159. 飛行モンスター対策会議
<新しい技術>
ロケットランチャー、防空レーダー
159. 飛行モンスター対策会議
この日開かれるはずだった飛行モンスター対策会議について延期となり、
結局襲われた日の翌日の午後に開かれることとなった。
私は、軍務府執務エリアの会議スペースに向かった。
会議スペースは、軍務府のオフィスの一角にあり、
大部屋の隅をついたてで囲まれたところだった。
すでに会議スペースには
ディディエ、ハーヴェ、アリドラ、ヒシーニ、シモーネ、アシモフ、
そしてディアンヌと、ん?懐かしい顔が。
トロティエ「久しぶりじゃな、国王。」
「トロティエ元冒険者ギルド長。あっ、そうか。
冒険大学校長として、ワイバーンの解析を依頼していたんだった。」
「それはそうと、ディアンヌ。もう大丈夫なのか?」
ディアンヌ「魔力不足を起こし、意識を失いましたが、
1日ゆっくりと休ませてもらい、問題ありません。」
「わかった。」
「さて会議を始めるが、まず、ワイバーンの解析結果について、
トロティエ、報告をしてくれないか?」
トロティエ「倒したワイバーンじゃが、重量は2~3トン。
長さは14mから18m。飛行速度は最高速度180㎞/h出せる。
今までの報告から、ワイバーンとしては最大級の物といえる。」
シモーネ「私が見たところ、その場で定空飛行をするときは、揚力を稼がなければならないので、
翼の羽の張り方を変える必要がある、なので、翼の骨と骨の間にある翼の形状を縮めて高速で飛んだり、
翼を広げてその場にとどまったり、といった動作をする仕組みですわ。」
トロティエ「あとは、通常ワイバーンは目視のほか、地磁気から自分の位置を把握しているらしく、
雷系の魔法が弱点とされている。あとは固い皮膚を貫通できれば、真空の刃の魔法も弱点といえるじゃろう。」
ディアンヌ「私が戦って感じたところは、ワイバーンの弱点はあの『頭と翼』ね。
特に翼を攻撃し、翼を破ることができれば、飛行バランスを崩し、戦闘を有利に持っていくことができるわ。」
アリドラ「しかし部下の報告では、ライフルで翼を狙ったが、ダメージを与えられなかったとのこと。」
「ロケットランチャーじゃなきゃ、ダメかもな。」
全員「ロケットランチャー?」
「ついこの間、時限爆弾を開発したと思うが、あの爆薬を利用し、信管や雷管も利用するんだ。」
といい、黒板に図を描く。そして、シモーネとアシモフがメモをとる。
「構造は、ライフルと似ているところがあるが、爆弾が推進力を持つモーターで飛んでいき、
当たったところの衝撃で、爆発するという代物だ。
構造部は弾頭部、推進モーター、発射薬と安定翼で構成された弾頭が飛んでいくイメージ。」
「新しい技術はロケットと呼ばれる推進力を持つモーターかな?
棒状のものが宙を飛ぶ時、バランスを取りながら飛ぶのがとても難しい。
ロケットという推進機構で進みながら安定翼でバランスをとる。」
と、説明をしながらロケット機構の構造を黒板に描く。
特に、推進薬とリアモータの構造を説明する。
「これを各高層ビルの高層階に配置し、警備員が訓練し使えるようにする。」
「それと、今航空用の無線を開発しているが、レーダーで周辺の飛行物を探知する機構が必要だ。」
と話し、今度は防空レーダーの説明をする。
「レーダーはマイクロ短波を発車し、飛行物に反射して帰ってくれば、
その部分の反射時間が異なり、その部分を音にして返す設備を作ればよい。
近接し飛行している物体があれば、音のピッチが高くなる装置だ。
レーダーを照射、受信するアンテナは回転させ、360度警戒できるようにする。」
これも黒板に図を描き、説明する。
しかし、アナログディスプレイ技術をそろそろ開発すべきか?
アリドラ「ドラゴンかワイバーンかは識別できないのか?」
「残念だが、できない。」
アシモフ「何とか開発してみる。」
「アンテナは完成すれば、ここ政府庁舎ビルの屋上に取り付ける。」
「各自、開発を頼む。」
重い空気のまま、会議はこれにて終了となった。
作者のうしねこです。飛行モンスターがイルンの町を襲ったら、実際のワイバーンの被害から、
その対策を考える時が来た様です。




