135. 偶然の出来事
<生成された薬品>
ヘキサメチレンテトラミン(尿路感染症治療薬)
RS-RDX(C4火薬原料)
135. 偶然の出来事
ある日朝、朝食をとっていると、イスナルドから電話がかかってきて、
「事故がおこったので、すぐに医療学校に来てほしい・」とのこと。
食事を中断し、あわてて医療学校に向かう。
入り口の受付で助手に声をかけられ、
助手と一緒にある研究室に向かう。
研究室に入ると火事?爆発?で、ガラスが砕け散り、机や棚もめちゃくちゃになっている。
吹き飛んだ椅子の周りに血の跡がこびりついている。
助手に話を聞くと、3名死亡、1名重体とのことで、
ストレッチャーに運ばれた重体の研究員と一緒に、
イスナルドは付き添いで東病院に向かったとのこと。
助手に状況を聞く。
尿路感染症治療薬の研究をしていたらしい。
「私が朝この研究室に向かっていたら、突然大爆発したんです。
慌てて駆けつけると、こうなっていたんです。」
「昨日からC6H12N4の生成中だったんです。(数字は小文字)」
ヘキサメチレンテトラミンの生成中だったらしい。
ホルムアルデヒドとアンモニアの反応をさせていたということか。
ん?。
C6H12N4?
「ここでは他にどんな薬の研究をしていたんだ?」
昨日のグループが、じつは新しいコンデンサの部品原料として、
タンタルを抽出するため、王水を精製してました。
王水?
濃塩酸と濃硝酸→王水、HNO3+3HCl (NHO3の数字は小文字)
HNO3? C6H12N4?
C&H12N4+4HNO3 -> (CH2)3(NNO2)3+3HCHO+NH4NO3(数字は小文字)
?!
仮説はこう。
ヘキサメチレンテトラミンを生成中に、昨日の王水を精製した時の硝酸が何らかの理由で残っており、
混ぜられてしまった。
そうすると、RS-RDXが間違って出来上がってしまった。
いわゆるC4爆薬が偶然精製されてしまった。
でも、それだけでは爆発しない。
ん?
ファイヤーピストンの様なものが転がっている。
「これは?」
「発火装置です。」
先端が粉々になっているが、
どこかで見たような?
「あっ、そういえば、鉱山の近代化ということで、電子雷管の研究もここで行っていました。」
?!、それだ。
まずはヘキサメチレンテトラミン生成中に、間違って硝酸を混入、偶然C4爆薬(RS-RDX)の原料ができる。
加熱処理をする目的で、アルコールランプにファイヤーピストンで火を着けようとしたところ、
似ている電子雷管をつかみ、それが、何らかのミスで、RS-RDXの爆発を誘発したのではないか?
その後、研究目的によって設備を分けること、試験品にはペンで何か明記すること、
実験中の薬品は名前を書き、人が交代してもミスが行ない様、
徹底した管理をイスナルドには要求した。
でも、偶然としてはC-4爆薬が出来上がってしまうとは。
作者のうしねこです。
事故とはいえ、偶然の産物で、C4火薬原料が出来上がってしまいました。
北の魔法軍事大国、ホスナブルック王国に絡み、何か国王は考えているようです。




