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四十三話  凱旋

 青々と生い茂る草原。そこに悠然と佇む大樹。

 その根本で、一糸纏わぬ姿で目を覚ますセリオスとエトワール。



「ここは……どこだ?」



 セリオスは立ち上がり辺りを見回した。

 見渡す限り緑。穏やかな風に揺らぐ草の音が耳に心地良い。

 鼻をくすぐる香りは今までに無い安らぎを感じさせた。

 側にそびえる巨大な大樹の周囲には四季折々の花が蕾を付けている。

 この世のものとはとても思えない空間と景色。

 エトワールも起き上がり、セリオスの横で共に同じ景色を眺める。



「どこであれ……、私はセリオス様のお側に居られれば……」


「ああ……、私もだ……」



 エトワールとセリオスは互いに向き合い、微笑みながら固く抱き締め合う。

 今この瞬間二人にとって、お互いこそが全て。

 この場所が例え死の国であろうと……

 共に居られる事を……

 また向き合える事を……心から喜び合った。



 ーーーーーーーーーー



 俺はマトイに頼み、案内役のシトリーと寝ているアガレス以外をレイルハーティア教会に下ろし、そのまま軋む身体を押してベルフコール城跡地に来た。

 その上空にて、俺は色んな意味で奇っ怪な現場を目撃している。



「なにを……やってるんだ奴らは……」



 砂漠だったはずのベルフコール城周辺。

 城があったと思われる場所には大樹が生えており、その周囲は建物の残骸すらなく一面の草原に変わっていた。

 その大樹の前で、セリオスとエトワールと思われる人物が裸で抱き合っているのだ。

 辺りの変わりようなど無視し、呟きが洩れても仕方のないことだろう。


 人が死ぬ思いで戦っていたのに……。これでも結構心配してたのに……

 俺は募る思いを飲み込み、マトイに言ってセリオス達の側に降りてもらった。


 俺は紳士的に、エトワールを視界に入れないように……

 ぼんやりとセリオスが見えるくらいに顔を背けて近づいて行く。

 そしてエトワールが居ると思われる方向に、血の涙を飲む思いでマントを投げ渡した。


 とても素敵な胸板と割れた腹筋を見せ付けながら、セリオスは目を見開き驚いているようである。

 驚きたいのはこちらの方だ。

 なんだその完璧な筋肉は? どう鍛えたらそうなるんだ?



