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八十二話  雷帝の危機

 離れた戦場の気配を感じ取るゼノン。

 予想を越える二つの強大な魔力。


 一つはザガンと呼ばれていた魔神。

 状況から考えて錬金術師ザガンの名を名乗る者、アーセルムの魔神で間違いないと考えられた。

 もう一つはマトイ。

 魔力だけならネプトゥヌスを、プルートを、ゼノン自身すら越えている。



「すげぇな……、是非とも手合わせしたいところだが……」



 ゼノンの前には疲労困憊でありながら、揺るがぬ戦意を放つ四体の勇者が居る。

 高まる戦闘欲をぶつける相手がここにも存在するのだ。



「少し本気で行くぜ。死んでくれるなよお前ら……」



 ゼノンを取り巻く魔力の流れが変わっている。

 荒々しい力の本流は鳴りを潜め、周囲の空気と音さえもゆっくりと押し出されるように流れていく。



「く……、うぅ……」


「これ……は……」


「まさか……」



 その暖かい風を受け、ルーアとワーズ、カイラに息苦しさが広がる。

 呼吸が上手く行えず、更に体は水中に居るかのように鈍重になっていた。



「酸素を排斥し、尚且つお前らの周囲の大気を固めた。やっぱ動けねぇか? だったらしばらくそうしてろ。先に面倒なのを片付けさせてもらう」



 そう宣言したゼノンに対しただ一体、その力に抗っているガードランスが高速接近し、槍をゼノンの頭部に振り下ろす。

 しかしその刃はゼノンの体に触れる直前で止まっていた。



「天空を祓う力……。俺は万物を拒絶出来る。その程度じゃ届かねぇぜ、ギュ……ガードランス」


「ゼノン! 何故俺を無視するのだ!」



 真剣な中でもわざわざ言い直すゼノンに抗議の声が上がる。

 ヴルギュローフはガードランスの頭の上で跳び跳ねながら、大層憤慨した様子を見せた。

 せっかく出てきたというのに、先程からゼノンはヴルギュローフと目さえ合わせないのだ。



「うるせぇよ! なんでウサギなんだよ! 他にもっとあるだろう!?」


「そんなことはファシルに言え! 俺とて何故ウサギなのか分からんのだ!」



 ゼノンは緊迫感を保つ事を諦め、改めてヴルギュローフを眼下に納めた。

 金色に輝く可愛らしいウサギ。

 どう見てもウサギ。間違いなくウサギだ。



「本当に何考えてやがるあのヤロウ……」



 ゼノンは眉をひそめ、創造主に対してやり場のない感情を浮かべていた。

 いくらなんでも、元となった人物とイメージがかけ離れ過ぎていたのだ。



「だからといって、あまり舐めてもらっても困るがな……。ガードランス! 全開でいくぞ!」


「ウン!」



 ヴルギュローフを乗せたガードランスは後方に飛び退き、槍の柄を大地に突き立てる。

 そしてヴルギュローフがガードランスの頭の上で両手を広げ、垂れていた耳が垂直に起き上がった。

 光りを放つヴルギュローフとガードランス。


 目映い光が収まったその場所には、金色の鎧を身に纏ったガードランスが立っていた。

 頭部からは二対の大きな耳のような金属片が垂れ下がり、身体も一回り大きくなっている。

 槍の先端にはコミカルなウサギが付き、耳はグルグルと螺旋状にまとまりながらも平たい刃を形成していた。



「ゼノン。カクゴ!」


「ああ、うん。もういいよ! 来い! ガードランス! ギュローフ!」



 真剣そのものなガードランスに対して淡泊なゼノン。

 ゼノンは耳型の刃先や形状に文句を付けたかったが、すぐに諦めて状況を受け入れた。


 ガードランスの装甲、速度、全ての性能が飛躍的に高まり、振りかざす槍もウサギが付いた事でその威力を更に増している。

