146. ラジオとお祝いの放送
サブタイトルのお祝いの放送とは、どういうことでしょうか?
146. ラジオとお祝いの放送
空港視察の後、政府庁舎ビルの居住棟、クリスチーネの部屋に行きラビオリの作り方を学ぶ。
小麦粉をこね、生地を作るところからスタートする。
薄力粉と強力粉、塩と卵の白身を混ぜ、こねる。
少し寝かせて、生地を作った後、フライパンでほうれん草とトマト、ひき肉をオリーブオイルで炒める。
あと、バジルも混ぜる。そのあと、オレガノ、胡椒、チーズを混ぜる。
この炒めたものを生地に包み込んで薄い薄い塩水でゆでる。
ゆでたものにパセリをかけ完成。
一旦自分の部屋に戻り、ジンジーニャを取り出し、ラビオリと一緒にシモーネの部屋に向かう。
食事を作って持っていくからとあらかじめ話をしており、2人で夕食をとることにした。
シモーネは、サラダと卵のスープ、ライムギパンを準備してくれており、
ささやかな夕食会となった。
甘みの強いサクランボのワイン、ジンジーニャをシモーネのグラスに注ぐ。
彼女は背が低く、身長差は20cmくらいあるが、向かい合って座ってみて、
慎重さは感じない。
「うまくできているか。」
私は自信なさげに言う。
シモーネ「そんなことはないわ、とてもおいしそう。」
と言ってくれる。
一口ラビオリを食べたのち、
シモーネ「とてもよくできているわ。」
と言ってくれる。
こういう時って、食べ物の味が分からなくなる。
「ありがとう。」
会話が進まない。
「ところで、今アシモフに話をして、ラジオというものを作ろうとしているんだ。」
沈黙を打開するために、仕事の話になってしまう私が情けない。
もう一歩を越えられずにいる。
「つまり、放送局というところで、音声が収録され、電波を利用し、受信機でその音声が再生される仕組みなんだ。」
「イルン新聞社で発行された新聞が朝、各家に配達されているサービスについて、紙面ではなく、
音で家庭に届けるサービスで、ニュースだけでなく、音楽、ドラマ、バラエティー、講義等が家の受信機で聞けるんだ。」
「そのラジオ受信機の試作は今設計事務所で作ってもらっていて、放送設備の試作もお願いしている。
放送局はイルン東ステーションスクウェアを今準備している。」
「このラジオで放送するいろいろな番組を今考えているんだ。どういったものが良いかなって。」
シモーネはそわそわしながら話を聞いてくれている。
「でも完成にはもう少しかかりそうなんだ。受信機が市民へ受け入れられるのも、少し時間がかかると思う。」
彼女が何か言いたそうにしている。
「でも…」
「このラジオで、シモーネと一緒になれたことが市民に向けて、放送できたら良いなと思う。」
シモーネ「!!」
シモーネ「…実は私もその言葉を言いたかった。でも国王に対し、
私は一般市民出身、妃もいた中でなかなか言い出せなかった。」
シモーネ「国王から言ってくれてありがとう。」
シモーネは消え入りそうな声で、心から話をしてくれている。
「2人だけの時はローレントと呼んでくれていいよ。」
ソファーに移動し、肩を寄せ合おうとした時、
「ガタガタ」という音が隣の部屋から聞こえる。
???「あーー、何やっているのよ。」
聞き覚えのある声。犯人はクリスチーネ。
隣の部屋に行くと、クリスチーネのほか、イリーナ、ディアンヌ、リア、ハーヴェ、ホファー、トーステン、
ヒシーニ、アシモフ、王子、アリシアもいる。
なんでこんなにいるの、というかこれだけ、近くにいて気づかないとは。
イリーナ「良かった。」
ディアンヌ「盛大にお祝いをしないと。」
リア「料理は何がいいかしら。」
ハーヴェ「お二人の結婚式の日は祝日ですな。」
ホファー「結婚式の日にはどなたを招きますかな?」
トーステン「結婚式という祝賀行事はパアーっとやりましょう。」
ヒシーニ「お二人の結婚式はレンネ城だとすると、早く改造復旧しなければなりませんね。」
アシモフ「シモーネ、勇気をもって言わんか。」
王子「父さん、母も分かってくれてる、いや、喜んでくれていると思うよ。」
アリシア「ディディエがが面白いことがあるって言ってたけれども、こういうことだったのね。
私も母も結婚式に参加します。」
前世も含め、長い人生?ではあるけれども、なかなか言い出せなかった。
前世の妻、亡くなった妃に続き、3度目の結婚である。
作者のうしねこです。
これでよかったのか?
国王は迷ってはいますが、今はただ、彼女を大切にしようという思いの様です。




