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九十二話  一滴の恵み

 教団信者の反旗。その一連の流れ。

 カルマとブェリョネィースは疾走を続けながら事の起こりを話していた。



「リッシュの名に聞き覚えが?」


「もちろんだ。ここグロータスの富豪、フォウエル家の令嬢でな。ついつい甘やかし過ぎたらしく、わがまま放題に育ってしまったようで教育を任されたのだ。クリストフに一任してしまったので私も強くは出れぬが……。やれやれ、さすがに何かあってはフォウエル殿に顔向け出来ぬな……」



 カルマが話した信者達の先頭に立っていたという、女性信者の行動に心当たりがあったブェリョネィース。

 いわゆる箱入り娘であったリッシュを十の頃から預かり七年。

 あれも嫌これも嫌。食事すら外で豪勢に済ますほど、教団内でも有名なわがまま娘だったのだが、預けたはずの両親が資金援助するほど親馬鹿なので呆れ返ってしまっていた。

 両親としては美しく育った娘に悪い虫が付かぬよう、厳粛な精神を与えたかっただけなのだろう。

 自意識の強いリッシュは特別扱いをされず、一信者として他と平等に接せられる事に年々不満を募らせていたようだった。

 恐らくはゼラムル教団の口車に乗せられ、体よく利用されただけなのだろう。

 ブェリョネィースは深く溜め息をつき、平然と走っているカルマを注視する。



「時にカルマよ。リノレ様のお力で致命傷は免れたとは言えその身体、万全ではあるまい? 無茶をすればリノレ様も悲しむ。お前は休んでいて構わぬぞ?」


「何を仰る。此度授かった神聖術にて先程、手足の筋はある程度回復しました。今はあばらの修復中です。刻一刻と高まる己が感情、この至福の時を、一秒とて削る気はありません!」



 休息を取らせようとしたブェリョネィースだが、カルマの固い意思を聞き素直に驚嘆する。

 破壊竜再来からここまで、カルマの成長は心身共に著しいのだ。

 喧嘩や暴言を繰り返し、揉め事ばかり起こす問題児であったとは思えぬ程に。



(ふふ、ヴァズァウェルの奴が驚くのが目に浮かぶわ。私とていつまでもうかうかして居られぬな……)



 自らの先見性、その目測の遥か先を行かれた事は嬉しい誤算。

 予想を越える成長速度に、ブェリョネィースは久方ぶりに高揚してさえいた。



 ーーーーーーーーーー



 リヴィアータ商業区域に古くから存在する寂れた神殿。

 縮小を重ね、小さな教会程度の建物ではあるが、名も忘れられた最古の神を奉る神殿とされている。

 街の北西に存在する神々の王が降臨したという祭壇も、この最古の神のものとされていた。

 リッシュはその神殿にて、当初の原型など留めていないであろう、空想の造形である翼の生えた神像の前で跪き、両手を握りしめ悔しさを噛み締めていた。



(どうして私が逃げなきゃならないの! 私は選ばれたの。教祖ウェパル様に見出だされた、ゼラムル様に仕える神の御子なのに……。大丈夫、大丈夫よ。魔力の補充が済んだら今度こそ……)


「リッシュ……」



 募る焦燥感を押さえ、自らの価値は高いと言い聞かせていたリッシュ。

 ちょうどその時、背後から女性の声が掛かる。



「ウァラク様! お会い出来て良かった! 今クリストフ様が邪教の者と交戦中なのです! この指輪に魔力の補充をお願い出来ませんか?」



 振り向いたリッシュの前に立つ女性、ゼラムル教団の信者ウァラク。

 修道服を身に纏い、貞淑そうな顔立ちやその服装とは裏腹に、物欲しそうに吐息を漏らす姿はいっそ妖艶に映る。

 リッシュはいつもと違うウァラクの様子に一瞬違和感を覚えるが、特に気にも止めず慌てたように捲し立てた。

 ウァラクはリッシュの肩に手を置き、やや興奮気味に笑顔で口を開く。



「良いじゃない、そんな事は……。ちょうど良いわ……。全てあの男のせいにすれば良いのよ。リッシュ……、ウェパル様のお気に入り……。本当に愚かで可愛い子。魔力を馴染ませて、すぐに入り込めるようにされているだけなのに……」


