9話
前回はマリに村を案内してもらう回でしたね。
クゥを堪能したヒロは、起きてきて朝ご飯を手伝うため向かうヒロであった。
「おはよう、フォンド」
「おはよう、手伝ってくれるのか?」
「あぁ、一応少しは出来るからな。」
「それにこれから教わるからな。少しは手伝いたくて。」
「そうか、いいことだと思うぞ」
ヒロは、スープに使う野菜を切っていた。
マリが朝ご飯を作るためにやってきた。
「おはよう〜♩ヒロ〜」
「おはよう、マリ」
「おぉ、マリ今日もきたのか?」
「もちろん!美味しいご飯食べてほしいから!」
フォンドが、少し笑いながら
「そうだな」
と言った。
テーブルに運んで朝ご飯を食べる。
メニューは、野菜スープに黒パンを入れたものと、ウィンナーと野菜サラダだ。
ちなみにスープにパンを入れたのはヒロだった。
「すごいな、スープに浸すことはあっても直接入れたことはないが、これは手軽で美味しな」
「本当だね!ヒロは料理もできるんだ!益々頑張らないと♩」
「気に入ってくれてよかったよ」
(やっぱり向こうの料理はレベルが高かったんだな)
クゥも最後の猫缶を食べて満足そうにしている。
これからクゥもこちらの食事をすることになる…
少し不安だ。
「じゃあ、もう少ししたら基本からするか?」
「あぁ頼む」
「ヒロ今日は遊ばないの?」
「別に遊んでたわけじゃないけど、槍を教えてもらおうと思ってね」
「じゃあ見ててもいい?」
「それはいいけど家の事とかいいのか?」
マリは一瞬暗い顔をしたが、
「大丈夫だよ♩実は私計算ができるからあんまり畑仕事はしなくていいんだ♩」
「フォンド、そうなのか?」
「あぁ…マリの家は商人…な」
最後の方はよく聞こえなかったが、
「それなら別に構わないぞ、面白いものじゃないとはおもうけど」
「ありがとう〜♩ヒロ」
マリは笑顔でお礼を言った。
「さぁ、始めるかヒロ。」
「フォンドには、名前でなかなか呼ばれないから緊張するな」
「戦い方を教えるんだ、戦士として名前でちゃんと呼んだ方がいいだろ」
「そうかもな…師匠!」
「すまん…師匠はやめてくれ!」
「お、おぉ、フォンド」
家の裏手にきた。
「まず、基本だが槍は突き、なぎ払いが攻撃方法だ」
「貸してみろ」
フォンドの雰囲気が少し変わった。
「ハッ!」
「ハァ!」
すごい勢いで突いたと思ったらいつのまにか横薙ぎが終わっていた。
「大体できるとこんな感じになる」
「フォンドあれでC級冒険者なのか?」
「あぁ、一応Bランク直前までいったから大体Bランクならあのくらいは当たり前だな」
「ほとんど見えなかった」
「いきなり戦闘訓練も何もしてない人間があれを避けるのは不可能だな」
「見える人間もいるがそれはおそらく才能がある類だ」
「それを聞いて少し安心した、あれも見切れないなら教えることもない!とか言われのかと思ったよ」
「そんなわけないだろ?お前が目指すところを一番最初に見せたかっただけだ」
「槍でもあのくらいの強さになるってことをな、カッコいいだろ?」
「あぁ気に入ったよ」
「まぁ俺もある奴の受け売りだがな…」
フォンドは嬉しそな少し寂しそうな顔をしていった。
「気を取り直して、突きからだ!まず100回!」
「はい!」
ヒロは慣れない突きをフォンドの指導を受けながら100回こなした。
「ヒロお前は才能があるかもな…」
「どうした、フォンド急に?」
「いや、なんとなくだ」
「フォンドに教える才能があったからじゃないか?自慢じゃないが運動はあまりしてなかったぞ?」
「ありがとう、ヒロにそう言ってもらえると嬉しいもんだな」
(あいつもこんな気持ちだったのかな…なのに…)
「どうしたフォンド?」
「いやなんでもないんだ。」
フォンドは指導用に持っていた棒を強く握っていた。
「ヒロまだいけるか?」
「もう少し行けそうだ」
「なら軽く打ち込んでこい」
「まだ突きしか出来ないが大丈夫か?」
「俺は受け流すだけだからどんどん来て大丈夫だ」
「1本くらいは当ててやるさ」
「やれもんならやってみな!」
フォンドは昔冒険者をしていた頃に少し戻った。
その頃マリは、お昼寝していた。
途中で飽きたらしい。
クゥも少し離れたところで寝ている。
「ヒロ!どうしたそんな勢いじゃ当てられないぞ!」
「まだまだこれからだ!」
ヒロは、フォンドに向かって本気で突きに行っているが当たるどころか全て受け流されている。
(これがフォンドの本当の実力か…)
(さすがの素人の俺でもわかる力の差ってやつだな…)
(ヒロのやつ、反撃しないとはいえ、突きしか教えていないのに攻撃が鋭い)
(少し昔の感覚が戻ってるのに焦る攻撃が何回かあったな…強くなりそうでワクワクするな)
「ヒロ!そろそろ体力もきついだろ、次の一本で終わりだ!」
「フォンドから1本とってやる!」
お互い間合いを探りながらヒロが飛び出した。
突きは直線的な攻撃だ。
これだけ実力差があれば攻撃箇所さえわかれば受け流すのは難しくない。
「ハッ!」
「ヒロ残念だがそれじゃあ届かないぜ!」
(さすがにどうにもならないのか…)
しかしヒロは、
「ハァ!」
ヒロの槍は、フォンドの髪を掠めた。
「まさか、偶然あれを使うとはな…」
「髪に当たった、ヒロお前の一本だ」
ヒロ体力を使い果たして前のめりになって眠っていた。
いよいよヒロの訓練が始まります…




