表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/205

七十六話  暴走のティターニア

 当初の優勢は覆され、ラグナート一行に押されつつあるハジュン。

 自らと同等の力持つ魔神シトリーの存在により、最終的な勝敗は決しているようなものであった。

 ハジュンは目の前に居る四名を見据えながら、諦めたように言葉を紡ぐ。



「さすがに分が悪いな……。ラグナートよ、取引をしないか? ゼファーを殺したくはないのだろう?」



 飛ばされたゼファーはすでに立ち上がっている。

 かなりのダメージを負ったようが、暴風の障壁を纏っていたので戦えない程でもない。

 しかしハジュンはこの戦いにもはや勝機はないと感じていた。



「寝ぼけてんのか? ゼファーの動きを止めてお前を始末する。それで終わりだ……。取引に応じる必要はない」



 ラグナート達にとっては必勝の状況。

 ハジュンの提案には一切の利点はないのだ。



「ならば仕方ない……。出来ればこれも避けたかったのだがな。試してみるか……」



 ハジュンは仕方なしとばかりにヴァルヴェールへと視線を移す。

 そして敵意さえもないかのように優しげに語り掛け始めた。



「ヴァルヴェールよ。お前が自らの記憶を封印している理由を知りたくはないか?」


「封印? ……そうでした! 何故私の記憶が封印されているのですか!?」



 思い出したようにハジュンに問い掛けるヴァルヴェール。

 つい先程の事なのに、思考にモヤが掛かったように忘れていたのだ。



「お前は精霊神器となる前の記憶はどこまである?」


「神器になる……前?」



 ハジュンの言葉で、ヴァルヴェールは心がかき乱される感覚に襲われた。

 それは今以前の記憶、剣や白蛇でなかった頃の記憶が上手く出てこない為だ。



「う……く! ……そうです……。私は……何故……こんな姿で……」



 潜るようにヴァルヴェールは記憶の海を辿る。

 精霊神器になる前……。人の形をしていた時代……



「思い出せ……。慈悲深きエルフの女王……。ファシルと共に世界を荒らし回りし妖精女王……。原初のルインフォースが一柱……。裏切りのティターニア・ヴェールよ!」


「あ……あぁぁ……」



 ハジュンの語りを聞いた途端、ヴァルヴェールが呻きを上げ始める。

 苦しむような声と同調するように、シリルの持つ剣からは強大な魔力が漏れ出していた。



「何だ? やべぇぞ! ハジュン! やめろ!」


「おい! どうしたヴァルヴェール! エルフ? 何の話し……だ……」



 ラグナートはハジュンに制止を呼び掛ける。

 シリルも訴えかけようとしたが突然膝を付いた。

 ヴァルヴェールの魔力がシリルの精神を侵食しているのだ。



「シリル!? くそ! ハジュンを止めろ!」



 ラグナートの指示で即座にハジュンを撃つイリス。

 その弾丸はハジュンに直撃しているが全く効果が出ていない。

 ウェパル戦で力を使い切ったイリスにはもう為す術がなかった。



「元々大した威力はなかったが、それではそよ風と変わらんな」


「それではこれでどうですの!」



 悪態をつくハジュン。その黒蛇の身体をシトリーから現れた瘴気の触手が串刺しにしていく。

 刺した個所から広がるように霧散し、ハジュンの姿はかき消える。



「やりましたか?」


「いや、そんなはずは……」


「手応えはありませんでしたわ!」



 イリスの期待をラグナート、シトリーが否定する。

 こんな簡単に倒せる相手であろうはずがないのである。



「うぁぁぁぁぁぁ!!!」



 ヴァルヴェールの叫びと共に魔力が辺りに充満していく。

 突如ゼファーの持つ刀が内側から弾け飛び、そこからハジュンがゼファーを巻くように現れた。



「核はそこにあったのか!」



 ラグナートに干渉すれば身の危険があるハジュン。

 まさか一番危険な所に居るとは思ってもいなかった。



「凄まじい魔力だな……。そうだ……、本来のお前の魔力は消えていない……。魔導の祖……。お前が記憶など封印しなければ……、アグニスは死ななかったやもしれんなぁ……」



