。

ボイラーから蒸気が出始め、メータゲージの圧力が上がり始める。


蒸気の噴出角度を変え、タービンブレードへの最も効率よい、角度を設定する。

タービンは勢いよく回り始め、モータで電気が発電される。


回転量によって、電圧と周波数が変わるため、水力発電と同じ、変圧機構を通す。


タービンブレードにあてた蒸気は復水路で水に戻される。

実験は大成功。


安定して、電力が発電されている。


この実験を見学に来たアリシアもその結果を喜ぶ。

アリシア「定期的に実験に必要な石油を届けなければなりませんね。」

と言ってくれる。


この実験を以て、実際の初の火力発電所の建設が始まった。

作者のうしねこです。


火力発電所の実験は大成功。これでディアンヌが催促していた、魔導士の雷の魔石充電作業から、解放される?

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