「フレム……。おまえ達も……死んだのか……」



 セリオスは腕を組み、顔を背けて悲しそうに呟いた。

 全裸である事を気にする素振りは全くない。



「物騒な事言ってんじゃないよ……。こちとらゼラムルと戦ってヘトヘトだと言うのに……。おまえらと来たら……」



 こんな開放的な空間で開放的にイチャつきやがって。

 俺はふと何の気なしにチラリとエトワールに視線を移す。

 それから超高速で視線を外し膝を付いた。



「シトリーさん……。この状況に置けるマントの正しい使い方を……」


「ああ、かしこまりましたわ」



 震える俺の意図をシトリーはすぐに察してくれた模様。

 そう、エトワールは普通にマントを羽織っているだけなのだ。

 やめてほしい。本当にありがとうございます。


 エトワールに肌が見えないようマントを着用してもらい、すぐさまマトイに乗りレイルハーティア教会に向かう。

 俺とセリオスは教会に着くまでの間、お互いの情報を交換する事にした。


 セリオスとエトワールはイリス達を逃がした後、エトワールの作った生命力の爆弾のようなもので船を内部から吹き飛ばしたらしい。

 その威力は巨大な船を跡形もなく消滅させるもの。

 何故船の内部に居た自分達が生き残って居るのかは分からないと言う。


 それに対しシトリーの考察では、解き放った生命力が生物であるセリオスとエトワールを癒したとしか考えられないとの事。


 しかしエトワールの癒しの能力とは、対象の状態に合わせて精密かつ繊細に魔力を行使して復元させる力だったらしい。

 なので、無造作に作り放った力の反動で完全修復させるなど有り得ないとも言っている。

 草原や大樹も然り、奇跡の度を越しているのである。



「愛の力か?」


「愛の力です」


「愛の力ですわ」



 セリオスとエトワール、ついでにシトリーが次々に愛を口ずさむ。

 決定事項のようだ。俺が口を挟む隙間は皆無だった。



「そうだな。愛の力だ」



 俺は考えるのをやめた。

 難しいことは後で他の連中が考えてくれればいい。

 一度身体が崩壊したとか言ってるので、どのみち後でシトリーやザガンに詳しく検査してもらわねばなるまい。

 こちらは復活してしまったゼラムルを皆で必死に倒して来た事を伝えた。



「彼の破壊竜を討伐するとはな……。流石はフレム。我が好敵手よ」



 セリオスに上手く伝わっていない。

 俺の説明が悪いのだろうか?

 俺はむしろ一番役に立ってなかったのだが……

 まあそれよりもまだ問題が残っているのだ。


 レイルハーティア教団。

 魔神の存在を認めず、その存在を抹消するため破壊竜復活を容認した者。

 あの頭の固い法王だ。

 あの爺さんを説得出来るかどうかで、アーセルムとフィルセリアの今後の関係も変わってしまうだろう……


 超高速でレイルハーティア教会に到着した俺達。

 夕暮れ時で眼下の町が賑わっているようにも見えた。

 至るところで建物が倒壊し、とても悲惨な状態にも関わらず、撤去作業など行っているようには見えない。