「え? ウァラク様? いったい何のお話しを……。痛っ! ウァ、ウァラク……様?」



 華奢な女性とは思えない程の力で、肩を握り始めたウァラクに違和感と恐怖を感じるリッシュ。

 ウァラクは血走ったような瞳でリッシュを見つめ、歪んだ笑みを作る口元からはよだれを垂らしていた。



「どうしたのですか!? 正気に、正気に戻ってください!」


「私は正気よぉ……。外はねぇ、これからゼラムル教団の信者達が食事を始めるところなの。だから私も……ね? 前から……狙ってたのよぉ。ウェパル様の依り代にするなんて……、そんなの嫌よぉ……」



 リッシュは様子のおかしいウァラクをなだめようと試みるが、さらに理解不能な言葉を返されてしまう。

 突然大きく口を開いたウァラクには鋭い牙が生えていた。

 リッシュは混乱したまま、肩の付け根に走った激痛でようやく事態を把握する。



「きゃあああぁぁぁぁ!!」



 今まで生きて来て、出した事もない大声で絶叫するリッシュ。

 首と肩の間にウァラクが牙を突き立てたのだ。

 焼けるように熱く、転げ回りたくなる程痛い。

 しかしリッシュは動く事が出来なかった。ウァラクは両手をリッシュの背中に回し、身を捩ろうとするリッシュの腕ごとその身体を固定しているのだ。

 まるで大木に挟まれたかのように、ウァラクの身体はびくともしない。



「待って! やめて! 助けてぇ! な……に……を……」



 大粒の涙を流しながらかぶりを振ろうと悶えるリッシュ。激痛は瞬間的に鳴りを潜め、痛みは感じるが痛覚がマヒしつつあり、なんとかウァラクと対話を図ろうとしていた。

 だがウァラクから聞こえる奇怪な音に気付き、背筋が凍り付き、唇が震え出す。


 ゴク、ゴク、ゴク……

 そう音が鳴る度、小刻みに跳ねるウァラクの頭部。

 リッシュは首元が焼けそうな程熱いにも関わらず、凍えるほどの寒さを感じ始めている事に気付く。

 血を吸われている……。そう気付いた時には身体中がマヒし、リッシュは声すらまともに発せなくなっていた。



(これは……なに? どういう……事? ばけも……の? 私はいったい……何に所属していたの? 私は特別だと、優れた人間だって……言われて……。まさか……、私は……ただの……エサとして……)



 ここに至り、リッシュはようやく口先三寸で騙されていた事に気付いた。

 自らはエサとして飼われていただけだったのだ。

 痛みも不自然な程少なく、ただただ緩やかに食べられている恐怖に、身体中が痙攣を起こし冷えていく。


 恍惚とした表情がその目だけで判断出来る程、ウァラクは悦に浸っていた。

 リッシュなど見てもいない。ただ虚空を見つめ、淡々と喉を鳴らし食事を楽しむウァラク。


 頭部をだらりと後方に預け、リッシュはぼやけた瞳で天井を見上げる。

 口はだらしなくぽかりと開き、指先一つ動かせない。

 痛みはもはやなく、吐きそうな程の眠気と空腹、確実な死の恐怖が微かにリッシュの脳をピリピリと揺らすのみ。



(喉……渇く……。お腹……すい……た……。こわ……い……。たす……け……)



