12話
いよいよヒロも旅に出るようです
どうやらフォンドと飲んでそのまま寝てしまったらしい。
顔を洗うため井戸に行った。
「ふぁ〜ヒロ〜おはよう」
「なんだ、マリも起きたのか?」
マリも井戸に来ていた。
「冷たい!」
「つめたっ!」
水の冷たさで目が覚めた。
二人で家に戻ったらフォンドが片付けをして朝ご飯を作ってた。
「フォンド、おはよう」
「ヒロか、おはよう」
「村長、おはよう」
「おぅ、おはよう」
パン入りスープで軽い食事をした。
「ヒロ、いつ出るんだ?」
「準備もあるから明日かな?」
「えっ…ヒロ、村から出るの…」
「あぁ少し他のところに行きたくてな」
「ダメだよ!外は危ないの!ヒロまで居なくなったら…」
マリが泣き出してしまった。
フォンドは頷いて昨日の事を話すように促した。
「マリ、俺はこの村が好きだ、だからまた来る、もしマリが俺と旅をしたいなら一緒に行くか?」
「……いいの?」
「あぁ」
マリはフォンドの方を向いて、フォンドは頷いた。
「い…く…行きたい!ヒロと旅したい!」
マリは泣きながらヒロに言った。
「わかった一緒に外の世界を観て回るか」
「うん!」
フォンドは満足そうだった。
マリは、家に戻って準備してくると言って戻った。
「フォンド、何を用意したらいいかな?」
「俺が用意してやるよ…」
「いいのか?」
「あぁ、餞別というかマリを頼む礼というかそんな感じだ」
「なら、有り難くもらうよ」
ヒロは裏庭で槍の練習をしている。
その後ろでクゥは寝ていた。
「ハッ!」
「ハァ!」
「ふぅ〜」
(マリも行くんだからこれからも強くならないとな…)
ヒロは、フォンドの家に戻って汗を拭いた。
夜になりフォンドの家でのご飯は当分食べられないだろう。
「ヒロ、いっぱい食べてけ」
「あぁ、有り難く食べさせてもらうよ」
「ヒロ〜♩お待たせ〜」
「ヒロがお前が遅いって心配してだぞ?」
「えっ!本当」
「いやフォンドの嘘だ」
「またからかった!」
「悪かったな代わりにいっぱい食っていきな」
そろそろ明日のために寝ることにした。
「そろそろ寝るよ」
「そうだな」
ヒロがくぅを抱えて部屋に行こうとするとマリも入ってきた。
「マリ…前にも」
出て行くように言おうとしたら
「今日だけでいいから…」
(今思えばマリも寂しかったんだろう…)
「はぁ…今日だけだからな?変なことするなよ」
「うん!」
クゥ、俺、マリで川の字になって寝ることになった。
――――――――――――――――――――――
『ご主人!ご主人!』
(またこの夢か…)
『女の子と寝るなんてダメにゃ!』
(変な夢だな)
『聴いてるのかにゃ!』
(はいはい、聞こえてるよクゥ)
『あの子も油断も隙もないにゃ!仲良くするつもりだったのに』
(なんのことかさっぱりだな…)
(早く夢から目覚めないかな)
『ご主人!ご主人!聞くにゃ!』
――――――――――――――――――――――
ヒロは変な夢から目覚めた。
「向こうにいた時はこんな夢は見なかったんだけどな」
「むにゃ…ヒロ…」
マリを撫でて起こさないようにクゥを抱えてもふもふすることにした。
猫はあったかくてふわふわなので朝はとても最高だ。
マリも起きて、朝ご飯を食べ、いよいよだ。
フォンドが荷物の用意をしてくれていた。
「ヒロこれが野営道具、これが食料だ」
「他にも嵩張らない範囲で役立つ物も入れてある。」
「ありがとう、助かる世話になったな」
「こちらこそってやつだ」
「あとこれも持ってけ」
フォンドが小袋を投げてきた。
「これは?」
「魔石があるとはいえすぐ売れるか分からんからな、とりあえず持ってけ」
「多くないか?」
「二人なら3万マールなんてすぐだ」
「なくなる前に少しは稼げよ?」
「有り難く使わせてもらうよ」
「そうしてくれ」
フォンドを見て少し笑ってしまった。
「ヒロ〜、村長〜」
「姫がきたぞヒロ」
フォンドがからかうように言った。
「そうだな」
ヒロも少し面白そうに答えた。
「二人で何話してたの?」
「いや、ヒロに夜遊びの仕方を話してやっただけだ」
「ちょ、おい!フォンド!」
「ヒ〜ロ〜!浮気はダメなんだからね!」
(くっそ、フォンドやつ本当に教えてくれたならまだしも嘘でマリを怒らせるなんて)
誤解を解くのに少し時間がかかった。
「まったく、フォンド帰って来た時覚えてろよ」
「ふっ、お土産とお土産話のついでにな」
「村長、行ってくるね!」
「あぁ、楽しい旅をな…ヒロ行ってこい…頼んだぞ」
「わかってるよ、それじゃあ行ってくるわ」
「村長バイバイ〜」
ヒロ、クゥ、マリはコハナ村を後にした。
(マリにも心から許せるやつを見つかりました。いい奴でマリを守れる奴だと思います。マリを見守っていてください…)
フォンドは、マリの両親に心の中で伝えたのであった。
1章書き終わり2章からヒロ達の旅を描いていきます。




