21話
ヒロ達はとりあえず返り血で汚れていたので宿に向かった。
「ヒロ〜!ご飯どうする〜」
「…とりあえずこの返り血を何とかしてからだ」
「は〜い!」
途中、通行人に見られながら宿に着いた。
「おぉ、おかえ…!どうした!?」
「…井戸借りますね…着替えたいので」
「あぁ…」
主人が気の毒そうにヒロを見ていた。
マリに着替えを頼んだヒロは、井戸にいた。
「あぁー、気持ち悪いし臭いし、最悪だ…」
井戸から汲んだ水をバシャバシャかけながら、血を落としていた。
「ヒロ〜、着替えだよ」
「ありがとうマリ、何処にご飯食べに行くか?」
「う〜ん、屋台で色々食べるのは?」
「それでもいいな、血を洗い流したら少し気分もよくなったしな」
「じゃあ決まりね〜」
ヒロは、マリが持ってきた服に着替えた。
マリは着替えをしているヒロをじっと見ていた。
「…見られてると恥ずかしいんだが」
「気にしないで〜!」
「いや、気になるだろ!」
「見ても減るものじゃないし、いいでしょ〜?」
「いや、ダメだろ!後ろ向いてろよ!」
「しょうがないな〜」
「はぁー」
ヒロは、マリのよく分からない行動に悩まされた。
「ふぅ、マリ何か食べたい物あるか?」
「う〜ん、まずお肉だね!」
「肉は食べたいな」
「あとは、おばあさんいたらアプルンがいいな〜」
「そういえば宿のお礼言ってなかったよな…デザートはアプルンを冷やして食べるか」
「うんうん!後は歩きながら決めるの〜!」
「俺はあんまり詳しくないから、マリに任せるよ」
「任せて〜」
マリは、平らな胸に手を当てて言って。
「わぁ〜、人がいっぱいいるねぇ〜」
「今は、みんな夕ご飯食べる時間だからな」
「何か美味しそうなのあるかな〜」
「マリは、食べるの好きなのか?」
「もちろん!美味しい物食べると幸せになるんだよ〜」
「ふ〜ん、そういうもんか」
「ヒロは、そうじゃないの?」
「まぁ、美味しい物を食べたいのは同感だけどそこまでじゃないな」
「あっあれ美味しそう〜」
そこには、美味しそうな肉串の屋台があった。
「おじちゃん〜肉串ください〜♩」
「おっ!嬢ちゃん何本欲しい?」
「う〜ん5本買ったらサービスしてくれる?」
「5本か、よし!5本買ってくれたら1本サービスしてあげるよ!」
「やった〜!いくらですか?」
「1本180マール!5本で900マールだ」
「ありがとう〜」
マリが、おじさんに900マールを渡してこちらに肉串を抱えて戻ってきた。
「ヒロ〜、おまけしてもらっちゃった〜」
「おまけって簡単にしてくれるのか?」
「どうなんだろう〜、女性なら割としてもらえるかな〜」
「じゃあ、交渉はマリに任せるよ」
「任せて〜」
マリは、また平らな胸にポンっと手を当て言った。
「マリ…まだ食べるのか?」
「まだ4品くらいしか食べてないよ?」
「種類はそうだが…量が多すぎるだろ!」
「ヒロって、少食?」
「どのくらい食べたと思ってるんだ?」
「肉串3本と〜、黒パンサンド4つ、スープ、ステーキ2kgしか食べてないよ!」
「十分だろ…後はアプルン買って帰るぞ…」
「え〜、まだ入るのに…」
「太るぞ…」
「……アプルン食べたいな〜」
「よし、行くぞ」
ヒロ達は、アプルンの店に向かった。
「確かこの辺りだったよな?」
「もう少し先じゃなかった〜?」
「そうだった様な気もする…」
マリ達は、アプルンのおばあさんの店を探して歩きまわった。
「あっ!あった〜」
「やっと見つかった…」
「おやおや、2人共久しぶりだねぇ」
「おばあさんも久しぶり〜!アプルンくださいな」
