お嬢様は雷が苦手?
洸夜の自宅で色々あったが、やっと就寝することになったのだが・・・・・・。
それからしばらくした後に、洸夜自身も自室へと戻って行く。
「雨が降って来たかぁ」
窓の外を見たら言葉通り雨が降っていて、しかも空が光ったりしているので雷雲なんだろうと思う。
「コウヤ。空が光ったりしているよ。何かやってるの?」
「あれは普通の雷。予報だとこっち近付いて来るから、雷の音が聴こえて来るかもしれないぞ」
「うわぁ〜! もしかして、雷が落ちる?」
「雲の中でピカピカ光るだけかもしれないし、何よりも家の中にいれば安全だから心配しなくてもいいぞ」
そう言うとリタはホッとした顔をする。
「よかったぁ〜。向こうの世界だったら、普通にボヤ騒ぎになるからね」
まぁ、向こうの世界はレンガか木造のどちらかだからな。雷が落ちる心配もするか。
「後、私雷の音を聞くのは嫌だから、向こうの世界で寝ることにするよ!」
「あ、そうか」
「うん! それじゃあ、おやすみ!」
「おやすみ、リタ」
リタが帰った後、明日学園に持って行く物をチェックすると、目覚ましをセットしてベッドに横になった。
「さて、明日何ごともなければいいんだがなぁ」
そう言った後にゴロゴロと雷が鳴った。
もう来たのかぁ。
そう思いながら目を瞑ると、今度は雷が落ちた音がしてカーテンの隙間から光が漏れ出て見えた。
「かなり近いところに落ちたなぁ・・・・・・ん?」
ドアが開く音がした後に、誰かが部屋に入って来た。
「ん?」
「わひゃっ!?」
俺の一声でそんなにビビるとは思っていなかったので、逆に俺の方がビックリしてしまう。
「コッ、コウヤ、起きていたのか?」
「その声は、イレイラ王女様?」
どうして俺の部屋に来たんだ?
そう思っていると、また雷が落ちる音が背中の方から聞こえて来た。それと同時にイレイラ王女様が小さく縮こまる姿が見えた。
「〜〜〜〜〜〜ッ!!?」
このようすは、もしかして・・・・・・。
「もしかして雷が怖いんですか?」
「う、うぅ〜〜〜む」
言うのが恥ずかしいのか、それとも雷が怖いのかわからないが、うずくまったままモジモジとしている。
「そっ、そうだ・・・・・・私は雷が怖いんだ」
やっぱりそうだったのか。
「それで、どうして俺の部屋に来たんですか?」
「それはぁ〜〜〜。安心すると言うかぁ、何て言うかぁ・・・・・・」
そんなことを言っていたら、また雷が落ちる音が部屋の中に響き渡る。
「ヒャアアアアアアアァァァッッッ!!?」
見掛けによらず意外と可愛い声を出すんだな。
「大丈夫ですか、イレイラ王女様?」
「・・・・・・大丈夫じゃない」
今にも泣きそうな目で見つめて来るので、どう対処すればいいのか困ってしまう。そんなときにバタンッと扉が開く音がしたので、そちらに顔を向けるとセリアが仁王立ちをしていた。
「イレイラ王女様。どうしてこちらにいらしているのですか?」
「それはぁ〜。コウヤに・・・・・・」
そう言ったのも束の間、雷が落ちる音が部屋に響き渡った。
「〜〜〜ッ!?」
イレイラ王女が身体を縮こませるのを見たセリアは、何かを察したのか呆れた顔でイレイラ王女を見つめる。
「雷が怖いのですね」
「そうだ! オルコスの言う通りだ!」
「で、何でコウヤくんの部屋にいるのですか?」
何だろう。笑顔なんだが何故かセリアが怖いと感じてしまう。
「それは、コウヤに慰めて貰おうと・・・・・・」
「ダメです」
「どうしてなんだ?」
セリアは顔をずいっとイレイラ王女様に顔を近付けて話し掛ける。
「いい歳をした人が、歳下に慰めて貰うのは恥ずかしいと思わないのですか?」
「そっ、そんなことはないと思うぞ! 私の母だって、しっかりしているときと、男性に甘えるときの区別をしなさい。 と言っていたぞ!」
「男性に甘えるときぃ?」
お、おう! またセリアが一段と怖くなったぞ! どういうことだ?