 ゼノンは手から発生させた斥力で槍を捌きながら、拳に物質を破壊する魔力を乗せて対抗した。


 その時、近接戦の打撃、斬撃の応酬を続けるガードランスとゼノンの間に風が流れ始める。

 固まっていた大気が動き始めたのだ。



「あぁぁぁぁぁぁ!」



 咆哮するカイラの周囲に大気が集まる。

 排斥された酸素を取り戻すように。

 更なる力を解放するように。



「自力で脱したか! はは! それでこそゼファーの子だ! だがそこまでだ。お前の竜天魔法では俺には届かない!」



 ゼノンの発する言葉はもはや挑発ではない。

 彼等に対する期待に溢れていた。

 ゼノンを睨み付けるカイラは瞬間的に風を纏い、その風から弾き出されるようにゼノンに向い飛び出す。

 その直線上に落ちていたガードランスの剣を拾い、ゼノンに切り掛かる。



能力加速アクセラレート……、それに魔力付加エンチャントか! いきなり器用になったもんだ!」



 笑みを溢すゼノンはカイラの降り下ろした剣を左腕で受け止めた。

 勢いによる衝撃が大気を鳴らす。

 カイラはどうせ消されるのならと、魔力は全て突撃するための推進力に変えていた。

 その仮定で身体と剣への魔力付加が行われていたのだ。



「俺は……力が欲しかった……。だが俺の欲しかった力はこんな力じゃない。お前だって同じはずだ!」


「何を……言ってやがる? お前いったい……」



 先程とは人が変わったように穏やかに、しかし力強く語るカイラに困惑するゼノン。

 口調も、動きさえも変化したカイラとガードランス。

 カイラはゼノンの動きを遮るように斬撃を繰り返した。

 ガードランスのサポートに回っているのだ。

 息の合った彼等の連携に防戦一方に追い込まれているゼノン。



「く! 何でこいつまでここまでの剣技を……」



 ゼノンはガードランスを蹴り飛ばし、左手でカイラの剣を掴んだ。

 そして右手を振り上げ、宿った雷をカイラに向けて解き放とうとする。



「まずはお前からだ!」


「させん!」



 攻撃に移るゼノンの右拳に、力強く食らい付くワーズ。

 ワーズの身体は感電もせず、その身は瘴気に包まれている。



「俺の魔力を相殺!? いや、無力化か! 本当にどうなってんだコイツら!」



 驚きを示すゼノンの隙を逃さず、ガードランスの槍の先がゼノンの腹部に向かって伸びた。

 だがそれは僅かに届かず、空間を押し出すように槍の先端を押し返そうとするゼノン。

 三名の連携を持って、ついにゼノンの動きが封じ込められた。



「良いね……。そうだ! 食らい付いて来い!」



 笑みを浮かべるゼノンはもう一人、ルーアの動向に目を配る。

 ここまで来たら何が起きてもおかしくない。

 その予想は当然のように的中。


 少し離れた位置に居るルーアの前方には発光する魔法陣が描かれていた。

 やはりルーアも諦めていなかったのだ。

 だが人間の使うような精霊魔術などゼノンに効きはしない。

 例え暗黒魔術だとしても自身にダメージを負わせられる術を、あの娘が使えるとは思えなかった。

 それでもゼノンは、沸き上がる高揚感と一縷の危機感を信じ動く。



「やらせっかよぉぉ!」



 周囲の大気を弾き、カイラ、ワーズ、ガードランスを大きく弾き飛ばす。

 ゼノンはルーアの作る魔法陣に手の平を向け、その構成元素を分解しに掛かる。

 大気を操る力にピリピリと反発する陣。ゼノンの予想を遥かに越えて術の繋がりが固い。


 それでもガラス細工のように魔法陣は粉々に砕かれ、空中に消え去った。

 陣の崩壊した反動で片腕から血を流し、膝を付くルーア。