 心を抉るようなハジュンの挑発。

 その言葉はヴァルヴェールの記憶の扉をこじ開けた。



「アグ……ニス? アグニス……アグニス……どこ? どこ……。あぁ…………あああ…………。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



 寄る辺を失った少女のように悲しく呟くヴァルヴェール。

 彼女は思い出したように絶叫した。

 膝を付くシリルを中心として、瞬時に大地が凍り付いていく。



「許さない……。ゆるさない……。ユルサナイ……。返して……アグニス………………返せぇぇぇ!!」



 絶叫するヴァルヴェールの暴走。

 権限せしはハジュンを越える程に巨大化した白蛇。

 その巨体が半狂乱で暴れ出し、ラグナートに襲い掛かる。



「ぐっ! 落ち着けヴァルヴェール!」



 ラグナートはヴァルヴェールの突進を受け流し続けるも、すぐにその勢いに押され弾き飛ばされた。

 ラグナートに触れたヴァルヴェールは半身が水になって崩れ落ちる。

 しかし瞬時に元に戻り、落ちた水分は大地を更に凍てつかせた。



「拘束しますわ!」



 シトリーの触手が空中で暴れるヴァルヴェールを締め上げる。

 ヴァルヴェールは触手に難なく粉砕されるも、すぐにその姿を現した。

 再顕現したヴァルヴェールは尾を振り、そこから巨大な水の刃がシトリーに迫る。

 それを避けきれず、シトリーは右腕を切り落とされた。

 そのまま水の刃は大地に大きな溝を穿つ。



「シトリー!」


「大丈夫ですわ!」



 心配するラグナートの声にシトリーは慌てた様子もなく答える。

 シトリーの肩口から吹き出した瘴気が一瞬の内に腕を形成した。



「ヴァルヴェールの本体は剣だ! どのみちシリルからヴァルヴェールを離さなきゃ収まらねぇぞ!」


「うっかりしてましたわ!」



 ラグナートとシトリーのやり取りを見ていたハジュン。

 一連の動きを思い返し、興味深げにシトリーを観察する。



(再生と呼ぶには常軌を逸している……。あの女……、核は体か精神か……。それすら分からぬ……。一体何者……。いや、これは……)



