35話
「ふ〜、やっと出て来れたわ!力を貸してあげる」
「俺の武器は、あいつの下で粉々になってるんだが」
「神槍持ってるでしょ?さっさと出しなさい!」
「えっ…」
「どこ見てるのよ〜!後ろに担いでるでしょ!バカなの〜、バカでしょ!」
「この棒の事か?」
突然現れた少女が頑丈なだけが取り柄の棒を出せと言ってきた。
「悪いが冗談を聞いてる余裕はないだけど」
「冗談な訳ないでしょ!早く出すの〜!」
「知らない人に話しかけられたら…」
「無視するんじゃないわよ〜!子供じゃないんだから〜!」
「こっちは右腕が折れてるんだよ、騒がしくしないでくれるか?」
「さっさと準備しないと帰るわよ!」
少女がイライラした様子なので仕方がないな、ヒロはそう思い後ろに背負っている棒を袋から出した。
ちなみにミノちゃんは、大人しく二人の会話を見守っていた。
「そう、それでいいのよ〜」
「こんなので殴っても俺の力じゃ効かないだろ?」
「言ったでしょ、神槍だって!これは昔々に私達が作った物なのよ〜!」
「あー、壺は買いませんよ?宗教にも興味ないので」
「この槍があればミノタウルスもこの通り!」
「あっ、通販の資料も要らないです」
「ちょっと〜!私は怪しくないの〜!」
「怪しい奴は自分の事を怪しいとは言わないだろ?」
「おい!まだなのか!我はいつまで待てばいいのだ!」
「うっさい〜!もうちょっとだから待ってなさいよ〜!」
怪しい少女というのが、ヒロの受けた印象であった。
そしてミノちゃんは、律儀に待っていたが流石に待っていられなかったのか、話しかけてきたが少女の一言で黙ってしまった。
「とりあえず試したら分かるから〜!」
「お金は請求されませんよね?」
「うるさい〜!えい!」
「あーー!あ?」
「ふふふ〜ん!すごいでしょ〜」
「形状も違うし、なんか纏ってるし…マジシャンで詐欺師なのか!?伝説なのか!?」
「違うわよ!これは私が力を与えたからそうなったのよ!さっさとこれで倒してきなさい〜!」
「お前は母親か!?宿題をしなさい〜的なノリでミノタウルスを倒せって鬼か!」
「使わないなら、返してもらうけど?」
「あっ、イエッス、マム!」
「よろしい!倒してこい!」
何やらよく分からないノリでミノちゃんを倒す決意をしたヒロであった。
「待たせたな!」
「我がどれだけ待ったと思っておる…」
「…ごめんなさい!」
「まぁよい、これで心置きなくあの世へ行けるな」
「いえ、行きたくないです!」
「…これで終わりだ!」
「話を…」
「死ねぇーー」
突進してくるミノちゃんに待ってもらおうとするがヒロは失敗した。
このままでは壁にめり込んでしまうと思ったヒロは、咄嗟に槍を突き出した、すると
「来るなー!えっ!」
「何ーー!?」
「俺じゃないですよー!」
「グワァー!」
ヒロが突き出した槍から何かが飛び出し、ミノちゃんの脇腹を貫通して、衝撃で吹き飛ばした。
「おい!こんな危ない代物を渡したのか?!」
「いいじゃない〜!ちゃんと効いてるんだら〜!」
「ミーシャンちゃんやマリに当たったらどうするんだよ!粉々になるぞ!」
「うるさいな〜、男なら細かいことは気にしないの〜!」
「…大丈夫?…」
「大丈夫だよミーシャンちゃん、マリー大丈夫かー?」
「なんとか生きてるよ〜」
「ほら〜、心配しすぎなんだから〜、まったく〜!」
ミノちゃんの肉体を貫通してさらに衝撃波で吹き飛ばすような武器をいきなり使わされて安心出来るはずがないだろ、とヒロは思ったのであった。
「あ〜!ヒロ、腕折れてるけど…」
「あぁ、ポーションを飲んだからとりあえず痛みはましになったよ、それより」
「…おにく…」
「いや、ミーシャンちゃん…お肉じゃなくてミノちゃんだから」
「今度こそ負けないんだから〜!ヒロ!やっちゃって!」
「俺かよ!まぁ、とんでも武器で何とかなりそうだけど」
「ぐわぁぁ!我の肉体を穿つとはただの魔法武器ではないな!」
「ふふふ〜ん、聞いて驚け〜!これは神槍[風のティラルティン]風の神である私が〜、力を与えたんだよ〜!すごいでしょ〜」
「なるほど、眷属神であったか…なら、貴様を殺せば目的は達成出来る」
「えぇ!なんかこっち見てるんだけど〜!」
「よく分からないがお前が悪い」
このお馬鹿な神は自分から色々な情報を話して自分自身をピンチにした。
「あわわわ!どうしよう〜!」
「はぁ、どの道ミノちゃんを倒さないと俺らも帰れなそうだから…」
「そ奴を渡すなら見逃しても良いぞ?」
「…ねぇ、なんでそんな目で見るの〜?辞めてよね〜……冗談だよね!」
「…あ、当たり前だろ」
(どうする?マリ、ミーシャンちゃん)
(見捨てるの〜?)
