134. 西方の義理の父来訪17_別れ
デルフィン国王、クリストフ王子、シャロン王女は350㎞ある西砦へ向けて、
イルンを出発し、リール国を後にします。
134. 西方の義理の父来訪17_別れ
明けて翌日。
西砦までデルフィン国王、クリストフ王子、シャロン王女を迎賓バスで送ることになり、
政府庁舎ビル1Fのロビーでは、各大臣が集まり3人と別れの握手を交わしていた。
私と王子は一緒にバスに乗り込み、西砦まで送る。
ハーヴェ「国王、いろいろとありがとうございました。妃も喜ばれていることと思います。」
デルフィン「こちらこそ世話になった。亡き娘がとても幸せであったことが、改めて感じることができた。」
ホファー「国王、両国の行き来は車や今後鉄道開通により、より容易になると思います。
ぜひまた、我が国にいらしてください。」
デルフィン「ありがとう。両国の絆はより深まると思う。」
バスは出発し、イルンの町を西に向かう。
ちょうど朝ラッシュの時間で、バスはゆっくりと走る。
デルフィン「1年前、大地震に見舞われ、娘がなくなったと聞いた時は、
町が壊滅し、ほぼ建物の無い瓦礫の山と想像していた。
しかし、1年後訪れてみると、我が国より発展しているではないか。
この国の国民1人1人の努力の結果だと思うが、導くものが正しい道を示さないと、
こうはならん。
ローレント国王が国民のとても良い道しるべとなっていることは今回の訪問でよくわかった。」
バスはブルツブルグ川を渡り、イルン西魔法パレス再開発地域を通過する。
デルフィン「我が国は街中の高い建物でも4Fの高さであるが、
10Fを越える高い建物が立ち並び、この様に、町のあちこちで再開発が行われている。
車や電車などの輸送機関も充実し、水道や電気などの新しい生活に必要な設備も、
この様に整えられている。
我が国とは雲泥の違いだ。」
バスはイルンの町の郊外に出て、80㎞/h位の速度で走る。
デルフィン「目に見えるものだけではない。金融と経済のシステム、
医療のシステムなどの制度も、よく考えられ、充実している。
それは、国民が豊かになる為によく考えられた制度で、
決して国の上流階級がさらに豊かになるものではない。」
デルフィン「以前娘が生きている時にあった、貴殿とは別人の様に思える。
しかし、娘が亡くなり、娘を大切にしていたからこそ、変わられたのだと、私は信じる。」
シャロン「以前この国に伺った時よりも、何か国民の顔が活き活きとしてましたわ。
遊園地を訪問した時、そこで家族で訪れていた者の顔が忘れられませんわ。」
デルフィン「今後留学した時に、学ぶものがいっぱいありすぎて、いい意味で困りそうです。
我が国もこの様な町を作っていけたらと思います。」
2時間後、昼食が給仕される。
とんこつラーメンである。
シャロン「これ、病みつきになるのよね。」
給仕したクリスチーネ曰く、
「作り方は同行された方に教えました。」
とのこと。
昼過ぎに、西砦に到着した。
フクセンブルク公国からの馬車が迎えに来ていたが、
デルフィン「早速貴殿に寄贈いただいた車に分乗してフィンデルまで帰ろうと思う。」
と随行員に話をする。
「交通営団の教官殿、くれぐれも安全運転で頼む。」
デルフィン「本当にすまなかったな、ではまた会おう。」
国王と、王子、王女は車に乗り込み、西砦の向こうへと帰っていった。
作者のうしねこです。
デルフィン国王ら3人は母国に戻っていきました。
デルフィン国王は、ローレント国王の劇的な変化(元知事転生)について、
疑問に思っていましたが、あえて深く聞かなかった様です。