 落ちたシトリーの右腕はハジュンとゼファーの側に飛ばされて来た。

 それは完全に木の枝のような物質に変わっている。

 素体が人間ということはあり得なかったが、その物質そのものにハジュンは興味を持った。


 大蛇と化したヴァルヴェールは地面を抉りながら暴れ回っている。

 地面は徐々に凍り付き、空は熱を帯びて不気味な熱風が逆巻いていた。



「うぅ……ヴァル……ヴェ……」



 辺りに異常気象とも言える暴風が逆巻き、その中心でシリルは力なく倒れ込み、起き上がる事が出来ない。

 ヴァルヴェールが暴れる事で発生した暴風にはイリスはもちろんの事、シトリー、ラグナートでさえ近付くことが出来ないでいた。



「シリル! ヴァルヴェールを投げ飛ばせ!」


「やめておけ……。今接続が切れれば水竜の主にどんな影響が出るか分からんぞ……」



 ラグナートの作戦にハジュンが忠告を出す。

 本来所有者の精神を魔力に変えて接続するのが精霊神器。

 シリルに影響が出ている以上、この力の流れが逆流している恐れがあった。

 そうなればラグナートが魔力を無効化させ、浪費させるのも危険だと判断される。


 キィンと鳴り響く高い音。

 ヴァルヴェールの前方に、霧が集約して出来た魔方陣が形成される。

 そこから放出された閃光で離れた場所にある建物が消し飛ばされた。

 暴れ回るヴァルヴェールはいくつもの魔方陣を作り出し、そこから火球や落雷を落とし辺りを蹂躙し始める。



「どうする! このままでは直に水竜の主は力尽きる。我ならばヴァルヴェールを止める事が出来るぞ? 我はこのままでも構わんがな。精霊魔術など我に効果は……」



 勝ち誇るハジュンの尻尾にハジュンよりは小さな……

 されど人間の腕の長さはある黒い蛇が食い付いていた。



「痛っ! 何だこれは!?」



 苦痛を感じたハジュンはすぐに辺りを見回す。

 空中に漂ういくつもの魔方陣からは小さな黒蛇がボトボトと落ちて来ている。



「黒魔術!? 精神浸食の魔術か! 痛! おい! 止めろ!」



 身体中を黒蛇に食い付かれるハジュンはゴロゴロと転がり出した。

 イリスは銃弾で小さな黒蛇を撃ち抜き、シトリーも触手で対応しているが、無制限に出てくる黒蛇と吹き荒れる暴風雨に手一杯になっている。



「何やってんだハジュン! くそ! 分かったよ! お前が今後この件に関わらねぇならここは見逃す! 早くヴァルヴェールを何とかしろ!」


「おぉぉぉ……ヴァルヴェール! 停止しろ!」



 先の提案を仕方なく飲んだラグナート。

 ハジュンはさっそく大慌てで指令を出し、ヴァルヴェールの動きがピタリと止まる。

 しかし、さほど間を置かず再びヴァルヴェールは暴れ出した。



「……何故だ?」



 止まったのは数秒だけ。すでにシトリーの張った結界はヴァルヴェールに吹き飛ばされていたので、妨害されているわけではない。

 ポカンとしたハジュンは予想外の結果に疑問を抱いた。



「そう言えば……天使のルーアちゃんが魔力指令など剥がして消去出来ると言ってましたわね……。まさかヴァルヴェールも……」


「なに!? そんな事が出来るのか? ルーアに出来るのならば、魔導の祖と唄われしヴァルヴェールに出来てもおかしな事は何もない……」



 シトリーの考察にハジュンは納得したように語ったが……

 小さな黒蛇を瘴気で破裂させたり、尻尾で叩き潰す作業を必死に行っている最中である。

 なのでハジュンにはネタが割れても対抗する手段は存在しなかった。



「どうすんだよこれ! 責任とれハジュン!」



 ラグナートが激昂していてもハジュンは応じない。

 ただそっぽを向いて黒蛇を潰しているだけだった。

 その時、何匹もの黒蛇に食い付かれているゼファーの身体が突然震え出した。



「……マゴ……」


「マゴ?」



 精神の自由すら拘束しているゼファーが言葉を発した事に驚くハジュン。

 それから突如ゼファーを中心に大気が渦巻いていく。



「孫の顔を見るまでは死ねん!!」



 逆巻く突風で嵐を相殺し、熱波も凍てついた大地をも剥がしていくゼファーの力。

