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幼女、救います!

お久しぶりです! 生きてます!

 ガタゴトと車体を揺らしながら進むこと暫く――気づけばすっかり日が暮れ始め、代わり映えしなかった草原生い茂る緑の道も夕暮れに照らされ少し朱色に染まる。



 *未開拓地の探索等の長期依頼の際、夜間での行動は視野が狭ばり、自身の能力を充分に発揮できない為、控え、即刻寝床を用意すべし(「初心者でも10日でマスター! たぶん猿でも分かる冒険者の心得/著・通りすがりの冒険者T」より――)



 流石に夜道を進むのは危険だし、完全に日が暮れる前に寝床を用意したいが、如何せん此処には王女であるルーシェもいるわけで(彼女は気にしないかもしれないが)、出来れば野宿でなく何処か宿を確保したいと思っていると、当人曰く、もう少し進んだ先にある森の付近に村があるらしく俺たちはそこへ向かうことになった。





 それから30分くらい経っただろうか――森のそばを進んでいるとルーシェが言った通り、木柵で囲まれた村らしき建物が見え始めた。


 退屈さ故に生じた、はやる気持ちを抑えるも、そんな些細な気遣いとはお構い無しに、馬車は一定の速度を保ちながらゆっくりと目的地に向けて進んで行く。


 兎も角今日は長時間移動で疲れたから早く宿を取って寝よう――そんな呑気なことを思っていた刹那。


「―――――!」

「!?」


 サァーサァーと風に揺らされて奏でる緑の騒音のせいで、はっきりと聞こえたわけでは無いが、微かに森の方から女性らしき悲鳴が聞こえた気がした。


「主人、いまの……」


 如何やらリリムも聞こえたようで、確認するように俺を見る。


「あぁ……」


 彼女の催促する様な視線に俺はそう一言残し、悲鳴が聞こえた位置を確認する。


 位置的に村との距離が近く、もし何かあれば被害が出るかもしれない。そうなれば最悪野宿の可能性もある。

 折角ゆっくり休めるのに其れは避けたい――とそんな事考えてる間にも、最悪のケースになる時間は刻一刻と迫っている。とは言え、このまま馬車で向かっても間に合わないかもしれない――


「む? どうしたんだ二人とも?」


 と言うわけで、一人自体が掴めず不思議そうにこちらを見ているルーシェに事情を説明した後に、必要ないかもしれないが、念の為彼女(ルーシェ)の護衛としてリリムを残し、急ぎ元凶の下へと駆け出した。






 ♢とある村娘



 わたしはエマ、5さい。アカサタ村にある宿屋の娘でお友達と遊ぶ日以外は毎日ママのお手伝いをがんばってるの。

 前まではお兄ちゃんたち、ロウお兄ちゃんとリアお兄ちゃんとルイお姉ちゃんも一緒だったんだけど、三人とも新しいお仕事で村をでてしまったの。


 だから出来ることは少ないけど、今はわたしがママを支えなきゃ!


 そう言うわけで今日もいつもの様にママのお手伝いを頑張ろうと思ってたのに、なんだかママの元気がないの。 

心配になってママのおでこに手を当ててみたらすごく熱かったの! 間違いない、これはお熱なの!


 でもどうしよう……。


「そうだ!」


 昔わたしがお熱になった時にママがしてくれた事を思い出したから今度はわたしがママにしてあげるんだ!


 そう思ってさっそくマネしてみたんだけど……。


「ママだいじょうぶ?」


 濡れたタオルも用意したし、体も拭いてあげたのにどうして……。


「えぇ……大丈夫よ。ありがとねエマ……」


 どうしてまだ辛そうにしてるの?


 おかしいよ、わたしの時はすぐに良くなったのに、どうしてママは良くならないの? ……そうだ、あの時ママはわたしにお薬を飲ませてくれたんだった!


 でも今うちにお薬なんてないよ……そう言えばお薬は葉っぱからできてるって聞いた事あるから、きっと森にいけばあるよね!


 ほんとうは危ないから行っちゃいけないんだけど、早くしないとママが元気にならないもん。それに村の近くだしすぐに戻ればきっとだいしょうぶだよ!






 というわけでやって来ました森の中!


 辺りには緑色で埋まっちゃうくらいたくさんの葉っぱが咲いてるけど、どれがお薬になる葉っぱが分からないよ。


 でもお薬になるくらいなんだ。きっと村には咲いて無い珍しいものだよね!


 そう思って葉っぱの採取に夢中になってたらすっかり日が上りお昼の時間になってたの。


 葉っぱもたくさん採れたしそろそろ帰らなきゃと思ったけど、日がぽかぽかと暖かくてなんだか眠くなってきちゃった……ちょっとだけならいいよね……?





「うぅん……」


 あれからどれくらい寝ちゃってたのか、目が覚めた時には辺りが暗くなりはじめちゃってた。

 うぅ、どうしよう、寝過ぎちゃったよ……とにかくはやく帰らなきゃ!


 ガサガサッ


「ん?」


 急いで帰りの支度をしていたら、近くから物音が聞こえてきて、思わず振り返ってしまったの。


『『『グルルゥ』』』

「ぁ……」


 そこにいたのは、狼の魔物だったの……そう言えば、ママに森の中には森狼(フォレストウルフ)って言う魔物がいるから絶対に近づいちゃいけないって言われてたんだった……。


「いやぁぁ!!」


 わたしは怖くなって思わず叫んじゃいながら魔物から逃げた。  


 逃げて逃げて逃げて疲れて休みたくなっちゃうのを必死で我慢して魔物から全力で逃げたの……でも――


「あぅッ!」


 途中で木の根っこに躓いて転んじゃったの。


「うぅ……」


 もう限界だよ、立てないよ……。


『『『グルルルルゥ……』』』


 顔を上げると魔物が涎を垂らしながらゆっくりと近づいてくるのが見える。


 どうしよう、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いよ。

 痛いのは嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!

 死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないよ!!


 いよいよ魔物が口を大きく開けて飛びかかって来るのを見てもうダメだと、そう思った時だったの。


「――!」

『ギャァッ!?』『グアァッ!?』『ガハァッ!?』


 魔物とわたしの間に誰かが割って入ってきたと思ったら次の瞬間、あっという間に魔物を倒しちゃったの。


「……」


 急展開の事態に驚いちゃって気付けば涙が引っ込んじゃったの。

 兎も角わたしを助けてくれたその人は、長い銀色の髪をしたお姉さんだったの。


「大丈夫か?」


 ……女の人なのに随分と変わった声してるの。もしかして男の人なのかな? 取り敢えず助かったの!

子供の口調で文章書くの難しいな。


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