 むしろお祭りやってるんじゃないのか的な雰囲気だ。

 そんな訳はあるまい。気のせいだな。

 これだけの惨状なのだ。皆心を痛めて嘆いているに違いない。


 教会の前に降り立ち、大きなマトイには待っていてもらうしかないかと思ったのだがその心配は杞憂だった。

 その巨体は人の頭程にまで縮小したのだ。



「世界に二種の上位竜族。その片割れである天竜族の私にとって……、この程度造作もありません」


「ちっちゃくなれるのか!? ドラゴンって凄いな! やたら可愛くなっちゃってまあ……」



 マトイは俺が驚いた事に気付いたようで淡々と説明を入れてくれた。

 俺がびっくりしたのは可愛らしさの方なんだがな。

 牙が生えて少し長かった口元は引っ込み、全体的に丸みを帯びている。

 手は短く足は猫に酷似しており、角なんか俺の指先程しかない。



「な! か、かわ……。う……、あの、実はこの姿が……。いえ……、余計な事は良いのです。ラグナート達を待たせているのでしょう?」


「確かにそうだが気になるな……。俺は口が固いぞ? だから後でこっそり教えてね?」



 少し声色が高くなり、マトイはやや慌てたような素振りを見せる。

 まごついて何か言おうとしたようだがすぐにやめてしまう。

 俺がこそこそと聞き出そうとするとマトイはプイッと顔を背け、そのまま俺の頭の上に乗ってきた。

 まだ少し警戒はされているが仲良くなれそうである。


 教会内部に入ると法王ブェリョネィースが正座をしたまま出迎えてくれた。

 まさかずっと待ってたのだろうか?

 俺達が前に立った事を視認した法王はドゴン! と思い切り頭を床に叩き付ける。

 痛そうなんてもんじゃない。下手すりゃ死ぬぞ。



「この度は! 真に申し訳ありませんでした!」



 謝罪の言葉を紡ぐ法王の頭突きで床が割れている。

 どんだけ頭固いんだ。

 八十歳は越えていそうなおじいちゃんとはとても思えない。


 だがしかし、ここまで謝られる理由はなんだ?

 破壊竜復活を容認したとはいえ、元凶はガルドって奴のはずだ。

 そもそも法王が魔神の一味に頭を下げて良いのだろうか?



「邪悪な魔神に教団のトップが簡単に頭を下げるのは……、さすがにマズイのではないですかねぇ……」



 やはり体裁と言うものがあるだろう。

 俺はそこら辺の大人の事情を考慮して伝えた。



「邪悪などと! とんでもございません! 間違っていたのはわたくしめでございます!」



 法王は謝りながら再度頭突きを繰り出し、粉砕された床から粉塵が舞う。

 その床が何をした? 罪状を教えてほしい。



「本当に……御詫びのしようがありません!」



 謝罪を繰り返す法王。床の亀裂が波及していく。

 床が可哀想だ。やめてあげてください。

 法王の額には傷一つない。綺麗なもんだ。

 ただ床を痛め付けているだけである。

 よく見ると同じように割れた床が随所にあった。

 まさかウチのメンバーが来る度に行っているのだろうか?