 ついでにハジュンも地面を転がっていった。



「良いところで出て来たな! 状況は分からねぇだろうが手伝ってくれ!」


「いや……、おぼろげだが状況は理解している……。とにかくシリルを救出……しなけれ……ぐ!」



 ラグナートの助力要請に苦しみながらも応じようとするゼファー。

 だがすぐに腹部を押えながらうずくまってしまう。



「消耗が激し過ぎたのか……。ヴァルヴェールの一撃ももらってるしな……」


「いや、お前の一発が効いてるんだろう」



 真剣なラグナートにハジュンは転がったままツッコミを入れる。

 そう言えば何事もなく動き出したから気にしなかったが、結構な力を込めて殴った事を思い出したラグナート。



「そ、そんなことよりありゃヤバイぞ」



 ごまかすようなラグナートの見据える先で、徐々にヴァルヴェールの魔力が上がっていく。

 宙を漂う大蛇の身体が仰け反り天を仰いだ。

 その上空には巨大な黒い火の玉が形成されている。



「まずいですわ! あんなのもう防げませんわよ!」


「全力で止めるぞ!」



 シトリーとゼファーは叫びながら瘴気と大気を操り、火球を押し込めようと試みる。

 その衝撃の余波で転がるイリスとハジュン。


 このままではこの場一帯は焦土と化してしまうと考えたラグナート。

 たとえ押し込められてもシリルの精神は耐えきれないだろう。



「ヴァルヴェール! やめろ! おまえ……、シリルを殺す気かよ!!」



 ラグナートの懸命な説得にヴァルヴェールの動きが停止する。

 火球は霧散し、辺りは瞬時に静けさを取り戻す。

 そしてヴァルヴェールは、声を震わせながらシリルを見つめた。



「わ……たしが……シリル……を? わたし……は……何を……」



 大きく揺らいだ様子を見せるヴァルヴェールの精神。

 苦し紛れだったが、ラグナートの一言が想像以上に効果を示していた。



「今だな! ヴァルヴェール、停止しろ!」



 ハジュンの指令でヴァルヴェールは霧になって消え、シリルの女装も解除される。

 膝を付くシトリーに力を使い果たし倒れ込むゼファー。



「まったく……、どうなってやがる……」



 戦場に一人立つラグナートは嘆息する。

 愛情の深いヴァルヴェールが人との別れに耐えきれず、記憶を封印しているのは納得がいった。

 だがこれほどの力を持って、ここまで取り乱すとは思ってはいなかったのだ。


 それからラグナート達とハジュンは一時停戦。

 暫しの休息を取る事になった。



「シリルはどんな感じだ?」


「大丈夫ですわ。ゼファーさん共々気絶しているだけのようです」


「良かった……」



 ラグナートの問いにシトリーが答え、イリスが安堵の言葉を発する。

 危機的状況ではあったが、命に別状はなく事なきを得た。



「ゴクリ……。さて……、約束通り我は引き上げさせてもらおうか」


「いや、今何食ったよ」



 ハジュンはラグナート達に背を向けて何かをアグアグ呑み込んでいた。

 ラグナートの疑念に対し、あらぬ方向に視線を向けてとぼけるハジュン。



「何の事だ?」


「まあ……、いいや……。だが最後に聞かせてくれ。人間の人質はどうなっている? 本部にまだ残ってるんだろうな?」



 この場より先、ベルゼーブ領の中心にあると考えられるゼラムル教団本部。

 ここに人間が少なかった事を考えると、残りはそこに居るのだろうとラグナートは考えた。



「人質? 何の話だ? 人間共はアドラメレクの戯れ言に乗って自主的に集まって来ていただけだ。他の連中が拐って来た者は食われてるだろうがな。本部というのは強いて言えばここだが……。見ての通り人の暮らせるような場所ではない。ここを根城にしていたのは我のように人を食わぬ者だけだ」



 ハジュンの話では、先程の魔神達も各支部からこちらにやって来たということになる。

 明らかにラグナート達の計画を見越した戦力強化であった。



「本部と言ってもここより始まったと言うだけ……。アドラメレクも各拠点を転々としているしな。ここより先のベルゼーブ領は亜人や魔物、人を食わぬ魔神等が巣くっているようだが我もよく知らぬ」



