16.鉄筋建築試作_鉄筋建物の土台作成開始編
<登場場所>
シモーネの科学技術大臣の居室テント
鉄筋建物試作現場(3階建ての予定)
16.鉄筋建築試作_鉄筋建物の土台作成開始編
翌日。いつものミュースリーの食事の後、シモーネの居室テントに向かった。
新しいテントはまだ木箱の荷ほどきを行っておらず、部屋の隅に積み上げられていた。
まさにこれから、荷ほどきを行うところであった。
「荷ほどきの中悪いが、部下の研究員に、このストーンウォールを製鉄工所に持っていく様、依頼してくれないか?
ブルツブルグ川荷掛ける橋の橋桁を工事する際、橋桁の周りに岩の壁を作り、川の水が入らないようにする。」
「分かりましたわ。」
「あと、この後ディスカードアースで、鉄筋建物の土台の穴を掘る工事をする。私が対応する。
昨日引っ越してきたばかりで忙しそうだから。」
「分かりました。」
その後、城のテント群の南側の建設予定地に、設計図を見ながら、建物の四隅をマーキングし、ディスカードアースで平らに整地をする。
そのあと、細かく木の棒を建て、ひもを結び付けていく。
木の棒は土台の柱の部分、ひもは壁の部分である。
イリーナが樽に入れた乾燥したセメントと桶、治具を持ってきてくれる。
それと後ほど、本日の分として鉄骨12本を台車で運んでくるとのこと。
重いので、ブラックブル4頭で1つの台車を引いてくるとのこと。
ちなみにブラックブルとは、荷物運搬用に捕獲したモンスターを飼い慣らしたもので、
物を引っ張る力が強いとのこと。
目印の木の棒とひもについて、製鉄工所にあるメートル標準原器から作った、
ひもでできたメジャーと90度原器で校正した角度治具で計測しながら設置していった。
この治具も持ってきてもらったのである。
一通り、マーキングが終わり、遅い昼食にする。
クリスチーネがサンドイッチを持ってきてくれた。
ローストビーフとレタスをパンにはさんだものである。
あと、昨日のマヨネーズが使われている。
クリスチーネ、マヨネーズをマスターしたか。
昼休み中、シモーネが様子を見に来た。
午前中の作業について、一通り説明をした後、作業現場を案内した。
説明が終わったころ、追加のセメントと砂、砂利、鉄骨、試作のベニヤ板が届き始めた。
シモーネへの説明の後、作業開始。
ディスカードアースで穴を掘る。
作業は早い。68か所の柱の穴を掘るのに、1か所10分ほど。
2時間弱で作業完了。
その後、鉄骨で柱を建てていく。
穴に鉄骨を入れていき、砂利や砂で柱を仮固定。柱と柱のボルト固定する部分にひもを通し、水平器と角度治具で柱の位置を調整していく。
調整後、砂と砂利、セメントを桶で混ぜ、水を加え、コンクリートを作る。
鉄骨は、Cランクの風の魔石とパワーエクスパンションスクロールで詠唱され作られたパワーグローブを使用している。
鉄骨を設置した後、べニヤを土圧で固定し、そこにコンクリートを流し込む。
今日の作業は、柱を12本立てたところで終了。
作業が終わったところで、シモーネが作業状況を見に来た。
彼女の新しい部下数人、製鉄工所から来たエンジニアは興味津々で見ていたが、
(なぜか内政大臣と王子も。)シモーネが一番気になっているようだ。
どうやって、鉄筋の建物を建てるのか、順序を追って、いろいろと質問してくる。
計測の方法と鉄骨の調整等を説明する。
元建設会社社長の私として、重機が欲しい。
パワーショベルやクレーン、ミキサー車等。
作業が終わり、風呂に入ったと夕食。
今日の夕食はクリスチーネが作った。
メニューはブラックブルのステーキだそうだ。
まさか、建材荷物を引いてきたブルの物じゃないだろうな。
夕食の後、久しぶりの力作業で、すぐ就寝についた。
翌日から、1日30本の鉄骨と追加のセメント、砂と砂利が届く。
あと、鉄筋が届き始めた。
制鉄工所のエンジニアが作業習熟のため、手伝うこととなった。
シモーヌとヒシーニ建設大臣もである。
2日目からボルトの試作品とレンチ、針金と追加のベニヤ板も届き始めた。
3日で土台に鉄骨を設置する作業が終了。
2週間ほど、そのまま放置をする。
この後、土台の縦の梁に、ボルトで横の鉄骨梁を固定し、鉄筋の型を針金で固定しながら、
コンクリートを流し込む枠をベニヤ板で固定しながら1階の床に当たる部分を作っていく予定。
地面と1階床の部分は1m位のスペースを確保する。
コンクリート乾燥後、ベニヤ板をはがすために。
作者のうしねこです。
いよいよ鉄筋建物試作現場建設が始まりました。
この世界で初めての建設方式です。
地震に強い建物を目指しているが、重機がなく、魔法をうまく使い、建設している模様。




