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18 ツナマヨとおやつの時間です


「では、行ってきます! 留守を頼むわ。 若干不安は残るけど、みんな仲良くしてるのよ」


 この日、ユキはチルドの買い物に付き合うため午前中に外出した。


「いってらっしゃいませ」


 玄関で声を揃えて見送ったツナとマヨにユキが笑顔で小さく手を振った。


バタン


「さあて、昼まで何をするかだな」


 ツインテが意見を求めるような素振りでパープレアを見た。


「あれがいい、ウルトラメガコンミニに入っていたスーパー裏通りファイター2X」


「パープレアはあれが気に入ったんだったな。 それでは勝負だ!」




うわうわうわぅぁ…


「レア、おぬし、弱いのぉ。 話にならん」


「悔しい! もう一回!」


 格闘ゲームでツインテに連敗したパープレアは意地張り気味に食い下がった。


「じゃあ次はこのあまり使ったことのないキャラで相手してやる」


「おやつのアレを1個賭ける!」


「言ったな」


ピロトト


「お、北方剣士ナルココを選んだか」


「じゃあ私はこれで行く! イケ、隠しキャラ、メカドンギャス!」


ファイ! テケレッテッテー


ドスドス、バキャ、超龍剣技ナホトルカ!


ズズズ、ドギュ、うわうわうわぅぁ…


超自然のお仕置きよん!


「くぅ、なぜ勝てぬ…」


「全く修行が足りんな。 おやつのプリン大福は私がいただいた」


「技の入力がそれぞれ3FPS程遅いです」


 仕事の合間に近くで見ていた見習い新人メイドのマヨがパープレアにそっと教えた。


「マヨ、そうは言うがな、そこが難しいのだ」


「やって見せましょうか」


「おお、そうしてくれ!」


ピロトト


ナルココ VS メカドンギャス ファイ!


ズゴズゴズゴ、ドシュドシュドシュ、ドガドガドガ、メガエネルギー咆哮弾ファイナルフレア! ギャオーン、ドドドドーン!


キャッヒャーャャャ…


「おお、マヨのメカドンギャスが勝ったぞなもし!」


 パープレアが自分が勝ったようなガッツポーズをして喜んだ。


「ふう。 なかなかやるなマヨ。 技入力に隙がない」


 ツインテがマヨを褒め称えた。


「ありがとうございます。 こういった遊びは得意なのかもしれません」


「ううむ。 これはおやつのプリン大福はマヨ行きだな」


「私はパックの栄養ドリンクがありますのでそれで済ませます。 パープレアさんにあげてください」


「うむ、では結局各自2個ということになったな。 良かったなレア」


「やったー。 ありがとうマヨ!」


「どういたしまして」


 そう言うとキツキツスク水姿のマヨはメガネを指先で少し上げ、仕事に戻った。




「よし、次はこのゲームで勝負だ! おやつの賭けも続行する!」


「まだやるのか…。 何々、対戦ぽよりんコンバット。 これはやったことが無いな…」


「フッフッフ、勝てる…、これなら勝てる」


いくよーん、ポワワワーン


ズンズクズンズク、とりゅりゅりゅりゅりゅ、ポカーン、ドシュン


ほよほよほよー


「あ、負けてしまった…」


「本当に弱いな。 初めてプレイしたワタシに負けるとは…。 またおやつの1個は私のモノだな」


「…たっぷり溜めてから連鎖させて消して、相手にお邪魔ぽよを送るのです」


 いつの間にか隣で見ていた新人メイドのツナが画面を指差しパープレアにコツを教えた。


「ツナ、そうは言うがな、そこが難しいのだよ…」


「私が代わります」


「おう、頼むツナ」


ズンズクズンズク、ペイーン、ペイーン、とりゅりゅりゅりゅー、ボカボカボカ、ドーン、ドーン、ドシュドシュドシュン!


