新章 洸夜の奢り
テロリスト達を倒し、囚われていた生徒達を助けた洸夜達。そして無乃は何処へ連れ去られたのだろうか? それに無蔵は?
これは後で聞いた話だがオルコシスさんの指揮の元、俺達が縛り上げた暗殺者達の回収をしてくれた。その中で1番酷い怪我を負っていたのは、言うまでもなくアイアンゴーレムにぶっ飛ばされた主犯格であった。
しかも捕まった際に部下達が、 だからあのカラーリングは止めましょうって言ったのに。 と話していたらしい。部下の方はわかっていたとはね。
「それで、1週間も休学になるとは思いもしなかったなぁ〜」
「うん、まぁあれだけのことがあったんだから仕方ないよ」
「アニス学園長も、対応に追われているって言ってたしね」
『私より大変な思いをしてそうだねぇ〜』
現在、ルノアにハンバーグを食べさせてあげたい。と言うセリア立っての希望で、近くのファミレスにやって来ている。
「アタシ達の世界と景色が全然違うのねぇ〜。外に出たときクルマってヤツを見てビックリしたわ」
「私も最初ビックリしたよ。まさかあんなに早く走れる馬車があるなんて。って」
『正確には馬車じゃないんだけどね』
「それにセリアは車に乗っているしな」
「えっ!? そうなの?」
ルノアはそう言ってセリアに詰め寄った。
「う、うん。スイゾクカンに行くときに乗せて貰ったの」
「どんな感じだった?」
「馬車と違って早くて、あんまり揺れないから欲しいなぁ〜。って思ったぐらい」
でもそれを向こうの世界に持って行ったら、大問題に発展するから無理だろうな。それにガソリン問題もあるし。
「ところで、本当に食べるの。ひき肉?」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
『そうだよ。結構美味しいよ』
リタも腕を上げたのか、指定した人となら話せるようになっていた。
「お待たせしました! デミグラスハンバーグとおろしポン酢ハンバーグ。包み焼きハンバーグを持って来また! ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「何かお申し付けがあったら、そちらのベルでお呼び下さい」
店員さんはそう言うと、厨房へと消えて行った。
「さて、注文したものも出て来たし、食べるとするか。頂きます」
『頂きます!』
「頂きます」
セリアも頂きますの意味を知ってからは、そう言うようになった。
「う、うん」
ルノアは恐る恐ると言った感じで頼んだデミグラスハンバーグにナイフで切り、口の中へ運ぶ。
「ッ!?」
ルノアは美味しかったのか、フォークを加えたまま俺達の顔を見つめて来る。
よかった。どうやらルノアの口に合ったようだ。
『ねぇコウヤ。早くその中身を開けてよぉ〜』
「ああ、そうだったゴメンゴメン」
リタに急かされたので包み焼きハンバーグの封を取り、小皿に切り分けると大喜びさせながら食べ始める。
『うぅ〜〜〜ん! 噛めば噛むほどお肉の中からソースの味が出て来て幸せぇ〜!』
「こっちはあっさりとした味がして美味しいぃ〜」
どうやら満足してくれてよかった・・・・・・けどさ、 今回ルノアちゃんにバレちゃったのは洸夜の失態なんだから、彼女達に昼食を奢ってあげなさい。もちろん洸夜の奢りで! って言われたからなぁ〜。念の為に多めにお金を持って来てよかった。
「あ、そうだ。2人に確認しておきたいことがあるんだが、聞いてもいいか?」
「ん?」
「何?」
「学園が1週間休みになる間、2人は何をして過ごすつもりなんだ?」
「私は勉強したり、お稽古したりするよ」
「アタシは今まで習った授業の復習をしながら、適当に過ごそうと考えているわ」
『お昼寝と洸夜のお家で遊ぶ』
リタ、お前には聞いていないぞ。
「そうか。俺も修行をしながらダラダラ過ごすのも何だから、勉強をしておくか。それと師範のところに行って、稽古をつけて貰うか・・・・・・」
「あの、コウヤくん。お願いがあるんだけど、聞いて貰えるかな?」
「ん? お願い?」
もしかして、饅頭を買って来て欲しいって願いか?
「私をね。コウヤくんの師範さんのところへ連れて行って欲しいの」
「えっ!? 師範のところに?」
「うん、私ね。この間のことで自分がどれだけ無力な人なのかわかったの。だからコウヤくんに武術を教えた人に聞けば、もっと強くなれると思うの」
強くなれると思うね。
「セリア、俺が教えてくれた人は琉球空手だから、レイピアの扱いは知らない筈だと思う」
「そうなの?」
「ああ、だから教えられないと思う」
「そうなんだ・・・・・・」
ちょっと残念そうな顔をするセリアに対して洸夜は話をする。
「でも、師範の娘さんなら教えられるかもしれない」
「本当ぉ!?」
「ああ。同居もしているから聞いてみようか?」
「お願い!」
「ただし、断られたら諦めてくれ」
「う、うん」
セリアは嬉しい反面、不安そうな顔させていた。
「アタシも弓を!」
「すまんルノア。師範の道場に弓を扱える人はいないかもしれない」
「そんなぁ〜・・・・・・」
そう言いながら、残念そうな顔をする。
「いなかったら俺が知っているから、出来る範ちゅうで教える。心得は知っているからな」
「ホント、助かる!」
ルノアの弓術には改善点が多いが、ゆっくり直していくしかなさそうだ。
「・・・・・・コウヤくん」
「ん?」
「ルノアに練習に付き合っているときは私も側にいたいから、私も呼んでね」
な、何だ? セリアから拒否権がないと言いたそうなオーラが出でいる気がする。
「お、おう。わかった。ルノアと練習するときは、セリアも呼ぶよ」
「うん、絶対にそうしてね」
その後もニコニコ顔のセリアと共に食事をしたのだが、俺達は生きた心地がしなかった。
こうしてルノアにハンバーグを奢った洸夜だったが、財布に痛いダメージを負ってしまったようだ。