「ふふふ、ありがとうね」
「じゃあ3個もらえますか?」
「じゃあ600マールね」
「宿紹介してくれてありがとうございます。」
「ありがとう〜」
ヒロとマリは、頭を下げてお礼を言った。
「困ってる時は、お互い様って言うでしょ、それにまた買いに来てくれて私も嬉しいわ」
「ふふぅ〜、じゃあまた買いにくるね!」
「ありがとうね、お嬢さん」
「定期的に買わせてもらいます」
「そろそろ宿に戻るね〜、おばあさんまたね〜」
マリは、おばあさんに手を振りながら大声で言った。
宿に戻り井戸から汲んだ水にアプルンを浸して冷やした。
「そろそろいいかな〜?」
「もう十分冷えてるな、食べるか?」
「もちろん!」
冷え冷えのアプルンに2人は、噛り付いた。
「やっぱり、果物は冷やすのがいいな、甘みが抑えられてバランスがちょうどいい」
「美味しい〜!、ヒロ〜もう1個食べてもいい?」
「あぁいいぞ…というか俺はお腹いっぱいで食べれない」
「やった〜!」
マリは、シャリシャリとアプルンをかじって食べていた。
「明日は、ギルドに朝から行った後どうする?」
「調査の結果聞くんでしょ?すぐ終わるのかな?」
「終わるじゃないか?俺達で狩ってきたんだからな」
「そうだよね〜、じゃあ装備少し見たいな〜」
「そうだな、俺の槍も直さないと行けないし、マリの装備買える範囲で揃えるか」
「今の装備だとゆっくり薬草採取出来なさそうだよ〜」
「じゃあ、明日は武器屋でも行ってみるか」
「決まりだね〜」
部屋に戻ったヒロ達は、そこで不満そうに寝転がってるクゥを見つけた。
「にゃーーー」
「………クゥ!ごめんな!これお土産だから」
「黒パンサンド残してたの〜?」
「2個も食べられなかったから、朝に食べようと思って」
「それってお土産なの〜?」
「くっ…ちゃんとしたの買ってきたらよかった」
「にゃ〜〜」
「喜んでるみたいだよ〜」
「クゥ!これ食べていいぞ」
ヒロは、クゥが黒パンサンドを食べるのを見ながら頭や体を撫でて癒された。
「ふぁー……眠い」
「すぅー……」
「マリ、朝だぞ起きろ」
「後5分……」
「異世界でも言う人居るんだな」
ヒロは、マリが起きる前に身支度をする事にした。
「槍の柄の部分だから修理出来るよな?まさか特別な素材とかだったらどうしよう…もらってまだそんなに経ってないのに速攻で壊してしまった…」
ヒロは、とりあえず槍先の手入れをしてマリが起きるのを待った。
「ふぁ〜、……おはよう〜ヒロ」
「おはようマリ…起きるの遅かったな」
「森を探索してモンスターと戦ったんだから疲れるよ〜」
「それもそうだな」
クゥも起きたのでとりあえず撫でて癒される事にした。
「にゃ〜」
「クゥ、おはよう」
「にゃっ」
「これ、朝ごはんだからね」
「にゃ〜♩」
クゥはもぐもぐ小さく切ったハムを食べた。
「マリ着替えたか?」
「オッケ〜だよ!私の着替え見て興奮した!?」
「幼女の着替え見て興奮するってロリコンでもないのに、もう少し色々大きく育ってから言え」
「………私だって好きで小さい訳じゃないもん」
「………あー、すまん言い過ぎた…好きな物、朝ごはんに食べていいから」
「………本当?」
「あぁ、もちろん」
「じゃあ許す」
マリが涙目で許してくれた。
(はぁ、なかなか異性とパーティってのも大変だな)
「マリに朝ごはんは任せるよ」
「わかった…ぐす」
クゥのごはんを置いて部屋を出た。
「………マリさんまだ食べらるのですか?…」
「好きな物食べていいって言った…」