「大したもんだぜ! ここまで強固な陣を作れるとはなぁ! だが、俺を前に魔術なんて湿気たもんが使えると思うなよ!」



 そう言い放つと高笑いを始めるゼノン。

 もはやこの戦いが楽しく仕方がないのだ。

 その姿を前にしたルーアは立ち上り、前を向いて優しく微笑んだ。



「そうね、フェイクに掛かってくれてありがとう」


「は?」



 穏やかなルーアの言葉に疑問符を浮かべるゼノン。

 ルーアは片手を突き出し、指先を上げるとゼノンの真下から光る魔法陣が現れ、放たれた突風がゼノンを高く舞い上げた。



「は! 油断したがこれがなんだって……」



 上空で制止するゼノンの周囲を囲むように魔法陣が球状に現れる。

 それはおぞましい程赤黒い煙を上げる魔法陣。



「まさか! これを作ってたのか!? これ程の魔力を気付かれずに! 待てよ……、いくらなんでもおかしいだろ!? こんな魔力どこから持ってきたんだ!!」



 さすがのゼノンも狼狽する。

 土壇場の気合いでどうにかなる問題ではなかったのだ。

 転魔の杖アズライルの魔力残量で使えるものではないし、所持している指輪もほぼ魔力が尽きている。

 膨大な魔力の出所が分からないのである。



「おい……、何でお前から……魔力が……」



 信じがたいとばかりにゼノンが呟く。

 術式により巧妙に隠されていたが、出所はすぐに判明した。

 それはルーア本体。目の前の少女の体そのものに、信じられない程の高魔力が発生していたのだ。



「目にもの見せてあげるわ……」



 低く呟いたルーアの前で、転魔の杖が神々しく宙に浮く。

 その杖に向い、手を交差してルーアは言の葉を紡ぐ。



「祖に掲げるは祝炎。彼の者に捧げるは業炎。幾多の天魔を束ね、煉獄の深層に沈みたまえ。《メギド》!」



 ルーアの発した呪文と共に、巨大な球体の中に現れる炎。

 それは炎と言うにはあまりにも禍々しく輝かしい。

 血のように赤黒い業火がゼノンの身体を焼いていった。



「がぁぁぁぁぁぁ!!!」



 叫びながらも業火に耐えるゼノン。

 やがて光は消え、その中心にゼノンは姿を現した。

 元素を打ち払う力で身を守り耐えきったのだ。



「はぁ、はぁ、はぁ……。最高じゃねぇかお前ら……。続きだ……、この戦い、まだまだ楽しませてもらうぞ!」



 ゼノンの心に落ちた疑問。機械に宿る心。人に宿る魔力。

 それらが些末な事と化す程、ゼノンはかつてない喜びに震えていた。



 ーーーーーーーーーー



 空間を割るかのように、ジリッ! っと鈍い音が響く。

 マトイとネプトゥヌスの放った球状のドラゴンブレスが接触して弾かれ、互いの後方にそびえ立つ二つの山が消滅する。


 それを合図に本格的な戦いの火蓋が切られた。

 大空を高速で舞いながら戦うマトイとネプトゥヌス。

 雷鳴、ドラゴンブレス、巨大な火の玉、二体の放つ竜天魔法により山が次々に消えていき、大地は大きな傷痕を増やしていく。



「アンタなんで魔神側に協力してるのさ!」


「俺はこの世界の厄災を取り除く為に動いているのだ! ラグナートもその一体! 人の作りし脅威を放置など出来るか!」



 世界の守護者たる上位竜族。

 それが世界に混乱をもたらす魔神に協力していることが不可解だったマトイ。

 ネプトゥヌスはその目的を明かす。



「あんな呑気なおっさんが脅威になるか! それに……、だったら船を壊したり海を荒らしたりしたのは何でなのさ!」


「何を言ってる? 確かに人間の国の港には行った。だがそれはゼノンの奴が寂しいから付いて来てくれと頼むからだ!」



 問答により、マトイは少しネプトゥヌスに親近感を抱いてしまった。

