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第26話 食堂バトル再開! そしてルノアさん、大丈夫ですか?

新しい魔法が出来るかも知れないと喜びながら出て行ったルコア先生。そして機嫌が直ったセリアだったのだが、暗雲が立ち込めているぞ。

その後、午前中の授業を終えてお昼休憩になったのでセリア達と共に食堂へと向かうのだが、何と先回りしていたかのようにアンリネットさん達が待っていたのだ。


「ミヤマ様、お待ちしておりました」


カーシャさんはそう言いながら俺の手を取って引っ張って来た。俺からしてみれば 有無を言わずにこっちに来なさい。と言われている感じがしてならない。


「えっとぉ・・・・・・」


「コウヤ、こっち」


いやね。コウヤ、こっちと言われても、今度は何をされるのかわからないから迂闊に近付けないんだよなぁ。


「ミヤマ様」


カーシャさんもそう言いながら掴んでいる手に力を込めるので痛くてたまらない。後、笑顔なのに何故か恐い。


「コウヤくん、座りましょうか」


「えっ!? でも・・・・・・」


「いいからね?」


「あ、うん」


セリアの言う通りアンリネットが座っているテーブルに向かったら、何とセリアが俺をアンリネットさんの向かい側に座らせてから隣に座ったのだ。

その後、挑戦的な顔でアンリネットさんの顔を見つめると、アンリネットさんは唸りながら不満そうな顔でセリアを見つめている。


「ムゥ〜!?」


「ウフフフフフフ」


「うわぁ〜、2人共凄い剣幕」


「アタシ小さい頃からセリア一緒にいたけど、あんな恐ろしい姿を見たことがないわ」


おかしいなぁ。アンリネットさんの背中からは虎が見えて、セリアの背中から般若の顔が見えるぞ。これが俗に言う、質量を持った残像ってやつなのか?


「あれ? ちょっと待って! この配置を見る限り、アタシはアンリネット様のお隣で座る感じになってない?」


「ああ〜、言われてみれば確かにそんな感じだねぇ〜」


「ねぇコウヤ! お願いだから場所変わって頂戴!」


「ゴメンねルノア。それだけは無理」


いや、何で俺じゃなくてセリアが答えるんだ?


「じゃあ、セリアがこっちに来て私と場所を変わる。そうすればいい」


「それは無理な話ですよ。アンリネットさん」


「ムゥ〜・・・・・・」


アンリネットは頬を膨らませながら俺の顔を見つめる。いや、そんな不満そうな顔をされても困る。全部セリアが答えたんだから。


「まぁまぁアンリネット様。ミヤマ様と共に昼食を取れるのですから、不満そうなお顔をされなくてもよろしいと思います」


「隣がいい」


「まだまだチャンスはありますから、今は我慢致しましょう」


「わかった。カーシャがそう言うんだったら信じる」


「さぁ、お嬢様。昼食を取って下さい」


「・・・・・・ん」


アンリネットさんはそう返事をすると、カーシャさんから出された料理を黙々と食べ始めた。


「ア、アアアアタシ達は食券を買いに、いいいいいい行って来るわねぇ! いきっ、行き来ままままましょう! セ、セリアッ!!」


「う、うん」


セリアは壊れたロボットのようなルノアに引きつつも一緒に食券を買いに行き、俺の方は母さんが作ってくれた弁当を取り出した。


「今日のお弁当楽しみだねぇ〜」


「そうか?」


母さんが作った弁当はロクなものじゃないことが多いので、俺としては開けたくないという気持ちで一杯だ。やっぱりあの時に断ればよかったか?