「イレイラ王女様はもしかして・・・・・・コッ、コウヤくんが、シュキなんですか?」
「好きとはそういうことはないが、男性として魅力はあると感じているぞ! ユニークスキルを保有しているし、何よりも強さがあるからな!」
「まぁ確かにその辺はコウヤくんの・・・・・・って、そんなことじゃないですっ! ダメったらダメなんですっ!!」
何でそんなにムキになるんだ?
「オルコス。キミはもしかして、コウヤのことが好きなのか?」
「そっ、それはぁ〜・・・・・・」
セリアがモジモジしている間に、また雷が落ちる音がした。
「ヒィイイイイイイイイイイイイッッッ!!?」
雷が落ちる音に驚いたイレイラ王女は、何と俺に抱き付いて来たのだ。
イレイラ王女が抱き付いて来たことに驚いている俺とは反面、そのようすを見ていたセリアは怒りとか恥ずかしさを通り越してしまったのか、無表情になってしまった。
「ウゥ〜〜〜・・・・・・グスッ!?」
あ〜あ、余りの怖さに泣き出しちゃったよ。
「よしよし、怖くない。怖くない」
そう言いながらイレイラ王女様の頭を撫でるのだが、何故かセリアが不満そうな顔をさせながら近付いて来た。
「コウヤくんから離れて下さいっ!!」
「・・・・・・やだ」
イレイラ王女様はそう言って抱き付いて来た。その姿を見たセリアはイレイラ王女様の服を掴み、引っ張り出した!
「はしたないから離れて下さい!」
「嫌だ! 雷が怖いっ!!」
「怖くありませんから、離れて下さぁ〜〜〜いっ!!」
セリアがそう言うと、また雷が落ちる音がした。
「キャァァァアアアアアアアアアアアアッ!!?」
イレイラ王女様はそう叫ぶと、抱きしめている腕や脚を強めた。
「ちょっ・・・・・・苦しい」
「コウヤくんから離れて下さいよぉっ! イレイラ王女様ぁああああああああああああっ!!?」
今度は涙目でそう訴え掛けるセリア。
「・・・・・・助けて。お母様」
ん?
「お母様?」
どうしてお母様なんだ?
そう思っていると、部屋のドアが開く音が聴こえて来た。
「もぉ〜、みんなして何を騒いでいるの? ってあらぁ?」
母さんは俺達の姿を交互に見て、何をどう理解したのかわからないが、両手をポンッと叩いた。
「なるべく静かにしてね。それと洸夜はみんなのものだから、独り占めしちゃダメだからねぇ〜!」
ちょ、ちょっ!? 待て待て扉を閉めようとするなぁ!
「母さん、この2人を止めてくれよ!」
「そうですよ! イレイラ王女様は、コウヤくんと共に寝ようとしているんですよ! 止めるべきですっ!!」
「添い寝ぐらいなら、お母さんは許可するわぁ」
母さんのその言葉に、セリアは目を見開いて驚いていた。
「それに、あんなに怯えているイレイラちゃんを引き剥がして部屋に戻す方が、酷いと思わない?」
「まぁ確かにぃ・・・・・・その通りと言えば
その通りなんですけどぉ〜・・・・・・」
「そんなに不安なら、セリアちゃんも添い寝してあげればいいと思うよ」
「そっ、そんなことしたら、しゅ、しゅしゅっ、淑女としての嗜みに関わりますっ!! でもぉ、コウヤくんだったらぁ〜・・・・・・」
そう言ってモゴモゴと何かを言うセリアに母さんは近付くと、肩に手をポンッと乗せた。
「そうやって考え込んじゃうからダメなのよ」
「考え込むから?」
「そうよぉ。いざってときは迷わずに行動するのが大切。出ないと欲しいと思うものが逃げちゃうよ」
「あ、でもぉ〜」
セリアは何かを言いたそうな顔で、俺と母さんを交互に見つめる。
「もぉ〜焦ったいわねぇ。セリアちゃんはコウヤのお部屋で寝ること。はい、これは決定事項です!」
「そんな、理不尽ですよ」
「理不尽でも決定事項なのです。お母さんは眠いから寝ます」
母さんはそう言うと逃げるように出て行ってしまった。
「あっ、ああああああああああああぁぁぁ・・・・・・」
何故かわからないがセリアは頭を抱えながら、その場にしゃがみ込んでしまった。
こうして、三人で仲良く寝ることになったのだった。