 薄れ行く意識の中、暗転するリッシュの視界。

 目覚める事なく、このまま消えるのだと感じていた。

 その閉じた暗闇に、うっすらと視界に光りが戻ってくる。気を失っていただけなのか、はたまたすでにここは地獄なのか……

 リッシュのその身は石畳の上に横向きに寝そべっていた。


 その視線の先に飛び込んできた大きな獣とおぼしき背中を見つめるリッシュ。

 獣はおもむろにリッシュに振り返り、優しく一鳴きした。



「にゃ~~」



 それは体格の良い大柄な男性をも越えるほど巨大な猫。

 悲痛なリッシュの叫びを聞き、駆けつけたチノレである。



(なんて幻想的な……。最後に……こんな素敵な夢で終われるのね……。愚かな私には勿体ないくらい……)



 リッシュは混濁した意識の中で見る夢のような、神々しいその姿に自らの最後を感じ取った。

 こんなにも巨大な猫など存在するはずがないと、そう感じているから。



「畜生風情が! 邪魔しやがってぇ! 馬鹿みてぇな図体して、テメェから死にたいのか!」



 ウァラクはチノレに体当たりされ、食事を妨害された事に逆上していた。

 顔を歪め、声を荒げ、チノレをその爪で切り裂こうと襲い掛かる。



「にゃん。にゃ~」


「クソ! クソがぁ! ちょこまかとぉ!」



 チノレはその巨体でウァラクの爪をひらりひらりと器用にかわし続けた。

 怒りに身を任せるウァラクは、瞬間的にその場を飛び退くチノレの瞬発力に対応出来ていない。



「ハァ……、ハァ……。もう良いわ。これで終わりよ!」



 ウァラクは冷静を取り戻し、その身から生じさせた瘴気でチノレをあっさりと包み込む。

 黒い煙に巻かれ、佇むチノレ。その姿を見て鼻で笑うウァラク。



「私とした事が、気品に欠けていたわね。恥ずかしい……。だけど許しはしないわ。あんたはバラバラに解体して、低級な魔神共のエサにしてやるよぉ……」



 薄く笑うウァラクは右手の爪を剣のように長く伸ばす。

 そして精神に過負荷を与える瘴気に包まれるチノレに向かい、ゆっくり歩を進める。


 チノレは幻覚を見せられていた。チノレの周りには人形のように立ち尽くす家族達。

 目の前でザガン、シトリー、アガレスが次々と巨大な獣に踏み潰され、ラグナート、マトイは別の獣に胴体を食い千切られる。

 フレム、リノレは多数の人間達により、その身体を剣や槍で突き刺されていた。

 家族を殺した獣と人間達はそのままチノレを取り囲む。次はお前の番だと言わんばかりに……


 ウァラクの作った舞台に、チノレの潜在意識から配役を与えただけの幻。

 脆弱で単純な精神を持つ者ならば、その恐怖で簡単に心が折れてしまうだろう。

 だがウァラクは知らなかった。鈍いチノレには家族の姿をした人形が壊されているだけにしか見えておらず、またそれが、チノレの逆鱗に触れてしまったという事に。



「な~う~~」



 低く唸り、毛を逆立て牙を剥くチノレ。

 先程までは遊んでいる気でさえいたチノレは、明確にこの瘴気を発生させたウァラクに敵意を向けた。



「え!? なに? 身が……すくむ……。なによこの震えは!」



 ウァラクは指先から身体全体が震え出すのを感じる。

 その身が魔力も持たない獣一匹に危険信号を放ったのだ。

 そんなはずはないと思い込もうとした瞬間、ウァラクの右手の爪が弾け飛び、腕から血飛沫が舞った。

 一瞬で間合いを詰めたチノレの爪をまともに食らい、慌てて飛び退き距離を取るウァラク。



「かっ! そんな! ばかな……。なによお前……」



 ヴァンパイアシードの魔神、ウァラクの身に一介の獣が傷を付けられるはずはない。

 理由はすぐに理解出来た。心が怖じけてしまった事により、魔力による強化が弱まってしまった為である。



「う~~!」


「魔力が上手く使えない……。私が……こんな化猫に怯えてるというの……」



 唸るチノレに対し覚えた得も知れない感情を否定しようと試みるウァラク。

 だが一度感じてしまった恐怖は簡単には振り払えなかった。



「クソ! クソ! 来るな……。来るなぁ!!」



 コウモリのような翼を広げ、ウァラクは半狂乱で神殿の出入口に飛び去る。

 元凶が去った事で一瞬にして怒りが消えたチノレは、ノシノシとゆっくり四つ足でリッシュに近付いて行く。



(この子に食べられるのね……。夢ならどうか、これ以上の痛みと苦しみを感じませんように……)