「とりあえず早くチノレ達の無事を確認したいのですが……」


「おお! そうでしたな! ではフレム様、シトリー様、アガレス様、マトイ様、セリオス殿下、エトワール殿。どうぞこちらへ。神竜様がお待ちかねです」



 げんなりしていた俺の言葉で法王は即座に立ち上がり、怖いくらい低姿勢で神託の間まで連れて行ってくれた。

 大戦の英雄マトイはともかくとして、何故俺とシトリーとアガレスにまで様付けなのだろうか?

 神竜様ってなんだ? レイルなんちゃらが降臨したとでも言うのだろうか。


 神託の間に入った所でおかしな光景が広がっていた。

 以前法王が陣取って居た神託の間の奥。

 その背後にはよくわからない神々しい飾りや像などがあったはずだ。

 それらは全て剥がされ、部屋の端に転がっている。


 代わりに豪華できらびやかな台座があった。

 その上にチノレが丸まっており、リノレがチノレに寄り掛かって座っている。

 二人とも包帯だらけだが元気そうで一安心だ。


 入れ替り立ち替り、チノレの前に来る信者達や町の人々。

 皆口を揃えて神竜様だの神竜の御子様だのと口走り、チノレとリノレを拝んで居る。

 チノレ達の周りには町民や信者の持ってきた果物などが山盛りであった。



「どういう事だ……? いったい何事だ……」



 この現状は俺の脳みそでは把握出来ないな。

 どうなってるのか誰か説明してくれ。


 混乱している俺に法王は嬉しそうに説明してくれた。

 どうやら神竜というのはチノレのことらしい。

 破壊竜を追い払った事でチノレを神格化しているようだ。

 なにせ千年前に破壊竜が暴れた時には、あっという間に数万人の被害者を出したような厄災である。

 それがチノレの活躍によって今回の死者はゼロなのだ。

 神のようなではなく、もはや神として見ている。

 先程の謝罪は俺達を魔神だなんだと蔑んだ事を言っていたらしい。


 レイルハーティア教団はチノレを神竜とし、リノレをその御子みことする。

 俺、ザガン、シトリー、アガレスは神竜チノレの御使いとして扱う事にしたようだ。

 実質上フィルセリア共和国の代表は教団トップである法王のようなものらしい。

 これでフィルセリアにおける俺達の疑念は払拭されたという事でいいのだろう。



「つまりは今後、アーセルムとも事を構えるつもりはないと思っていいのだな?」


「無論です。神竜様の住まわれるアーセルム。我等が愚行を御許し頂けるのならば……。今後ともより良い関係を築き上げたく思います」



 セリオスと法王は互いに口元を緩め、ガッチリと固い握手を交わした。

 そこにザガン達が近付いて来る。

 ようやく全員無事に合流出来たのだ。



「殿下! エトワール様! 良かった……、御無事で……」



 イリスは顔を真っ赤に染め、顔を逸らしながら涙を溢している。

 いくらなんでも赤過ぎである。耳まで真っ赤だ。


 セリオスが皆に対し向き直る瞬間にシリルとカイラ、ルーアとハミルの四名は揃ってかしづいた。

 片膝を付き、拳を一つ床に起きこうべを垂れる。

 ハミルのみルーアに頭を掴まれ無理矢理だったが……

 ガードランスとユガケもその後に続き、シリル達の真似をした。



「うん? 今更そのような事をせずとも良いぞ。もはや我等の間には不要だろう?」



 セリオスとハシルカはけして仲が良かった訳ではないらしい。

 カイラやワーズという、人と異なる者が居ることでむしろ敵対関係にあったのだとか。

 先の魔神館での共闘も利害関係の一致によるものだ。

 しかし、セリオスはこの一件で毛嫌いしていたカイラやワーズのことも認める事が出来た。

 シリル達もセリオスに冷酷さが消え、その心が慈愛に満ちている事に気付いている。

 セリオスとハシルカの間にあった溝は消え去ったのだ。

 だが、そんなセリオスの言葉に動揺した態度でシリル達は返答した。



「いえ、あの、無事で……何より……です」


「ドラ、ドラゴン……はか、破壊竜が…………」


「ルーアちゃん見えないよ~?」


「見なくて良いんだ! 見るんじゃない!」



 シリルとカイラは青ざめて言語がおかしい。

 ハミルはイリス同様耳まで真っ赤にしたルーアに頭を押さえ付けられている。


 俺はイリスやシリル達の態度を見て、ようやくこの異常な光景の深刻さに気が付いた。

 そうか……、余りにも堂々としてたから馬鹿には見えないのかと思っていたが……

 これは言っても良いんだな……



「服を着ろセリオス」



 そうなのだ。ベルフコールからここまで、ずっとセリオスは真っ裸なのだ。

 裸で教会を歩き回り、裸で法王と熱く硬い握手を交わしていた。

 俺は自身が正常である事を確信し、セリオスの恐ろしさを再認識した。


 そんなわけで、すぐにセリオスの着替えを町で見繕ってきた俺達男性陣。

 さすがにいつまでも裸王子では締まらない。

 女性陣の見立てでエトワールも着替えを終えたようだ。


 だがエトワールの着替えを手伝っていたイリスがとても暗い表情をしている。

 目が遠くを見つめているのだ。



「何なのかしら……黄金比? 何を食べればあんなスタイルになれるのかしら……」



 完膚なきまでの敗北感を味わっているイリス。

 セリオスから聞いたがエトワールは最高位の天使様らしいから諦めろ。

 イリスだって別に悪くはないだろう。

 俺だってセリオスを見てときめ……

 いや、色々落ち込んでいるのだ。

 こうして外観を繕い終えた俺達は神託の間に再度集合した。



「では皆様が揃ったところで改めて……」



 法王ブェリョネィースはチノレ達を拝んでいた者達を下がらせ、自らがチノレ達の前にひざまずく。

 信者達もその後で跪き、頭を垂れる。



「神竜チノレ様。この度はフィルセリアを救って頂きありがとうございます。此度の件……。甘言に乗り、破壊竜復活を容認してしまったわたくしめの落ち度でございます……。何卒……御裁きを…………」



