171. ギエフ民国の訪問11_再度山脈越え
3日滞在した、リウマポリの町を離れ、山脈を越え、ヴィウリの町に国王一行は戻ります。
171. ギエフ民国の訪問11_再度山脈越え
明けて翌日。
明るくなった周りの景色を見て驚いた。
対岸の見えない、大きな湖?が広がっている。
対岸にはナツメヤシやヤシの木が茂り、白い砂浜の湖岸が続く、絵葉書に出てきそうな風景が広がる。
車内にあった白黒写真機で風景をとる。
前世だったら、観光地化しそうなところである。
ここで、バスで使用する水を給水し、本日ヴィウリに戻る。
早速湖を出発し、10分くらいで町に到着し、東門からバスは入り、総督に別れの挨拶をした後、
町の西門を出て、リウマポリの町を出発する。
「2泊3日の滞在だったが、とても思い出に残る街だった。最後の湖の風景も良かったし、昨日のスークも楽しかったし。」
アリシア「そうですね。」
シモーネ「それにしても、自分の国の王女が近くにいるのに、スークではみんな気づかなかったのに、驚いています。」
アリシア「スカーフを顔にまいていたので、分からなかったのでしょう。」
エリス「この町はギエフ民国ですが、独自の文化が発達しています。一般女性はスカーフを巻いている人が多いです。
しかし、私もいつ王女と分かってしまうか、ひやひやしました。」
アリシア「大丈夫だって。」
バスは山越えの道に入る。
「しかしこの山、いや山脈、トンネルが建設できないものか?」
シモーネ「距離的には120㎞位のトンネルを建設できれば、一晩かかったところを1時間くらいで抜けられる。」
「わが国で地下鉄が開業したが、穴を掘って、掘ったところに土留めのコンクリートを設置していく。」
前世建設会社の社長もやっていて、沢山おトンネル建設工事を請け負った経験がある。
得意な分野である。
「トンネル堀りにも様々な工法がある。地盤が緩く、崩れやすい時は、低温で凍らせたり、凝固する液体をしみこませながら掘る方法がある。
逆に岩盤が固い場合、人工ダイヤを使った切削工具で、岩を削りながら掘る方法、先導抗という小さいトンネルを掘り、広げていく方法など、
様々ある。でも、魔法で掘り、トンネルを建設していく方法もあると思う。」
エリス「建設大臣の私よりも建設工法に詳しいなんて。驚きです。」
この電気バス、内燃機関のエンジンから出る揺れがなく、サスペンションが良いので、この様なカーブが連続する山道を走っても、
バス酔いしない。
山越えをしている最中に昼になり、昼食が運び込まれる。
メニューはサフランライスのチキンストロガノフ、きゅうりとミントのサラダ、レモン入りヤシの実ジュース、デーツ、オレンジが出てくる。
山頂付近で、霧が出ている。その中をバスはゆっくりと走る。
そうかこの地域、西から東に風が吹いていて、この山脈で湿った空気から低温高地のため、水分がなくなり、
東側、つまりリウマポリは乾燥しているのか。
昼過ぎに、山を越え、下り山道をひたすら走る。
「リウマポリから、ガスや原油を運ぶ時、ポリメリト船で鉄道に積みかえるよりも鉄道だと、輸送効率は良いな。
120㎞のトンネルを建設できるかどうかだ。」
アリシア「そこですね。」
エリス「この山脈の地盤を調べないといけないですね。やることが多い。」
前世で青函トンネルという海の下を走るトンネルがあり、54㎞の長さがあったが、陸地とはいえ距離は2倍より長い。
山頂付近でこの息苦しさから言うと、標高3000m位はあるだろう。
下調べとしての測量は重要。
やることが多い。
夕方になり、バスはようやく山脈を超えた。
バスは速度を上げ、暗くなるころにはポリメリトを通過。
あと、ヴィウリまで8時間くらいかかる。
今夕方6時なので、計算だと夜中の2時にヴィウリに到着。
随行員に話をし、朝8時にヴィウリに到着する様指示を出し、
バスのスピードを落としてもらう。
夕食もバスの中でとる。
食事はクロワッサンに、キュウリのサラダ、ひよこ豆の冷静クリームスープ、トマトとベーコンのパスタ、
デーツのケーキとチーズの盛り合わせ、である。
食事の後、女性優先で順番にシャワーを使い、コンパートメントにベッドを設置し、就寝。
行きと同じ。
朝、6時半にはみんな起きだし、7時に食事。
メニューは、チキンやフルーツ等のサンドイッチ盛り合わせ、
ナッツを砕いたものが入っている、ミュースリー、オレンジであった。
エリス「このバス旅、最高でした。この様な旅ができるなんて。」
アリシア「本当にわが国にも、この様な快適なバスがあれば良いのにと思います。」
やがてバスはヴィウリの町に入り、8時にヴィウリ城の前に到着した。
作者のうしねこです。
エリスにとって、とても楽しい旅だったようです。




