12 交わした約束
「――まあ、いいよ。咲夜さんがどう思おうが、僕は気にしてないし。平気だし。だから、謝る必要は無い。オッケー?」
僕が言うと、仕方なし、といった感じで咲夜さんは頷いた。
「うん。ありがとう」
「どういたしまして」
何にありがとう、なのかはよく分からんけども。
「……やっぱり、駿くんは優しいね」
「へ? なんで?」
僕としては、ただ何も悪くない女の子に、君は悪くないって言っただけだ。
どこに優しい要素があるのか分からない。
「なんでもいいの。私には分かってるから。駿くんには秘密♪」
可愛らしく、人差し指を立てて唇に添えながら言う咲夜さん。
うーん、かわいい。
こりゃあ秘密にされちゃいますわ。
「……でも、もし勇くんに何かされたら、私にも相談してね? さすがに鬼瓦くんみたいなひどいことはしないと思うけど。でも、勇くんは駿くんが絡むと何するか分からないとこあるから」
「おっけー、分かった。その時は咲夜さんに頼るよ」
「ふふっ。頼りにしてね。私、待ってるから」
この場合、待ってるってのは僕が永瀬くんに何らかの実力行使をされることを意味するんだけども。
まあ、いっか。
咲夜さんかわいいし、細けえこたあいいんだよ。
「――せっかくだから、指きりしよっか」
「指きり?」
「ちゃんと駿くんが私を頼ってくれるように、約束するの」
「なるほど。咲夜さんがしたいならいいよ」
そこまでするほど、僕は抱え込むタイプに見えるのかな。
頼れる時は遠慮なく頼るつもりなんだけどね。
「じゃあ、駿くん。小指出して?」
「はいはい」
咲夜さんが先に小指を立てて差し出して来たので、僕はそこへ自分の小指を立て、絡ませた。
きっちり指切りの格好が出来上がってから、咲夜さんが呟く。
「約束するね。私、駿くんが苦しい時、大変な時は絶対に助けになるから。どんな敵が相手でも、必ず駿くんの味方になる」
「ありがとう、咲夜さん。はい、指きった」
咲夜さんの約束をしっかり聞き届けてから、僕は小指を離す。
何か名残惜しそうにしながら、咲夜さんは言った。
「嘘ついたら何にする? 私、なんでもするよ?」
「なんでも、なんて女の子が平気で言っちゃだめだよ」
「……駿くんにしか、そんなこと言わない。だから、平気」
「そ、そっか」
くぅ~~、これは強い。
男としての魂を揺さぶられますなぁ……。
「じゃあ、けっこうマジでなんでも頼んじゃおうかな」
「え、何させるつもり?」
「うーん……部屋の掃除とか?」
「ふふっ、なにそれ。いいよ、じゃあ嘘ついたら一日メイドさんね」
「おっ、いいねそれ。僕も専属のメイドさんほしかったところだし」
――とまあ、そんな感じで僕と咲夜さんは、しばらく図書館で楽しく話を続けたのだった。




