99話
本編投稿です(・ω・*)
代金を預ける為、ハイベルとヒロは商業ギルドに向けて歩いている。
「ハイベルさん、商業ギルドってのは何処も似てるのか?」
「どうでしょうか…少なくとも、ここと私が店を持っていた場所では規模の違いこそありますが似ていると思いますよ」
「そうなんですね、ギルドマスターの趣味で替えたりとかありそうですけど」
「商業ギルドの本部はそれだけの力を持っているではないかと」
「そういうものなんですね」
「ええ、情報網もかなりの様です」
話しをしていると目的地である商業ギルドに着いた。
「ヒロさん、ここです」
「一応私も着いて行きますね、何も無いとは思いますが念のため」
「はい、お願いします」
商業ギルドの中に扉を開けて入ると、ノルヤで訪れた商業ギルドに似ている。
しかし訪れる人が少ないと感じる。
「ハイベルさん、人が少ない様に感じるのですが」
「ここもメイズアンスの影響がある、と言うことですね」
「もしかして、ダンジョン産のアイテムと素材ですか?」
「ええ、ダンジョン産の物が流通し始め、ここに商業ギルドが出来たのは大商会がこの辺りで力を持った後でして」
「商業ギルドは、商会に逆らえないと」
「ええ、なのでそれなりの規模の商いをして基本小規模な商会を相手に仕事していますが、なかなか小規模商会も厳しいですので手数料のかからない個別取引も多いのですよ」
「なるほど、しかし商業ギルドの本部は力があるはずでは?」
「それだけダンジョン産の品が各国の必需品になっていると言うことですね、それでは行きましょうか」
「はい、ハイベルさんありがとうございました」
冒険者ギルドもそうだが商業ギルドも受付嬢は綺麗な人が多い様だ。
後ろに待機してハイベルがギルドの口座に入れる手続きを待った。
「それでは手続きはこれで終わりでございます」
「ありがとう」
「そちらの方は?」
「ああ、私は彼の護衛です」
「ならは、見たところかなり高ランクの冒険者の様ですね」
「ヒロと申します。Aランクの認定をされています」
「A!失礼いたしました、それ程までに」
「メイズアンスに向かいますが、まだ少しここに滞在しますので何か有れば指名依頼を」
「かしこまりました、マスターにお伝えしておきますね…本日は誠に有難うございました」
受付嬢に別れを告げ、宿へと向かう。
マリ達は部屋で昨日買ったお菓子を広げてお茶会をしていた。
ご飯が食べられなくなるぞ、と言うヒロの言葉は夕食でムダだという事が証明されたのであった。
そして、夜ヒロが部屋でクゥ、ティル、ルリと仲良くベットで寝ている。
勿論みんなネコの姿だ。
ヒロは夢を見る。
「し、師匠、もう無理です」
「たわけ!後継者がそんな事で務まると思っているのか!」
「お爺さま!ヒロはまだ子供です!その様に修行をさせるのは!」
「お前がそうやって甘やかすからこいつは本気にならんのだ」
「しかし!お爺さま、この修行はもっと大人になってからするはずでは!」
「こいつには才能がある、槍、弓、そして…ともかくこの流派を残すには必要な事。わかったら神社の手伝いにでも行って来い」
「ぐっ、わ、わかりました。ですが何かあれば私は許しませんから!…ヒロ、無理だけはしないでね」
「はい、お母さん」
ヒロは修行の夢を見て、あまりのキツさに起きてしまった。
「はっ!………あれは母さんと爺ちゃん、爺ちゃんは俺が二十歳の時に亡くなって会う事もほとんどなかったはず。」
「にゃぉ」
「クゥ、大丈夫だよ」
ヒロはクゥを撫でながら、夢の事を少し考えまた眠りにつくのであった。
朝、夢の事を忘れていたヒロがクゥをもふもふしてティルとルリの目覚めを待っている。
クゥはヒロの膝の上で手足を投げ出し横になってくつろいで、ゴロゴロと音を出しヒロに甘える。
「今日は特に機嫌がいいな」
「にゃ」
「そういえばクゥとの時間を作れてなかったよ」
「にゃぉ」
「そっか、俺も嬉しいよクゥ」
久しぶりにクゥへのサービスが出来て、ヒロは少し心の中にある物が軽くなった気がした。
ハイベル夫妻は一旦実家へ帰る事になっていたので別れる事になる。
「ヒロさん、本当にありがとうございます」
「出資しただけで他には何もしてませんけどね」
「そんな事は無いですよ、出資の他に護衛やお食事をご馳走になったりと他人に施すには余りにも」
「まあ、気まぐれですよ、気まぐれなので気にしないでください」
「はぁ、わかりました。しかしこの御恩は必ず返させていただきます。皆様怪我や病気をなさらない事を祈っております。」
「お兄ちゃんありがとう!」
「ヒロさん、皆さん本当にありがとうございました」
「私何もしてないよ、ヒロがしたんだよ!」
「…うん、ヒロ頑張った…」
「ヒロ君の優しさですねぇ♪」
「あんたも少しは良いところがあるじゃない、見直したわよ…少しだけね!」
マリ、ミーシャン、ティル、ルリはヒロのおかげと言っているが、ヒロはパーティーのみんなのお陰でだよ、と心の中感謝してハイベル親子と暫しの別れをしたのであった。