 ハジュンの口はヴァルヴェールを凌ぐ程に軽い。

 ゆえに嘘を言っているとも思えなかった。

 まさかリヴィアータ側もこんな所を教団本部にしているとは考えてなかったのだろう。



「妙だな……。ジュホン帝国の姫さんが拐われたと聞いたが? いくらなんでもわざわざ要人を拐って餌にしたというのもないだろう?」


「ああ……、なるほど……。あれなら我らでなく……」



 ラグナートの問いに答えようとしたハジュン。

 だが大気が放電したのを感じ取り会話を中断した。



「直に分かるだろう……。それよりも随分早くここに来たようだが……、間に合わんとは思うが早く戻った方が良いぞ」


「やっぱそうなってんのか……」



 ハジュンの忠告など聞くまでもなく分かっていたラグナート。

 問題はそのタイミングだが……

 話し振りから察するに自分達がリヴィアータから出発し、ここに到着する予定の三日間を知られている。

 つまりそれは二日から三日に掛けて……

 まさにこの瞬間リヴィアータの首都が襲われている可能性を示唆する。



「ちなみにこの件に我はもう関与せぬがな……。残りの天使兵器への指令具はこの場から解除は出来ん。何せ切り離した魔力で作った物だ。あと数ヵ月は機能する。では……、我は撤退するぞ!」


「お前! それ早く……」



 ハジュンが空に向かって呼び掛けるように撤退を叫んだ後、ラグナートの言葉を遮って雷鳴が轟き、辺りに閃光が走る。

 光が消えた後にハジュンの姿も消えていた。



「やっぱあのヤロウも居たのか……」



 閃光と共に一瞬だけ現れた者に見覚えがあったラグナート。

 その者の性格上、何もせずにハジュンを連れてこの領域から退避した事に疑問は残っているが……



「終わりましたわね……」


「ああ……、終わったな……。とりあえずフレムに連絡を取ってくれ。向こうの状況が知りたい」



 締めに入ったシトリーにラグナートは同意し、イリスに連絡を頼んだ。

 その言葉を受けてイリスだけでなく、シトリーまでもがオドオドとしている。



「ん? どうした?」


「それが……連絡が取れないと言いますか……」



 不思議そうなラグナートに申し訳なさそうに答えるイリス。

 その返答はラグナートにとって予想外のものだった。



「何!? どういう事だ! そのネックレスはフレムのと繋がってるんじゃなかったのか!」



 慌てて問い詰めるラグナート。

 ここまで何の連絡もなく、こちらからも随時連絡が取れると思っていたから多少の安心感があったのだ。



「ど、どうやらですね……。先程イリスちゃんを迎えに言った時にも試したのですが……。わたくしとザガン、アガレスの魔力を合わせないと機能しないのかもしれませんの……」



 少し困ったように可愛く笑う素振りをするシトリー。

 向こうの状況が分からず、不安になっているのは誰しもが同じだった。



「なるほどな……。ま、どのみち飛んで行ける訳じゃねぇから変わんないけどな……。とりあえずは急いで帰るとするか。ハジュンの言い方だと、こっちの予想は越えていそうだしな……」



 無理なものは仕方ないと諦めたラグナート。

 一応の目的は達成した事もあり、フレム達を信じて帰路に就く事にした。


 そうして大した時間も掛からず駐屯地まで戻って来たラグナート達。

 その眼前には駐屯地の兵士や、ゼラムル教団信者達が震えたまま立ち尽くしていた。



「説明に来たんだが……、なんか怯えられてねぇかな?」


「おかしな話ですわよね?」



 ラグナートは現在シトリーを抱えている。

 シトリーのお花移動はラグナートが中に入ると操作が難しくなってしまった。

 なのでシリルとゼファー、イリスだけが蕾に入り、ラグナートはシトリーを抱え、走って駐屯地までやって来た。


 見方を変えれば恐ろしい早さで駐屯地に現れた大柄の男。

 その腕にはついさっき兵士達を恐れさせた女性が抱かれている。

 そして地中から生え、咲いた花から気を失っているシリルとゼファー。

 更にイリスが現れた事により、兵士と信者に諦めにも似た恐怖と緊張感が走っているのである。



「お、お姫様抱っこ……」



 イリスは顔を赤く染め、口元を両手で覆いながらラグナートとシトリーを見つめていた。

 一人だけ別の意味で震え、興奮しているのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