「…………その通りです」
マリは、屋台をハシゴして朝食を食べると言って食べていた。
(もう手持ちの金がなくなりそうなんだが…)
「これで最後にする〜」
「わかった」
最後は、果物を生地に混ぜたケーキの様な物だった。
「美味しい〜」
「それは良かった……ただお金がすっからかんだよ」
「今日報酬もらえるんだからいいでしょ〜」
「そうだな…」
(お詫びにしては大きな出費だ…まさか財布が空になるまで食べるとは…)
「じゃあ冒険者ギルドに向かうか」
「いいよ〜」
マリの足取りは軽く、ヒロの足取りは重かったがギルドに向かって歩いた。
ギルドに着いたヒロ達は、受付に向かった。
「すいません」
「あらぁ〜昨日の子ねぇ」
そこには、あのセクシーの姉さんがいた。
「昨日はどうも…」
「ふふふ、どうしたのぉ〜?」
「お名前を知らなかったので…」
「あらあら、そうだったわねぇ〜、私の事はエリ〜とお呼びくださぃ」
「エリーさんよろしくお願い申します!」
「よろしくねぇ〜、あなたかわいいわねぇ〜」
「!あ、あのギルドマスターに呼ばれていたので」
「ふふふ、少し待ってねぇ〜」
ヒロは、揺れる大きな…から目が離せなかった。
「ふぅー、危なかった」
「………やぁ!」
「ふごっ」
ヒロのお腹に、マリのストレートが入った。
「何が危なかったのかなー」
「ごほっごほっ」
「この目が悪いのかなー」
「マリ!落ち着け!冷静にだな」
「私は落ち着いてるよー」
「どこがだ!斧を出して何する気だ!」
「ヒロが悪さしないように切り落とそうかなーって」
「何をだ!ギルドでそんな事したら捕まるぞ!」
「ヒロが悪いんだよー」
マリの怒りがとんでもない方向で発動してしまった。
(まずい…このままでは未使用のままなくなってしまう)
ヒロは、腹をくくってマリを止める事にした。
「マリ…俺にはお前だけしか頼れないんだ…許しくれ」
マリを抱きしめながらヒロは、言い訳をした。
「えっ……今回だけたからね〜」
「ありがとうマリ」
ヒロは大事な物と引き換えにマリとのフラグを建築してしまった。
(もう、マリと仲良くできる嫁を探してハーレムを作るしかない!)
こうして嫁候補マリが出来上がってしまった。
「…….…お前達何やってるんだ?」
「あっ……ギルドマスター」
「痴話喧嘩か?」
「………そんな所です…」
「はぁ…とりあえず上に来てくれ」
腕を絡ませるマリと一緒にヒロは、ギルドマスターの部屋に向かった。
「そこに座ってくれ」
「ありがとうございます」
「ありがとう〜」
「それでグランガさん、調査の方はどうでしたか?」
「………問題なしだ」
「はぁ、よかったお金が無くて困ってたので」
「そんなに使ったのか?」
「えぇ、まぁ…」
「ふむ、それで買取についてだが」
「いくらくらいですか?」
「………80万マールでどうかな?」
「………80万!?」
「すまない、出来る限り高く買ったつもりだったのだが…」
「十分ですよ!そんなに高く買ってくれるんですか?!」
「あれは、レアモンスター、しかもランクはBだ。王都なら100万マールつくかもしれないモンスターだぞ」
「!ありがとうございます…」
「王都に売ろうと思わないのか?」
「輸送が大変だから20万も変わるのでしょ?」
「なるほど、頭もキレるらしいな」
「ありがとうございます」
「討伐報酬を少しとランクアップもつけてやる、それで勘弁してくれ」
「十分すぎですよ…」
「ははははっ、若いのに欲がないな」
ギルドマスターとの話合いは終わった。