そう、洸夜が明日朝早く起きて弁当を作ると母親に言ったら 私が洸夜のお弁当を作るのっ!! と涙目で反論して来たので諦めたのだ。


「ああなった母さんは、絶対に譲ろうとしないしなぁ〜」


しまいには泣き出して不貞腐れるので、姉さんも説得するよりも諦めていたことが多い。


「母さん? ミヤマ様は母親と一緒に住んでいらっしゃるのですか?」


「あっ!?」


マズイ! そう言えば俺は留学している設定だから、両親と共に住んでいると知られたら不審がられる。


「いや、そのぉ・・・・・・2日前から母親が家に来ていたのですが、しばらく会えなくなるのだから、今日のお弁当だけでも作らせて。と言われたので頼むことにしました」


「コウヤのお母さん、小柄なんだよねぇ〜」


「ほう、ミヤマ様の母親が家に来ていたのですね」


顎に手を当てて考えるカーシャさんの姿見て、この設定にちょっと無理があったかなぁ〜? と思ってしまう。


「・・・・・・まぁいいでしょう。いつかミヤマ様のご両親にご挨拶したいですね」


「まぁそのぉ〜、機会があればお声掛けします」


よかったぁ〜。何とかピンチを切り抜けたみたいだ。


「ココココウヤ、おまっ、お待たせ!」


「今日は混んでなかったから早く料理が来たよ」


ニコニコ顔のセリアはいいけど、手が震えているルノアの方は大丈夫なのか? ビーフシチューっぽいのが器から落ちそうになっているぞ。


「食べましょう、食べましょう・・・・・・美味しいグラタンを食べましょう!」


「それグラタンだったのっ!?」


カレーのような液体がグラタン? ビーフシチューの間違いじゃないのか?


「え? ルノアが頼んだのはビーフシチューじゃないの?」


やっぱビーフシチューで合っているんだ! 自分が頼んだモノがわからなくなるほど緊張をしているのか、お前は!


「ルノア、リラックス。リラックス」


「アタシは、おお落ち着いているわよリタ!」


「いやいやいやいや、どっちを向いて言ってるのっ!? 本当に大丈夫ルノア?」


「へ、平気に決まっているでしょう!」


そう言ってアンリネットさんの隣に座った瞬間、ルノアは無我の境地達したのか死んだ魚の目のままビーフシチューを見つめる。


「ワァー、コノ コーンポタージュ トッテモ オイシソウ」


「「「コーンポタージュッ!?」」」


「イタダキマスッ!」


元気よくそう言うとスプーンを手に取り、熱そうなビーフシチューを口の中へと運んで行く。


「あ、ルノア!」


「ちょっとそれは!」


静止させようとしたのだが時すでに遅く、ルノアはパクリとビーフシチューが乗っかったスプーンを咥えてしまった。


「バカッ!?」


俺自身もそう言いながら立ち上がったが、しかし。


「ウマイッ!!」


「「「「「・・・・・・え?」」」」」


「ノウコウ デ トロトロ デ トッテモオイシイ! コーンポタージュ サイコォー」


ルノアはその後も ウマイウマイ・・・・・・。 と言いながら黙々とビーフシチューを食べていたのだ。


「なぁセリア。ルノアって熱い食べ物得意なのか?」


「う〜ん、私の記憶じゃそんなことなかった気がする」


「じゃあこの黙々と食べている姿はもしかしてぇ〜・・・・・・」


「多分コウヤくんが考えている通り、熱さも味も感じていないじゃないのかなぁ?」


まさに人間の超えられない一線を超えてしまった姿がそこにあった。じゃなくて!


「ルノア、口の中火傷してないか?」


「あ、その可能性があるかも」


「後で私が治してあげようか?」


「この状態が治ったらそうしてくれ。さ、俺達も食事にしよう」


ウマイウマイ・・・・・・。と言うルノアの言葉をBGMにしながら、お弁当の蓋を開けたのだが俺とリアの顔が引きつった。


「これはちょっとぉ・・・・・・」


「何をやってんだ母さん」


自分の顔を模したキャラ弁を作るなんて思っても見なかった。しかもラブって何だラブって! カタカナにするぐらいなら、英語のIoveにしろよっ!!


「コ、コウヤくんそれって・・・・・・コウヤくんのお母さんの顔だよね?」


「あ、うん。母さんに弁当を作らせたら、こうなったんだ」


「ああ〜、なるほど」


セリアも察したようで同情の眼差しを向けて来た。


「こうしていても何だから、食べようかリタ」


「そうだね」


箸で母さんの顔を切るとリタ用の小皿に分ける。


多分母さんがこの光景を見ていたら、 エ〜ンッ!? 洸夜が私の顔を切ったっ!! って言って泣くだろうなぁ。てか前に母さんの目の前でやったらマジで泣いていたし。


「はい、リタの分」


「ありがとう、コウヤ」


「可愛かったのに」


すまないアンリネットさん。俺達は恥ずかしくてならないんだ。


俺達も黙々とキャラ弁を食べるのであったが、アンリネットさんがカーシャさんに向かって 私にもああいうの作って欲しい。 と言っていた。うん、やっぱりアンリネットさんはまだ子供だな。

こうして楽しい食事を終えた洸夜達だったが、ルノアさんの口の中は平気なのか?

次回もお楽しみに!

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