 重々しく語る法王は俺達が全員揃うのを待っていたようだ。

 その上で責任を取ると言う。

 辞職はおろかその首を差し出すことも厭わぬらしい。

 先程の許しを頂ければ……と言うのはそういう事なのだろう。



「にゃ~~ん」



 チノレが一鳴きすると法王が勢いよく顔を上げ固まった。

 その瞳からは涙が止めどなく溢れている。



「なんと……、なんと慈悲深い……。御気になさらぬと……。その上で我等に感謝など……、勿体無き……御言葉…………」



 さすがは初期起動とはいえヴャルブューケを扱えた爺さん。

 俺にはあの短い鳴き声が何を語っているのかさっぱりわからない。

 俺はコソッとリノレの側まで行き内容を聞いてみた。



「あのね、『何の事か分からないけどわたし達の怪我を治してくれてありがとう』って」



 ああ……、チノレにとっては破壊竜だの魔神だのは関係無いしな……

 なんでも神官総出で治療に当たってくれたようだ。

 怪我の治療をしてくれた人達以外の感想はないのだろう。


 法王、信者共々いつまでもむせび泣いている。

 凄くうるさい。


 その後、シリル達も法王から謝罪と感謝を受けた。

 破壊竜討伐の功績を讃え、リーダーのシリルはフィルセリアの勇者を名乗る栄誉を授かったようだ。

 ハシルカの勇名をさらに轟かせる事だろう。

 ハミルは破門を解かれ、地天の杖ヴャルブューケと大神官の玉石を正式に譲り受けた。


 教団にとって、もはや神器など何の象徴にもならない。

 なにせ崇拝すべき神を目の当たりにしたのだから。

 扱える者に渡すべきだという考えらしい。

 続いて俺達やラグナート、マトイに対する謝礼だが……



「パス。俺は感謝される程の事してないし、英雄とか興味ないから」



 俺は感謝も功績も辞退した。

 功績だの英雄だのといった肩書きなど邪魔でしかない。

 千年前のラグナート達の件を言ってるのではない。

 分不相応な評価など俺自身の間違いの元だ。


 破壊竜を追い詰めた神竜。

 そのトドメを刺したのは誰とも知れない神竜の御使いと勇者ハシルカ。

 それで良いのだ。


 伝説に残るのは、天の助けを受けた勇者が破壊竜を滅ぼした事。

 これが最も綺麗な終わり方だろう。



「んじゃ~俺もパスだな」


「わたくしもパスですわ~」



 ラグナート、シトリーに続き皆が口々に栄誉の授与を辞退した。

 これには法王も大慌てだが、知ったことではない。

 彼等はチノレ達を厚遇してくれた。それだけで十分なのだ。



「それだとなんか俺達が申し訳ないんだけど!」



 すでに感謝状まで受け取ってしまったシリル達も慌て始めた様子。

 一番頑張ったのは間違いなくシリル達なので、そこは諦めてもらうしかない。

 胸を張れば良いのだ。


 かくしてこの騒動はようやく解決した。

 伝説の破壊竜が倒され、新たな伝説が生まれたのだ。


 人々が皆絶望する中、破壊竜にたった一人で立ち向かった少女。

 リトルドラゴン。神竜の御子みこリノレ。


 御子の危機に降臨し、破壊竜の暴挙全てをその身一つで打ち払い、フィルセリアを救った偉大なる神。

 マザードラゴン。神竜チノレ。


 神竜の加護を受け、逃走した破壊竜を討伐した者達。

 水竜の勇者シリル・グラスト。

 魔人炎帝カイラディア・アクタル。

 法魔神官ハミュウェル・レイクザード。

 大魔導士ルーア・ルーグ。


 貢献者として以下三名も表彰された。

 守護騎士ガードランス。

 千里疾風ワーズ。

 幻魔妖精ユガケ。


 そして破壊竜復活の予兆を感じ取り、政治犯になる事すら厭わず軍を動かし、自らも最前線に赴いた慧眼の勇。

 町や教会の男達の畏怖と羨望、奥様方の黄色い歓声を集めた者。

 インペリアルドラゴン。皇竜セリオス。


 フィルセリアの伝説に、三体の竜と七人の英雄が刻まれた瞬間である。

 最後の奴は永久に真相がバレない事を祈るとしよう。



 ーーーーーーーーーー



 アズデウス公国は貴族代表としてアクタル家、カイラの母親であるシャルディアがまとめる事になったようだ。

 今回の責をアズデウスに追及する声も出たらしいが、それは法王とセリオスが握り潰した。

 ガルドなどの例外はあったが、基本的に人々の暮らしを支えるような研究を行っている国。

 小国にも関わらず世界でも稀少な魔導先進国なのだ。

 元凶が消え、関係者も処罰された今、要らぬ争いなど起こさず友好関係を築いた方が良いという考えなのだろう。


 ゼラムル教団については今後とも調査を行うが、普通に考えれば信仰対象の喪失により解体、もしくはその勢力は著しく減衰するだろうと法王が言っている。


 何の活躍も出来なかったアーセルムの軍隊だが、アズデウスや国境の港で破壊竜による混乱の鎮静化に一役買っていたらしい。

 途中からすっかり存在を忘れて居たが、見せ場があったのは喜ばしい限りだ。


 今後セリオスは事後処理等に追われ、ハシルカもそれを手伝うそうなので忙しくなるが、とりあえずは一旦魔神館に戻り打ち上げを行う事になった……らしい。


 人数が多いのでマトイに頼むのも可哀想だし、ほぼ待機状態のアーセルム兵士達はもっと可哀想なので一緒に帰る事にした俺達。


 竜酔いも少し慣れてきたところでの船旅である。

 先の現状報告は指一本動かせない介護状態の俺に、イリスが語って聞かせてくれていたのだ。

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