61話
投稿に間に合いました(・ω・*)
大変な時期ではありますが、読んでいただいている方がほんの少しでも楽しく過ごせる様になって頂けていればいいなと思っております。
皆さま体調にはお気をつけください(´・ω・`)
「ヒロ君、気軽に神槍の力を使っちゃだめよぉ〜」
「手加減出来る様になったから使ってみただけだ、それに相手はろくな事して無い連中だろうから問題ないだろ。」
「神槍の力だって無制限に使えないのよぉ?」
「そうなのか?」
「精神力を消耗して力を発動するから、魔力回復薬を飲んでもそれほど回復しないのよ」
「でも今まで疲れるくらいにしか感じなかったけどな」
「本来の力で見たらそよ風程度しか使ってないから〜♪」
「はぁっ!」
ヒロは今まで攻撃に使っているが、正直ヤバいと感じる攻撃も何度かしている。
しかし、本来の力の持ち主であるティルから見るとあれでそよ風レベルらしい。
「嘘だろ?…」
「もし、ヒロ君が本来の力を発揮出来るなら魔力攻撃したらこのラーメールなんて平らな土地に出来ちゃうよぉ♪」
「そうか…気をつける」
「そうしなさい♪」
後ろのマリ、 ミーシャンはまだ白熱した討論を繰り広げていた。
どうやらメインは魚という事に決まったらしいが、サイドメニューとデザートをどちらが提案した物にするかという事を論議していた。
「やっぱりギョショウのソースのブロースソテーがいいよぉ!」
「…ふらい…」
「シザーサピスのフライって食べにくいじゃん!」
「…じっくりたべる…」
「じゃあ私がカイオスフィッシュの香草焼き全部食べても怒らないでね!」
「…それはだめ!…」
「じゃあギョショウのソースのブロースソテーでもいい?」
「…むぅ、しょうがない…」
どうやらサイドメニューについても決着が付いたらしい、デザートはお互い納得のキャラメリゼケーキにしたようだ。
「ヒロ〜!今日のご飯きまったよぉ〜!」
「…はなしあった…」
「おぉ、そうか…宿はまだ取ってないんだけど」
「大丈夫!ここの名物メニューだけ決めたから、他に頼むのはお互い自由にするから!」
「…たのしみ…」
「そ、そうなのか…部屋は3人部屋と1人部屋でいいよな?」
「えぇ〜!」
「…いっしょでいい…」
「ヒロ君♪私は一緒でもいいけどぉ〜♪」
「いや、他の奴に見られたら色々面倒だろ」
ヒロは久々にクゥとのゆっくりした時間を過ごしたかったので何としても一人になる必要があった。
しかし3人もヒロと一緒の部屋になりたいという気持ちがあるのでなかなか折れないのだ。
「たまには私と一緒の部屋でもいいでしょ〜?」
「…だめ?…」
「ダメなものはダメだ、俺は少し一人でゆっくりする時間が欲しいんだ」
「じゃあヒロ君私もダメなの?」
「ティルも今回は、マリとミーシャンちゃんと一緒の部屋にしてくれ」
「しょうがないなぁ〜♪今回だけよぉ」
とりあえず今日から泊まる宿は「マーレ・ミステリオーゾ」という宿であった。
向こうの世界でいうとリゾートホテルの様な雰囲気でこのエリアだと中堅クラスらしい。
それでも一般の市民が泊まれる様な価格ではないが、ヒロ達の懐は中規模の町の筆頭商人くらいの稼ぎが有るので数日泊まるくらいは余裕なのである。
「すいません、泊まりたいのですが空いてますか?」
「紹介状はありますか?」
「えっ、紹介状は持ってないんだけど…」
「それではお泊まり頂く事は出来ません、お引き取りを」
「冒険者なんだけどこれでどうにか泊まれないですか?」
ここで冒険者の立ち位置とランクについて説明すると、まず冒険者はポピュラーな仕事ではあるが荒っぽい性格や粗暴な人間が多いと思われている。
しかし基本的に高ランク冒険者はそれなりの礼を持ち、財産も築いている者ばかりなので、優遇される事はそれなりにあるのだが…Aランクはトップのランクという事、そして人数が限られる事から何らかの恩を売っておきたいと思う人間は多いのだ。
ヒロはAランクの冒険者証を取り出した。
「それは!…拝見しても?」
「いいですよ」
「……本物でございますよね」
「勿論、連れも同じ物を持っているよ」
「!かしこまりました。しかし泊まれるのは、最上階のお部屋のみなのですが…」
「4人で泊まれるならそこでいいですよ、前金がいいですよね」
「ありがとうございます!何泊のご予定ですか?」
「とりあえず7泊でお願いします。」
「7泊!600万マールですが…」
「食事は別料金ですか?」
「軽食、おつまみ、お酒はお部屋にお持ちします、そちらはサービスですので。そしてお食事はそちらのレストランでコースなど頼む事が出来ます。別料金になるのですが…」
「全然予算内だな、じゃあ600万マールだ」
「た、確かにお預かりしました。こちらお部屋の鍵であちらの階段の最上階でございます。ごゆっくりどうぞ…」
「ありがとう、みんな行くぞー」
「わぁ〜い!」
「…きらきら…」
「綺麗な宿ねぇ♪」
ヒロ達は最上階の部屋に向かったのを見届けた支配人は
「まさか、あの様な若い方達がAランクの冒険者様とは…私もまだまだ見る目を養わなくては、お詫びに出来る限りのサービスを」
と意気込んでいたが少し後悔するのはまた少し経ってからであったのだ。
一方その頃、ヒロはヒロで困った事になっていた。
「スイートだとは思っていたがまさか中に鍵がないとは…」
「すごい!宿なのに家みたいになってる〜!」
「…おちつかない…」
「すごいねぇ〜♪こっちは何かなぁ〜?♪」
「にゃ〜!」 「にゃぉ」
クゥが気に入ってくれた事は嬉しいが、7泊の間マリ達と一緒に過ごす事になってしまったヒロであった。