 目を閉じ、最後の祈りを捧げるリッシュ。

 祈り願うという行為を、今初めて理解した事に気付き苦笑した。


 覚悟を決めたリッシュの頬に、丸くて硬い物が押し付けられる。

 疑問に感じ目を開くと、巨大な猫は首から下げたポーチから取り出したと思われるリンゴを一つ、両前足で掴みリッシュの口に突き入れようとしていた。

 それは驚く程甘く香り、リッシュの喉を盛大に鳴らす。


 抵抗も拒絶も出来なく、する理由もないリッシュは押し当てられたリンゴをかじる。

 豊潤かつ甘いその果実はこの世の物とは思えぬくらい、リッシュが今まで口にしたどんな食べ物よりも美味しいと感じた。


 チノレは石畳に付いたリッシュの肩口に鼻を押し当て、器用にその身体を起こす。

 丸まったチノレの腹部に仰向けにもたれ掛かる体勢になったリッシュは、両手で持ったリンゴをもう一かじりした。



「おいしい……。おいし……い……。こんなに……美味しいなんて……」



 表情を変えず、頬を伝う涙が止まらないリッシュ。

 何の調理もされていない。水分も抜けかけ、若干パサついてさえいるリンゴ。

 いつものリッシュなら踏み潰してしまう程の代物。

 それが今は何よりも愛おしい……

 どれだけ自分が恵まれていて、どれほど自分が愚かしかったのか、リッシュは改めて思い知った。

 リッシュはそのままふわふわのチノレのお腹に埋まり、意識を手放し寝息を立て始める。

 その姿を祭壇の間入口にて、物陰に隠れて見る二つの影。



「見ているかカルマよ」


「ええ……。もちろんです……。御身を身限った者に対する……、なんという絶対的な慈悲……」



 ブェリョネィースとカルマが立ち尽くし、またも号泣していた。

 その傍らには灰になっている途中のウァラクの姿。


 祭壇の間から飛び出して来たウァラクは、リノレをおんぶしたままであるカルマの右拳をみぞおちに、右脇にクリストフを抱えるブェリョネィースの左拳を即頭部に受け、神聖術を叩き込まれあっさり絶命していた。

