17話
ヒロは依頼ボードの前に来ていた。
「マリ、俺たちが受けられそうな依頼あるか?」
「あの2つくらいかな〜?」
マリが示したのは、
[町の清掃活動]
報酬 : 1マシュ3000マール
参加資格 :フリー
[ポーションの材料採取]
クラモ草
報酬 : 1本につき500マール
参加資格 :フリー
ただしモンスターが出現すこともあり
またヒノカ草を採取した場合1本2000マールで別途買い取り
2種類の依頼があった。
「マリ、どっちがいいと思う?」
「う〜ん、ポーションの材料採取じゃない?」
「だよなー…」
ヒロはため息をつきながら答えた。
町の清掃では二人で6000マールでは稼いだお金が
1マシュでなくなるので余裕がない、買い物するたびに手持ちが減ることになる。
ポーション採取なら上手く行けば一気に稼ぐこともできる…モンスターが出るという点が唯一の懸念ではあるが…
「薬草採取にするか…」
「それがいいよ〜」
「じゃあ依頼について聴きにいくか」
ヒロとマリは受付に向かった。
最初の姉さんの受付は混んでいたので仕方なく、まだ空いてる受付に並ぶ事にした。
(残念だ…)
そんな事を考えていたら、マリが刺さるような視線で見ている気がするが、気のせいだろう。
「マリ、どのくらい稼げると思う?」
「12本以上は見つけたいけど〜、ヒノカ草っていうのが見つかれば一気に稼げるかもね〜」
「ヒノカ草って珍しいのか?」
「わかんない〜、それも含めて聞いたらいいよ〜」
「そういえば、マリって何か武器とか使えるか?」
「う〜ん斧くらいしか使った事ないよ〜」
ヒロは驚いた表情でマリに尋ねた。
「……マリ、斧なんて振り回せるのか?」
「前にこう見えて力持ちって言ったよ〜、フォンドに昔使い方教えてもらったんだ〜」
ヒロは考えた。
(この小さな身体で斧なんて振り回せるのか?フォンドの奴そんな事マリに教えてたのか…それに少女が斧ってホラーかよ!ますます、怒らせないようにしないといけなくなった。)
「そ、そうだったのか〜マリの装備も必要だな〜」
「とりあえず手持ちの片手斧があるから、お金に余裕が出たらで大丈夫だよ〜」
「そ、そうかすまないな」
「いいの、いいの〜、私とヒロの仲でしょ〜」
「お、おぅ、ありがとう…」
マリは素敵な笑顔で答えてくれた。
「次の方〜」
「はい!」
ヒロは順番が来たので返事をして向かった。
しかしヒロがここの受付に並んだ事を後悔する事になった。
「あなたぁ〜休憩行ってきなさぁいな、私が変わるから」
「もうそんな時間でした〜? 先輩ありがとうございます」
今受付にいたはずのかわいいお姉さんがセクシー系お姉さんにチェンジされた、インパクトは、最初のお姉さんよりすごかった。
「あらぁ〜、あなた初めましてですねぇ」
「ヒロと言います、先程、冒険者登録をしたばかりなのですが、依頼について聞きたいことがありまして…」
「ふふふふ、そうなのねぇ〜、初心者でも自分達でどうにかしようとする子って多いけど、あなたは見込みあるはねぇ〜」
受付のお姉さんもとい、受付嬢はわざとなのかわからないが使えの上にメロンの様な二つの丘を載せる。
そして胸元が開いていて、袖も無く目のやり場に困る服装をしている。
(この人もきっと人気のある人なんだろう…とても嬉しい…しかしマリがいる時に来るとは…神はそんなに試練を与えたいのか…)
「そんなことないですよ、それで依頼なのですが[ポーションの材料採取]についてなのですが…」
「あれを受けてくれるのぉ〜?最近受ける人が減ったから嬉しいわぁ〜」
「いえいえ、仕事が欲しかった所だっただけですよ」
(よし!完璧だ!目の保養をしつつ、マリの機嫌も損ねない演技)
「説明しちゃうねぇ〜、この前を西に20分くらい行った森が採取場所ねぇ」
「西に20分の森…なるほど」
「採取を頼みたいのは、クラモ草ねぇ、三つ葉でギザギザが特徴だけど図鑑が2階にあるから確認してねぇ〜」
「2階って図書館だったんですか?」
「それだけじゃないけどぉ〜、ちょっとした図書館みたいに本があるからお勉強してねぇ〜、ヒノカ草は中級ポーションの材料になるんだけどぉ〜」
「それで買取が高いのですね?」
「それもあるんだけどぉ〜、見つかりにくいのよねぇ〜、クラモ草なら慣れたら30本くらいは見つかるけどぉ」
「なるほど、頑張ってみます」
「後はモンスターだけどぉ〜、グラッドベアーが森で一番強いからぁ〜逃げるのよぉ〜」
「!?わかりました…他のモンスターは?」
「う〜ん、君なら倒せると思うよぉ〜?それなりに訓練してるみたいだからぁ〜、期待してるねぇ〜」
この受付嬢は只者ではないとヒロは感じた。
「ありがとうございました…」
「はぁ〜い、私サシェ、よろしくねぇ〜」
受付嬢に手を振り依頼を受ける準備をする事にした。
「マリ、とりあえず何からするか?」
「まずは、図書館でクラモ草とヒノカ草のこと、森の詳細な情報だね〜」
「そうだな、2階に行くか」
「その前に少し休憩する〜?」
「じゃあ少し酒場に行くか」
「いいね〜」
ヒロとマリは酒場で少し休む事にした。
「おっ、アプルンジュースがあるな」
「私もヒロと同じのにする〜」
アプルンジュースを二つ頼んだ1000マールとなかなかの値段だった。
「高いけど美味しいな」
「本当だね〜、甘いけど酸味もあってスッキリしてるね〜、最初の受付のお姉さんみたいだね〜」
「……どういう事だ?…」
「スタイルが良くて美人だけ誘ってる感じじゃなかったから〜」
「………」
「さっきの受付のお姉さんは〜、虫を集めて食べる食虫植物見たいだったな〜」
「………」
無言でアプルンジュースを飲んで気持ちを落ち着けるヒロだった。
「ねぇ〜ヒロ、どっちがタイプだった?私はどっちにも惹かれてた様に感じたかな〜」
マリの目が死んだ魚のようになっている、そして口だけが笑っている。
「そ、そ、そんなことはないですよ」
「本当〜?」
「嘘などついてる訳がないですとも」
「それならいいんだけど〜」
「これから一緒に依頼をするんだから、当たり前だよ」
「ふ〜ん、私浮気ってダメだと思うんだよね〜」
マリは浮気をする人を許さない人らしい。夫になる人は大変だなとヒロは現在から目を背けた。
(神様…いるのなら、優しい美人のスタイルがいい女性と結婚がしたいです…)
このヒロの祈りが届くことはあるのだろうか。