(…かみさま…)
(そうだよなー、助かるか)
「お前にこいつを渡す訳ないだろ!」
「さっき何コソコソ話してたの〜?」
「か、神様を助ける為の作戦会議だ!き、決まってるだろ!」
「ふ〜ん、まさか神様である私を見捨てる訳ないもんね〜」
「あ、あぁ、もちろんですよ」
ヒロが見捨てようとした事を何となく察している神様だが、ちゃんと、助けると言ったので知らない振りをして追求はしなかった。
ヒロが左腕に槍を構えた、さっきは気づかなかったが片手で持っても殆ど重さを感じない、軽く振って見るがずっと使っていた武器のように自分の思い通りに動かせる、ヒロはさすが神槍というだけあると感心した。
「貴様、諸共神を屠るだけだ、この斧で真っ二つしてやる」
「それは辞めてもらいたいから、俺も本気で行く」
「武人の目だな、我の奥義を食らうといい!」
「はぁぁぁ!」
「いざ!」
ヒロは左手に槍を持ってミノちゃんに向かって走った、対するミノちゃんは、斧を構えてその場でどっしり待っていた。
「かかったな」
「何!動けない」
「さっきも使ったその場に止める魔法だ、そして斬撃に斥力を乗せて放つ…これが我が奥義!絶割斬!どんな物でも叩き切る一撃である!」
「くっ、風よ!何でも良いから守りやがれ!」
「ハァ!」
凄まじい衝撃が伝わりヒロの後ろの壁が大きくひび割れた。
「ヒロ〜!」
「…ヒロ…」
「あれ、まさかやられちゃった!?」
「奥義まで使わされたが、これで我の勝ちだ…あの一撃で跡形も無くなっただろうがな」
「いってーー!」
煙が収まったその場に叫んでいるヒロがいた。
「何!?何故生きている!」
「頼んだらバリア張ってくれて何とか生きてる…けど頭がクラクラするな、長くは持たなそう何で終わりにさせてもらうぞ!」
「なら、トドメを刺すまで!」
「はぁー!」
ヒロの槍に途方もない魔力が集まって、ミノちゃんに向けられた。
「100倍返しだ!この野郎!」
「なっ!」
「きゃ〜!」
「…たいひ…」
「バカじゃないの〜!神様ここにいるんだよ〜!ひぃ〜!」
風の魔力が大砲の様に固められミノちゃんへ向かった。しかしその速さに反応出来ずミノちゃんを飲み込んだ、そして風を貫通しながら余波によって遺跡がユラユラ揺れ始めた。
「あー、もうダメだ…動けない」
「やったねぇ〜!でもこれってヤバくない?」
「…そくじてったい…」
「あんた加減を知らないの〜!遺跡が崩壊してるじゃないの〜!」
「あぁー、悪いな。わざとじゃない…マリ俺を担いで遺跡の外まで逃げろ」
「了解〜」
「…ぜんはいそげ…」
「それは意味が…って置いてかないでよ〜!」
こうして強敵との死闘を終えたヒロ達であった。
ようやく一人目(?)の神様を登場させる事が出来ました。
中々ヒロが強くならないので戦闘シーンが書けませんでした。
まったりパートにまた入ります。




