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19 プラズマ捕獲作戦、です


 3時のおやつを食べて片付けが終わった後、ツインテ、パープレア、ツナ、マヨの4人はテレビで魔法少女ドギマギを見ていた。


「アー、モミさん、3話でもう死んじゃった。 ツインテ、どーなんのこれ?」


「知らんがな。 それよりドギマちゃんはなかなか変身しないのう…」


「あの白いウーパールーパーが怪しいですね、マヨ」


「はい、状況的に下手人の匂いがします、ツナお姉さま」




モワモワモワ、ブーン、パチパチ


「???」


「何か廊下から物音が聞こえたような気がするな、レア」


「私が見て来るぞ」


 パープレアはヒュンと立ち上がり廊下に出た。


ダダダダッ


 30秒くらいしてパープレアが走って戻って来た。


「廊下に何か変なのがいる。 光って浮いていたぞ!」


「形は無いのか?」


「丸い球状発光物体!」


「プラズマのような物体でしょうか?」


「そう、それかもしれないツナ」


「それならば私達が捕獲します」


シュタッ、スタタタタ


 ツナは急いで廊下に出て行った。


「マヨ、どういう事だ?」


 まだリビングに残っていたマヨにツインテが尋ねた。


「私達はこの家でメイド修業をすることを主な使命としてやって来ましたが、プラズマを見かけた場合その捕獲も命じられています」


「ほー、そんな事も命令されてたのか。 でも家は壊すなよ」


「はい、私達だけで何とか捕獲しますので、おふたりはここで寛いでいてください」


ドタバタ、ドッタンバッタン


「ツナのやつ大丈夫かー」


「では行って参ります」


「グッドラックじゃ」


 マヨは元自分達の入っていた箱から、つり具のタモ網のような柄の付いた特殊ネットを2本取り出し部屋を出た。


バタバタ、ガッシャン、ドッカーン


「うーむ、ツインテ、私達も行った方がいいんじゃないか?」


「あれはメイド姉妹達の仕事だからなぁ」


ズーン、ミシミシミシ


「オー、深度2クラスで揺れたぞ」


「キャー、ツナお姉さま!」


「…とても寛げるような状態ではないな…。 …しょうがない、家が壊されても困る、手伝ってやるか」


「おおよ! 更衣魔法、魔法服!」


パパパ、ドヒューン


 魔法服姿にチェンジしたパープレアは、ツインテと共にメイド達の支援に向かった。



「これ程までとは…」


 廊下に出たツインテは驚いた。


「随分と焦げたり?がれたりしてますね」


ドドドドーン


「上か。 行くぞ」


 ふたりは所々新しい罅や傷のある階段を一気に駆け上がった。


ズズーン


「お姉さま、そっちに行きました」


「えいっ」


ビュン


 オレンジ色をした直径30センチ程のプラズマは、網を回避して廊下の壁にぶつかり猛スピードでバウンドして逃げた。


ドカドカ、ガシャーン


 タモ網の柄が壁に接触し、折れて飛び散り天井に突き刺さった。


「ああ、照明が壊れたぞレア」


「あの調子では捕まえるまでに被害が広がりますね」


「マヨ、特殊タモ網ではだめなようね。 非常時です、腕の内蔵機能を使うわ」


キュイーン!


「アームバーナー!」


 ツナの左腕から炎が噴き出した。


ゴゴゴゴゴゴッ


 炎に煽られプラズマは反転して勢いよくマヨに向かった。


「ここから先は通しません。 アーム電磁ネット!」


キュワン! バシャッ!


 マヨの右腕から強力なエネルギーを帯びたネットが射出された。


バサバサバサ


「今よツナ姉さま!」


 電磁ネットのエネルギーが切れた瞬間、ツナがプラズマを捕らえたネットを押さえ込んで包んだ。


「捕獲成功だぞ!」


 パープレアが腕を上げて喜んだ。


グググググギュ、ブワーン


 「何?」


 ネットの中のプラズマが急に振動膨張し始め、ツナは成す術無く困惑した。


「危ない、離れろ!」


 ツインテの声にツナは咄嗟にプラズマを捕獲していたネットを手放した。


ブオーン


「ガスだ! 逃げろ!」


 ツインテが叫んだ。


ピクァッ、ドッガーンッ!!!、グワッワワワ…


 ガスを噴き出したプラズマはその直後爆発し、小さな残りカスが廊下の天井の隅にあった黒い隙間に逃げ込み、シュッと隙間が閉じた。


 2階の廊下は酷い焼け焦げ具合で、ガラスは割れ天井や壁の板が外れて見るも無残なことになっていた。 爆発地点の床は抜け落ち下に1階の廊下が見えていた。


「オーノゥー。 これは酷い…」


 パープレアが片手で顔を塞いだ。


「ツナマヨ、生きてるかー」


 安否を確認するようにツインテが呼び掛けた。


「私は大丈夫です…」


 マヨが白い煙の中から返事をした。


ガラガラガラ


「取り逃がしました…」


 崩れた建材の下に埋もれていたツナが瓦礫を押し退け立ち上がった。


「ふたり共無事のようでよかったわい」


 ツインテが腰に手をあてふたりを労った。


「ご協力感謝します」


「まあ、私達は何もしてないんだけどね」


 マヨが感謝の意を伝えると、パープレアはそう言い肩を(すく)めるようなジェスチャーをした。



「あのプラズマのような物体、残りカスが空間の隙間に逃げ込んだところを見るとジキタリス達の手下だったようだな…」


 ツインテがパープレアの耳元で呟いた。


「偵察かぁ。 べつに逃げたりしないのにマメなこった…」



               ・



「ガチャン、ただいまー。 帰ったわよー…って、これはいったい…」


 帰宅したユキとチルドは我が家内部のあまりの惨状に絶句し、両手に持っていた荷物を落とした。


「おかえりなさいませ。 大変申し訳ありません、これは私達姉妹のプラズマ捕獲作戦失敗の犠牲になった屋内の状態であります」


 煤だらけで髪の乱れたスク水ツナマヨがやっちゃった感の漂う表情でそう言うと、後ろに立っていたツインテとパープレアが真顔でコクコクと頷いた。


「そう、ふたりがやらかしちゃったのね、うふふ。 これは~『やらしー下着のままお尻をペチペチと撫でまわすように100回叩くの刑』にぴったりの事案だわよね」


 ユキがニコニコした顔で言うと、ツナマヨは顔を赤くして俯いた。


「ごめんなさいツナマヨ…守ってあげられなくて…」


 チルドは小声でそう言うとツナマヨからそっと目をそむけた。


 妹達がもう助けられない領域に踏み込んでしまった。 そう覚悟するチルドであったが、次の瞬間から何か名案は無いものかとまた思考を始めるのであった。




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