24話
週1話ペースの予定だったのですが思いのほか早く書けたので掲載します。
槍がやっと修繕から戻ったので、森の探索に来ていた。
「前より使いやすいかもな、これ」
「ふ〜ん、あんまり変わってないけどな〜」
「修繕だからな、見た目は変わらないだろ?」
「まぁね〜、ヒロも魔法武器とまでは言わないけど魔法付与の武器買ったら〜?」
「………お金があんまりないだろ」
「………なんで〜?」
ゴブリンブラックの魔石を売ってからのこの数マシュ、マリの食費によって手持ちがガリガリと削れていた。
今では手持ちが10万を切っている。
「……マリここ数マシュでいくらご飯に使った?」
「………15万くらい?」
「……そうか、手元には9万マール、あの時50万マールくらいあった、さていくら使った?」
「……難しい〜ことは〜わかんない!」
「…40万だぞ!40万!6割以上マリのだ!」
「だって…」
「なんだ?」
「美味しいご飯が悪い〜…」
「そうかそうか、これからマリは干し肉と固い黒パンでいいな」
「そんな…」
マリはこの世の終わりのように絶望した。
「お金に余裕が出来たらまた食べれるようにする予定だ」
「いや〜!我慢するから!塩辛い固い干し肉とカチカチの黒パンだけなんて耐えられないよ〜」
「……言質は取ったからな」
「……は〜い」
本当に反省してるかわからないがここは信用することにした。
「頑張って稼いだらその分おかずは増えるからな」
「!頑張る〜!」
森を進みながら薬草を探した。
「探してもないもんだな」
「簡単に見つかるなら依頼なんて出さないでしょ〜?」
「それもそうか」
「でも下位の解毒ポーションに使える薬草は見つかったから、帰っても手ぶらじゃないね〜」
「あぁ、本見ておいてよかったな」
「ヒロって意外と記憶力いいんだね〜」
「そうだな、大抵の事は一回で覚えられるな」
「うわ〜、天才発言ですか?」
「まぁ便利だな、ネコを見分けるのに役に立つ」
「ヒロのいた所ってネコ様がいっぱいいたの〜?神界なの?」
「いや普通にいっぱいいたし、個人で飼ってる人も結構いたぞ」
「えぇ〜、神様なの?」
「違う、違う」
「はぁ〜、もういいや」
マリは、ヒロの言ってる事についていけなかったので諦めた。
「それより…モンスターの気配とかするか?」
「小さい動物はいる気がするけど〜、怖そうなのはいないと思うよ」
「そうか、2度ある事は3度あるって言うからな」
「なにそれ?」
「ことわざ、知らないのか?」
「知らないけど、同じ事が起こる可能性が高いって事?」
「さぁな、俺もよく知らない」
「知らないんだ〜♪」
マリがくすくす笑いながら言った。
「もう少し探したら今日は戻るか、夜に備えて何も持ってないからな」
「だよね〜」
「装備の方は慣れたか?」
「う〜ん、まだ違和感はなるけど前より慣れたかな〜、そっちは?」
「鎧が少し重いな…」
「鎧なんだからしょうがないよ〜、魔法装備ならすごく軽いらしいよ?」
ヒロは、暇だったのでこの際、魔法付与と魔法武具の違いを聞こうと思った。
「マリ、魔法付与と魔法武器って何が違うんだ?」
「知らないの〜?」
またくすくす笑われた。
「何となくイメージ出来るが細かいことがわからない」
「なるほどね〜、いいよ!マリ先生が教えてあ・げ・る♪」
「わーい」
「バカにされてる気がするんだけど〜」
「そんなことないですよー」
「……まぁいいよ、うぉほぉん、魔法武具はねぇ〜、ダンジョンでしか手に入らないんだよ〜、しかもすごい!」
「具体的には?」
「魔法付与武具にスキル付いてたよね?」
「あぁ、それだろ?」
「この片手斧についてるスキルって付与師の人が、付与魔法を込めてスキルとして付いてる。1個しかスキルつけられないし、そこそこのスキルしかつけられないんだよね〜」
「じゃあ魔法武具は?」
「複数のスキルがついてて、有用なのが付いてる、そして属性があったり、固有魔法が付いてる事もあるらしいね〜、ダンジョンの宝箱かボスクラスの魔物からでしか手に入らないんだよ〜!」
「それは、すごいって言うのも何となくわかるな」
ヒロは思いのほか為になったのでマリの意見を素直に肯定した。
「でしょ〜!」
「ちなみに一番すごい武具ってどんなのなんだ?」
「う〜ん、難しい!けど伝説クラスはスキルが5〜6個付いててスキルレベルが高レベルで、固有の魔法で山が消滅したり、城門に穴を開けたり出来るのがあるらしいよ?」
「それは…確か伝説だな」
「勇者とか英雄が持ってたらしい〜って本で読んだ」
「本かよ!」
本からの知識だと知ったヒロは、マリの説明が本当なのか少し疑った。
「まぁ〜そんな感じ!、詳しくは大っきい図書館で!」
「一応ありがとうと言っておくよ」
「どういたしまして〜」
マリがえっへんと腰に手を当てて偉そうにした。
「ここもダメだ、ないな」
「はぁ〜、帰ろうか」
「そうだな」
ヒロ達が諦めて帰ろうと思っていたら
「マリあれなんだと思う?…」
「どれどれ〜?」
「……あの植物、動かなかったか?」
「え〜、驚かすのはなしだよ」
ヒロが見つけたのは10センチくらいの蕾がついた植物だった。
「動いたような気がしたんだけどな」
「疲れてるんじゃな〜い?」
「ふむ…………!触ったら動いたぞ!」
「え〜、ウソでしょ〜」