 残念ながら完全に取り込まれていたようで、犠牲者のものであろうその亡骸は人として弔う事は出来なかった。


 ブェリョネィースとカルマはチノレの元に歩み寄る。

 リノレに気付いたチノレは一鳴きし、目覚めたリノレはカルマの背から降りてリッシュの左隣で丸まり、再び眠りに付いた。

 クリストフを石畳に寝かせ、膝を付いて頭を下げるブェリョネィースとカルマ。



「にゃ~」


「……なんと……、御厚意……、深く、深く感謝致します……」



 小さく鳴くチノレに、ブェリョネィースは目を丸くし深い感謝を言葉にする。

 それから一礼し、クリストフを抱えてリッシュの右隣に寝かせた。



「法王様、チノレ様は今なんと?」


「クリストフも御身で暖めて下さると……」



 問うカルマにそう伝えながら涙を流すブェリョネィース。カルマも顔を伏せて涙を溢す。

 入口に置かれたウァラクが完全に灰塵に帰したとほぼ同時に、祭壇の間に到着した信者達。

 彼等の前には、ステンドグラスから差し込む光りに包まれ眠りについているチノレと、チノレに優しく包まれたリノレ、リッシュ、クリストフが映っていた。

 辿々しい足取りで、信者達はブェリョネィースとカルマの背後で跪く。



「これが……いえ、この御方が……」


「そうだ。我が魂の内に降り立った神。いと深き慈悲と慈愛の権化、チノレ様だ」



 誰ともなく発せられた信者の言葉に、振り向きもせずブェリョネィースは背後に向けて答えた。

 それを聞いた信者達は、差し込む光りに照らされた優しくも神々しく輝くチノレに頭を垂れる。



「言い訳にもなりません……。与えられると言う力を欲し、悪魔の囁きに惑わされてしまいました……。御許しを……」


「操られ、苦しんで居られるとも気付かず、ご立派な大司祭様の御言葉ならばと……、自らの蒙昧を恥じるばかりでございます……」



 信者達は頭を下げたまま、次々と懺悔を口にした。

 これに対してブェリョネィースは答えない。答えられないのだ。

 この一連の騒動の原因、体のいい口実を作る隙を与えてしまったのは法王ブェリョネィースなのだから。



「にゃ~」



 チノレは薄く目を開け、小さく一鳴きして再び目を閉じる。

 ブェリョネィースは天を仰ぎ、チノレの言葉を信者達に伝えた。



「チノレ様はリノレ様、リッシュ、クリストフが身体を休めるために静かにせよと仰せだ。チノレ様は此度の騒動に何の関心も寄せてはおられない。謝罪は必要とせず、叱責もない。私の責もあるのだ。各自好きにせい」



 ブェリョネィースの言葉を静かに受け取り、肩を震わせて泣く信者達。

 全ては各々の責任。叱責を受ける事もないが、それは同時に許される事もないという事。

 先に法王の言った『神とは各々が心に宿す存在』という言葉を噛み締め、信者達は自問自答を繰り返した。


 静まり返っていた神殿の外が騒がしくなって来る。

 羽音、破壊音、鳴き声、叫び声。

 それらが聞こえる度、寝ているチノレの耳がピクピクと小刻みに動く。

 それを見てゆっくりと立ち上がるは法王ブェリョネィース。



「チノレ様の眠りを妨げる愚かなる者に裁きを……」



 静かな怒りを持って、神殿の外に出たブェリョネィースの前に広がる光景。

 神殿の入り口付近には二足歩行する狼、ワーウルフの群れが集まっていた。

 エサの、つまりは人間の匂いを嗅ぎ付けて群がって来たのだろう。

 空を飛び交う天使や魔神に連れられて、これらの魔物も街に降り立っていたのだ。



「《静まれぃ》!」



 大気が揺れる程の怒声を放ったブェリョネィース。

 身を硬直させて静まり返るワーウルフ達。天使や魔神の数体は今の一声で地上に落ちた者までいる。

 不思議なことに背後に居るカルマ達にはか細い声しか聞こえていない。



「法王様、私も共に……」



 カルマはその超常の怪音波を放ったブェリョネィースを見つめ、おぼろ気だった自らが目指す道に指針を立てた。

 法王など胡散臭いジジイだと思っていたはずなのに、まがりなりにも尊敬していた師である大神官ヴァズァウェルをも凌ぐ程、その生き様に憧れている事に気付いたのだ。



(場が変わろうと、この方は教団の法王で在り続けるだろう。これがチノレ様とリノレ様への信仰の果てならば……、いつか俺も……、その頂へ!)



 次代の法王を目指す決意を固めたカルマ・アルイン。

 そして新たな決意の光りを瞳に宿した信者達が、法王ブェリョネィースの背後に並び立つ。

 退魔神官でない信者達でさえ、瞳に宿す決意は変わらない。

 その姿を見回し、小さく頷くブェリョネィース。



「新生チノレ神団! これより、この地に蔓延る仇なす者を排除する!」



 新たな名を唱え、ブェリョネィースは高らかに宣言する。

 これにより歓声と共に闘志を滾らせる新生チノレ神団。

 この戦場に光を持って闇を照らす、世界最強の悪魔払い集団が解き放たれた瞬間である。

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