105話
遅くなりましたが続きを投稿しますヾ(・ω・*)
ヒロはクゥが体の上を移動していた事で少し早く目覚めたのだった。クゥの頭や背中を撫でてみんなが起きそうな時間まで過ごす。
「クゥ、ダンジョンは危ないからここで待ってるか?」
「にゃゃぁ」
「そうか、じゃあ背負い袋に入っていい子にしててくれよ」
「にゃぁ」
そろそろ時間なので槍とクゥがいる背負い袋を担いでマリ達を訪ねた。
ノックをするとマリ達が出て来る、少し寝不足の様だ。
「大丈夫か?」
「ベッドが、ね」
「うー、すこしちくちく」
「ダンジョンの目立たない所で水浴びでもするか」
「ヒロ!絶対にランクを上げるわよ!あんな宿もう嫌よ!」
「そうねぇ、私もあの宿は」
「分かった、分かった」
朝食を食べずに宿を出る事を伝えて、初心者ダンジョンへと向かう。
「昨日見た地図だとこの宿から右に行くとある筈だ」
「…ヒロ、だいじょうぶ?…」
「ミーシャンちゃん大丈夫だよ」
ヒロはミーシャンに笑顔で答える、しかしミーシャンも他のメンバーもヒロが無理をしているのは気づいている。
しかし、根本的な問題であるロスティン奪還の為、戦うための力を求めてという事に対してヒロとの温度感の違いがあった。
「ティル姉、ヒロが」
「そうねぇ、このままだと」
「ルリ、ティル行くよ」
「歩くのが早いのよ!」
「悪かったな」
初心者ダンジョンに着くと小さな小屋がドライブスルーの様に人が通って、扉に入って行く。
初心者ダンジョンという事で装備などを含めてヒロ達パーティとは比べられないくらいである。
「すいません、初めて入るのですがここは受付ですか?」
「はい、初心者ダンジョンとはいえ亡くなる方も居ますので帰ってこない時などに捜索する為に」
「わかりました、5人パーティーで入りたいのですが」
「大丈夫ですよ、それでは探索者証明書を」
それぞれ、受付の人に渡すとヒロ以外は心配されるが大丈夫と伝えるがヒロに対して険しい顔をする受付さんだった。
「入ろう、マリと俺は前衛真ん中にティル、ルリ、後ろがミーシャンちゃんでいいか?」
「ミーシャンの方が気配察知が上手いから前じゃ無くていいの?」
「いや、後ろからの奇襲の方が厄介だ…一応風魔法で探知も出来る俺が居れば大丈夫だろう」
「そうね、ヒロ焦りは禁物よ」
「ルリは連携をまだしてないから頼むな」
「了解よ」
とうとう、ダンジョン探索が始まる。
扉を開けると中は明るく、松明などを用意する必要も無さそうだ。
洞窟タイプと呼ばれるダンジョンで隠れている敵がいたりと注意深く進まないと危険だと受付の人が言っていた。
「風よ、行先の存在を感じろ」
「…そうぞう、ちぇーんそーぶれいど…」
「頑張ろうね!」
「そうね!」
「頑張りましょうねぇ」
真っ直ぐな道を進むと二手に分かれる道がある。
「分かれ道か…右だな」
「えっ、ヒロ君いつのまに探知を詳しく出来たのぉ?」
「実はここに来る間も練習していたんだ」
「そうなのねぇ、左に宝箱とか」
「いや、一階層に大した物は無いと思うよ…資金よりもランク上げの方が先だ」
「…そうねぇ、右に行きましょうか」
少し進むと道幅が広くなり、モンスターが現れた。
「ゴブリンが3匹だけか」
「…わたしがやる…」
「いや、まず前衛が戦う…マリ行けるか?」
「大丈夫だよ」
「よしマリが右の一体、俺が2匹やる…3、2、1」
マリが素早く近づくと斧でゴブリンの胴体を横薙ぎした、あっさり上下に分かれたゴブリンは黒いモヤとなって消える。
ヒロも神槍に魔力を乗せずに、突きで一差しずつで倒した。
「相手にならないな」
「そうだね、流石に」
「他のみんなも1回戦ったら、一気に進む」
感覚を掴む為にゴブリンとの戦闘をこなしたメンバーを連れて2階層に降りた。
「…ここから走って次の階層に向かう」
「そんなに急がな」
「戦って分かった、弱すぎて話にならない…最低限の戦闘で10階層に向かう」
「ヒロ、でも」
「…マリ、ここで足踏みするつもりはない」
「…わかった」
マリは納得していなそうであったが、平常時のヒロなら許していた事も今のヒロには譲れなかった。
「ティル、ルリは魔法で撃ち漏らしをミーシャンちゃんは投擲武器を用意しつつ、後ろの警戒」
「…わかった…」
「分かったわよ」
「分かりましたわぁ」
ヒロはマリの顔を見て言う。
「マリは前衛で俺と…素早く敵を減らす」
「分かったよ」
「じゃあ行くぞ」
あっという間に8階層まで着いた。
ヒロはすぐに最後まで行きたかったが、休憩を他のメンバーに言われ渋々する事になったのである。
「ヒロ、ご飯なんだけど」
「用意してあるだろ?」
「…足りないよ」
「何かあった場合に残す必要がある」
「…ついかは?…」
「ミーシャンちゃん、今は追加で出せない」
「…わかった…」
しょんぼりしたミーシャンを横目にヒロは考え事をするのであった。