ヒロとマリが蕾を触ったら地面がモソモソ動いた。
「どうする?掘り出したら大声を出すモンスターとかじゃないよな?」
「それってマンドラゴラの事?」
「こっちに、いるんだ…」
「……抜いてみる?」
「なんか耳塞げそうなのあるか?」
「この布は?」
「……これでいいか」
ヒロとマリは意を決してその植物を抜くことにした。
「やるぞ…」
「うん…」
勢い良く抜いたそれには根っこで出来た人形みたいなのが付いていた。
「静かだぞ?」
「そうだね〜」
「なんか面倒な奴にあった様な顔してるな」
「そうだね〜」
「持って帰るか?」
「………うん」
マリがその根っこの人形の首の部分と胴体に切り分けた。
「おい!何すんだよ!」
「えっ、モンスターだからやった方が良かったでしょ〜?」
「こわ!いきなりするなよ!」
「やられる前にやる、これが鉄則だよ〜」
「………鮮度が大事かもしれないから帰るぞ」
「はぁ〜い」
ヒロはその可愛そうな植物モンスターを別な袋に入れて帰る事にした。
「いくらになるかな〜?」
「マリ、あのモンスター槍でとどめを刺した方が良かったんじゃないか?」
「今更言われてもな〜、ヒロが戸惑ってたからでしょ〜?」
「それは…俺も悪かったな」
「お互い様って事で〜、今日はお詫びに美味しいもので許してあげる〜」
「買取次第だ」
ヒロが持ってる袋にはマンドラゴラと思っていたモンスターが入っていた。
エメラルドのような色の液体が出ていたので袋が染まってしまった。
「マリ、この液体が材料になるなんて落ちじゃないだろうな?」
「…大丈夫!念の為にこの水袋に少し入れたから!」
「これは俺たちの知識不足だと思って、諦めるか…」
「ヒロ、落ち込まないで〜」
「この液体が高額買取でも責めるなよ…」
「その時は〜その時!」
「はぁー」
ギルドに着いたヒロ達は早速買取カウンターに向かった。
「あらぁ〜?」
「あっ…サシェさん…」
「あなたは、ヒロくんだったわよねぇ〜」
「はい……」
「今日の買取は何かなぁ〜?」
カウンターの上に乗っているメロンが揺れる。
「……あっ、今日は下級ポーションの材料の薬草サーラ草とよくわからない植物モンスターを」
「サーラ草が〜30本で2100マールねぇ〜」
「これはどうですか?」
「……見たことないわねぇ〜、ギルドマスター呼んでくるわねぇ〜」
「またギルドマスターか…」
ヒロは、ギルドマスターに会うことが多いので色々な視線に晒されている。
(嫉妬、驚き、呆れ、面白そう、目立ち過ぎるのもなぁー」
「またお前達か…」
「またって言わないでください…わざとじゃないんです」
「そんなのわかってるわ!、わざとだったらタチが悪い!」
「これの名前って知ってますか?」
「ふむ、マンドラゴラのレア種かもしれない…」
「レア種ですか…弱かったですけど」
「マンドラゴラ自体弱い、うるさいだけだからな。しかし、気絶する事もある、どうやらこのレア種は、育ちきってないからだろうな」
「それって良くなかったですか?」
「いや、マンドラゴラは花が咲く前が一番いいから問題はない。
どうやら一番いい時期だったらしい。
「この体液って高かったりします?」
「そこそこお金になる」
「やっぱりか!」
「体液は量も多いからそれなりの額になるが、一番高いのは本体だ。」
「そうなのか?」
「ヒロ〜、よかったね!」
「流れでたのを全部お金だと思え…」
「もったいないよ〜!」
「だろ?マリ少し静かにしててくれ…」
流れでた体液がそこそこのお金に成ると聞いてヒロは少しイライラした。
「まぁ、マリを責めるな…本体だけもかなりの額になる筈だ。」
「へぇー、いくらくらいになるんだ?」
「そうだな…マンドラゴラの相場でレア種となると…150万でどうだ?」
「はっ?」
「悪かった180万でいいか?」
「いやいや高すぎないか?!」
「マンドラゴラは体液込みで200万はするぞ?」
「そんなにが…」
どうやら美味しいモンスターだったようだ。
「あんなに弱いのにそんなにするのか…」
「数自体少ないからな、その上レア種となると本体だけでそのくらいだろうな…残った体液が少しあるならそれも買い取って200万でもいいぞ」
「おぉー、それで頼むちなみに使い道は?」
「体液は特殊なポーションに使える、本体はエリクサーの材料だな…エリクサーなんて持ってるの国とトップランクの冒険者と相当な金持ちくらいだな」
「そうか…覚えておくよ」
「情報で手に入る額も変わるからな、上に行く冒険者ほど情報を大事にしてる」
「あぁ、マリもな」
「は〜い!」
このマンドラゴラのレア種を買取してもらう事になった。
「ヒロさんおめでとう〜、Eランク昇格と200マールですねぇ〜」
「ありがとうございます…」
「私も〜、なんだけど〜」
「あらぁ〜、妹さんもおめでとう〜」
「きぃ〜!」
「ふふ、面白い妹さんねぇ〜」
「ははは、ではまた…」
「またねぇ〜」
セクシーな受付嬢と別れたヒロは、名残惜しそうに見ていた。
「ヒロ〜、大きいのがいいんだ〜」
「そりゃなー、……」
「ふ〜ん」
「大きさなんて関係ないけどな…」
「そうなんだね〜」
「あぁ…」
ヒロは、またしても地雷を踏んでしまったようだ。
もうすぐ2章も終わりなので数字中に続きを掲載したいと思います。