 ゼノンが寂しいなんて有り得ない事であると思いつつも、そんな理由で付いていくのかと。

 だがそんな可愛げを見せたネプトゥヌスの次の言葉で、微かに芽生えた親近感は消え失せる。



「ゼノンが船を沈めている間……、俺は気晴らしに海を泳いでいただけだ! 全力で! 断じて俺は何もしておらん!」


「やってんじゃないかぁぁぁぁ!! ドラゴンロードが全力で遊泳したらそりゃ海も荒れるわ!」



 マトイは空中に何百もの巨大な炎の槍を発生させ、ツッコミ代わりにネプトゥヌスに放った。

 空だけでなく、海すら征する。

 上位竜族が動けば、それは自然災害そのものなのだ。


 ネプトゥヌスは炎の槍を放出した闘気で打ち払い、大地は炎に包まれる。

 そしていきなり身動きをやめ、ワナワナと震え始めたネプトゥヌス。

 マトイの言葉にかなり衝撃を受けている様子を見せた。



「なん……だと? では……、一緒に泳いでいたクラーケンやメガロドン、魚類共がすぐに居なくなるのは……」


「流されてんだよ! アンタのせいで!」



 ネプトゥヌスは仲良く泳いでいたつもりだったのだ。

 しかし実際はネプトゥヌスが泳ぐだけで津波や渦潮が発生し、深海の生き物でさえ被害を受けていたと言うマトイ。



「やはり俺は……孤高の存在なのだな……。もう良い、これで終わりにさせてもらおう」



 空高く舞い上がり、高出力の生命エネルギーを練り上げるネプトゥヌス。

 そこからマトイに向けて放たれるドラゴンブレス。


 ブレスはマトイを飲み込み、爆音を上げて大陸の端を削り取った。

 後には大きなクレーターを残している。

 クレーターには海水が入り込み、大きな湖が出来上がりつつあった。



「やり過ぎたか……。なっ!?」



 地形を変えた事へ反省の色を示すも、ネプトゥヌスの顔色はすぐに変わった。

 仕留めたと思ったマトイはすぐ真下の大地から飛び出し、一直線に向かって来ている。

 ドラゴンブレスに押し込まれながらも、地面から地中に潜り回避していたのだ。

 陸、海、空、世界全ては上位竜族の領域。

 それは今のマトイにとっても同じ事なのである。

 ネプトゥヌスが迎撃に移ろうとマトイに身体を向けるが間に合わず、マトイの牙はネプトゥヌスの腹部に食い付いた。



「グァァァァァァ!」



 激痛にもがくネプトゥヌスと、最強に追いすがるマトイの大空での大激突。

 ネプトゥヌスは両手に光り輝く魔力を持って、両断する気でマトイの首筋に叩き込んだ。



「ぐ! ううぅぅぅぅ!!」



 ギチギチと首を圧迫されながらも噛みつく力を上げていくマトイ。

 意地でも離すまいと、懸命に食らい付く事をやめはしない。



「いい加減……離れぬかぁぁぁ!!」



 ネプトゥヌスの両腕が交差する。ブチン……と生々しい音。

 マトイの首は両断されて宙に舞った。

 それを追うように、マトイの体も後ろ向きに大地に向かって降下を始める。



「はぁ……はぁ……。ちっ、下手に抗わなければ……死なずに済んだものを……」



 儚げに呟くネプトゥヌスは落ち行くマトイを眺めていた。

 勝利を確信したネプトゥヌスだが、そこで異変に気付く。

 マトイの腹部が光り輝き、凄まじい魔力を放っている事を。

 失念していたのだ。あまりの強大な力を持つ竜故に……



「これが……、私の全力だ!!」



 巨竜の衣が風に溶け、決死の声が空に響く。

 現れたのは小さな竜とその前にある逆巻く大火球。



「しまっ……」



 ネプトゥヌスが反撃に移る余裕はなく、雷光、暴風、豪炎の混じったドラゴンブレスが放たれ、ネプトゥヌスを飲み込んだ。

 空を覆う雲を消し飛ばし、付近の山をも溶かしていく。

 巨大な渦巻く火柱が天を焼き尽くさんとばかりに暴威を振るう。