てってれてー


「やった、ツナの勝ちだ!」


 パープレアは勝ったメイドに抱き付いた。


「ツナマヨ姉妹は揃ってゲームが得意なんだな。 ほれ、おやつはツナのモノだ」


「私もパックの栄養ドリンクで済ませますので、パープレアさんにあげてください」


「やったー。 ありがとうツナ!」


「どういたしまして」


 そう言うとキツキツスク水姿のツナは立ち上がり、仕事に戻った。


「おお、激しいデジャブ感が…。 またこの流れか…」


 ツインテが「たはは」といった表情で腕を組んで苦笑いをした。



               ・



「やって来ました午後3時。 おやつの時間です!」


 新人メイド達がソファー前の低いテーブルにおやつのプリン大福を4つ持って来て、パープレアが待ちきれないといった様子で喜んだ。


「各2個だぞ」


「分かってるって」


トコトコトコ


メイド達は戻って行った。


「ちょっと待った。 ツナ、マヨ。 あんた達もおやつを食べなされ」


 ツインテの呼び止めに振り向いたツナマヨが意外そうな顔をした。


「私達は栄養ドリンクがありますので…」


「いやいや冷蔵庫にはおぬしたちの分もあったはずだぞ」


「そのようですが、私達には不要ですし、私達が食べなければツインテさんとパープレアさんが明日にでもまたこれを食べられます」


「ユキならツナマヨも一緒に食べるべきねっとか言うぞ」


 ツインテがユキのもの真似をして言った。


「ああ、そうだな。 チルドも皆で食べるとおいしくなりますとか言ってたかな」


 パープレアもチルドのもの真似をして言ったが、あまり似てなかった。


「ですから…」


「まあまあ、食べようぜー」


 パープレアが冷蔵庫からおやつを取り出しテーブルに載せ、ツナマヨを引っ張ってきてソファーに座らせた。




「モグモグ、モグモグ」


 その日のおやつはこの4人で食べた。


「ツインテ、なかなかうまいもんだな。 プリン大福。 モグモグ」


「おぅ、レアよ。 モグモグ」


「おいしゅうございます」


 ツナマヨが揃って言った。


「ツナマヨよ、ふたり共カラメルが口に付いてるぞ、モグ」


 ツインテが食べながらふたりに指摘した。


 ツナマヨはハッっとして速やかに口の汚れを拭き取り、失敗したといった表情をして顔を赤らめた。


「ここだけの話、あのチルドも初めて物を食べたときは口にクリームが付いていてな、マリコに拭いてもらっていたのだぞ。 モグモグ」


 ツインテがふたりにそう言うとツナマヨは意外そうな表情をしてツインテの方を向いた。


「そうなんですか。 チルドお姉さまも失敗をすることがあるのですね」


「そうそう、皆、失敗をして成長するのだ」




「そうだツインテ、冷蔵庫の奥に入っているあれも飲もうぜー」


「なんだっけレア?」


「あれだ、この前チルドが買って来た南極コーラの残り」


「ああ、あのやたら炭酸がキツイやつか」


「うまいんだぜあれ」


ドタドタドタ、ジョワジョワジョワー


 即コップを用意したパープレアは手際よく冷蔵庫からペットボトルに入ったコーラを持ち出して注いだ。


「へへへ、これにこのメント何とかってお菓子を入れるとうまさが倍増するって話しだ」


「レアよ、どこで聞いた話だ」


「あれだよ、どこかのネットで見た話」


「よし、各自メント何とかを南極コーラに投入せよ!」


 パープレアの合図と共に4人はコーラの入ったコップにお菓子を入れた。


シュワシュワシュワ、ドババババー!


「ウワワワワー何じゃこれはー!」


「泡だな…」


 爆発的に発生した泡にテーブルを囲んだ4人は慌てた。




 大変なことになったリビングだったが、ツナとマヨの適切な後片付けにより1時間後には元の光景を取り戻したのであった。


「レアよ、ネットの言っていることをおいそれと真に受けてはならんぞ」


「ううう…。 見たかこれぞ大失敗、私は成長したのだ! これからは気を付けるニャ」


 ウインクして舌を横にちょこっと出したパープレアは、照れ笑いひとつでごまかした。


 それを見たツナマヨは、このごまかし方は私達には難易度高いな、と思うのであった。




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