1話
ネコの鳴き声って感情を表すの難しいですね。
クゥはヒロの横で起きるのを待っている。
そろそろ起きそうなのでクゥは鳴き声で起こそうとする。
「にゃ〜ん にゃー にゃー」
なかなか起きないヒロに噛み付こうとした瞬間、
「待ってクゥ!今起きたから!」
ヒロはクゥの殺気を感じたのか飛び起きた。
「にゃ〜ん♩にゃ」
クゥは機嫌がよさそうに鳴いて、ヒロの横で座った。
「おはようクゥ、側にいてくれたのか、…ありがとう」
クゥは短く鳴いて返事をした。
「にゃ♩」
ヒロはゴブリンとの戦いを思い出していた。
そして、小さな声で
「俺、弱いな…」
ヒロはゴブリンがどのくらい強いのか知らないが、クゥを守れなかったらと考えていた。
「にゃ〜 にゃ〜」
クゥが黒くて丸い石を転がしながら俺の前に持ってきた。大きさはゴルフボールくらいある凹凸のない綺麗な石だ。
「これは何だろう?、とりあえずリュックに入れておくか」
黒い石をリュックに入れ、クゥにネコ缶と水を出して、俺は残ったお茶を飲んだ。
「ここは、異世界ってやつなのか…、まぁ向こうにいた時もクゥと一緒ならどこでもよかったけどな」
ヒロは12歳の時に両親をなくしており、遺産相続によって現在23歳になるまで平凡な日常を送れるくらいの財産を残してくれていた。
ちなみに猫好きの影響は母さんからである。父さんは犬の方が好きであったが…家にはいるのは、猫しか見たことはない。
「クゥ、これからどうする?」
クゥは、突然歩き出した。
「クゥどこに行くんだ?」
スタスタとクゥは歩いて行くので、ヒロはついて行くことにした。手には、ゴブリンを倒した先が尖った棒である。
「クゥ、そろそろ休もうよ」
ヒロは疲れてきたため休憩したかったのだがクゥは、止まらない。そこであるものを出した。
「クゥ〜これあげるから休憩しよ〜」
ヒロが取り出したのはクゥも大好きのおやつである。どんなネコも夢中になってしまうチュールリである。
「にゃ〜ん!♩」
クゥは素早くヒロの元にきた。
「クゥ、あと1個しかないからゆっくりだべるんだよ」
ヒロはチュールリと水を出して、自分は残りのお茶を飲んだ。ヒロは疲れてお腹が空いているが、クゥがまずご飯を食べられることを優先している。
「クゥ、美味しいか?」
「にゃ♩にゃ♩」
「森なら何か食べ物くらいあるだろう…」
ヒロはクゥが見える範囲で食べ物を探しに出かける。
これから10話くらいは続けて投稿したいと思います。