「ぐ……お……、この力はまさか……、ファシルの予言した……本当の破壊……りゅ……」



 荒れ狂う暴威の中で、ネプトゥヌスの声は枯れ果てる。

 そしてその身はドラゴンブレスの威力に抗えず、奔流に流され海の彼方へと消えていった。



「はぁ、はぁ……。勝った……のかな?」



 息つくマトイ。辺りは静けさを取り戻した。

 ネプトゥヌスはおそらく死んではいないと考えられる。

 だが遥か彼方に飛ばされ、ダメージも深刻なはず。

 少なくともしばらくは動けないだろう。

 マトイは最強のドラゴンロード相手に、勝利を掴み取った事実を噛み締める。



「やった……、やった! やったやった! 勝った! 私勝ったんだ! ドラゴン相手に!」



 周囲を飛び回り大はしゃぎのマトイ。

 されどさすがに力を使い果たし、ゆっくりと大地に降り立った。



「みんな……誉めてくれるかなぁ? ……と、早く戻らなきゃ! ふっふっふぅ……ゼノンめ……。生まれ変わった最強ドラゴン! このマトイちゃんの力を見せ付けてやるんだから!」



 もはや体力の限界でフラフラではあるが……

 マトイの心は憑き物が落ちたように晴れ渡っていた。

 次の目標はゼノンをボコボコにする事である。



 ーーーーーーーーーー



 ボトリと地に落ちる肉の断片。

 肉体を生成している途中でプルートの腕が地面に落ちたのだ。

 直ぐ様腕は腐り落ち、大地に溶け出している。



「どうした? 何か始まるのではないのか?」



 ザガンはプルートの変異を期待して待っていた。

 だが上手くいってない様子なので内心落胆している。



「制御が……出来ん……。情報が多すぎる……、これ以上は要らんのだ……。くそ! 貴様、こんな物をどうやって……」



 激しい動揺を示すプルートの身体は徐々に塵になっていく。

 赤い物質はプルートの手から離れ、地面に転がっているというのに。

 先程手に入れた情報だけで、プルートの存在がパンクするほどの容量があったのである。



「ふむ、こんな勝ち方は腑に落ちんが……。そんな物も扱えんのでは錬金術師の名が泣くぞ? 我は鉱石の加工だけでなく、料理、建築、裁縫まで扱える。どのみち汝に勝ち目などなかったということだな!」



 嬉しそうにふんぞり返るザガン。

 久々に錬金術師の名を出された事で舞い上がっているのだ。


 対してプルートは錬金術師を名乗った覚えはなく、ザガンが本当に錬金術師なのかも怪しく思えてきていた。

 だが呼称など、もはやどうでもいいとさえ感じている。

 ゼラムル教団が集めた情報にあったアーセルムの三魔神。

 その一体、錬金術師ザガン。その事実だけが、プルートにある予測を与えていた。



「やはりお前が噂にあるアソルテ館の魔神か……。ではもしや残りの二体が……。くくく……、精々気を付ける事だ……。この争乱の……元凶は……おま……え……タ……チ……」



 呆気なく、プルートは呪詛を吐きながら風に溶けていった。

 その様子を見詰めるザガンの心境は複雑である。



「こやつ……好き勝手な事ばかり言って消えおって……。気になるじゃないか……」



 知識欲の権化であるザガンにとって、曖昧で不明瞭な事を言われるのが一番困るのだ。

 ましてこれから色々と知れる様子を見せた瞬間であれば、消化不良もいいところなのである。



「どうやらマトイの方も片付いたようだな……」



 ザガンは気持ちを切り替え、風に乗りカイラ達の元に向かった。

 無論残る一体の敵。ゼノンをからかい潰すために。

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