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今回は二話連続投稿です。


こちらは二話目です。

 第9話 トリプルホーンライノ討伐戦後編



 辺境騎士団、騎士団長のカイゼル髭は自機の右手の掌に乗り、周囲を見回す。


 そして同じように魔道騎士の左手の掌に乗った騎士が話し掛けてくる。


「団長。奴ら上手く誘導出来ますかね?」


「さあな。分からん。だが、その時はその時だ。一応監視の人員を手配している。もし此処への誘導に失敗したとしても辺境都市には、向かわないように進路の誘導に切り替えさせるつもりだ」


「そうなんですね。それにしても成功してこの窪地に誘導が出来ても、離脱のタイミングが難しくないですか?俺たちとは連携をした事がない連中ですよ?そう上手くいきますかね?」



 そんな騎士を団長は何を言ってるんだ?と言うような視線を送る。


「何か間違ったことを言いましたか?」と騎士は問いかける。


「そんなの奴らごと撃てば良いだろう?連中は金で雇われた卑しい傭兵だ。変えは幾らでもいる」と騎士団長は告げる。


「酷い人ですね」と口では避難しながらも、その騎士の顔には嗜虐の笑みが浮かんでいた。



 それから数十分後。砂煙が見え始める。



「どうやら上手く誘導出来たようですね」


「そのようだな」


 そう言って二人は胸部にあるコックピットの中に戻る。



 そして、レン達とトリプルホーンライノが窪地の中心に来たところで「総員!一斉砲撃開始!」と命令を下す。



 護衛騎士の中年騎士二人はその命令に戸惑うが、ポニーテールの騎士は戸惑うことなく魔法攻撃を行う。


 彼らの杖も形状はウィンチェスターライフルに似ている。



 中年騎士二人は、せめてレン達に当たらないコースにいる射線上のトリプルホーンライノに攻撃をした。



 五分間絶え間なく魔法攻撃が行われ、窪地の中心部からはもうもうと砂煙が舞い、レン達やトリプルホーンライノがどうなったのかはわからない。






 ■



「各機応答せよ」


『此方二号機問題なし』


『三号機、岩の破片により軽微の損傷あり。しかし戦闘に支障はせず』


『四号機オッケーです』


『五号機大丈夫です』


「了解だ。各機辺境騎士団は敵と認識せよ。ただし攻撃はするな。トリプルホーンライノを辺境騎士団に突撃させるぞ」



『『『『了解!』』』』




 ■



「さて、片付いたか?」


「どうでしょうか?トリプルホーンライノの皮膚は分厚く並みの攻撃ではビクともしない。と聞きますからね。まあ、一斉砲撃に晒されたのですから、少なからず倒してはいるでしょうね」


 と、余裕綽々な辺境騎士団に一条の稲妻が走った。


 魔道騎士の一機に命中して、中の騎士を焼き殺す。


「なっ!魔法攻撃だと!トリプルホーンライノにそんな攻撃は無いはずだ!」



 それは辺境騎士団の勘違いである。


 今までは適当に追い払う程度であったが、今回は殲滅しようとしたのでトリプルホーンライノも本気になっただけである。


 トリプルホーンライノの移動は基本的に餌を求めてである。


 行き先に障害があれば今迄は迂回していたが、今回は運が悪いことにトリプルホーンライノの餌となる植物があまり育っておらず、空腹でイライラしていたのである。


 そこに来ての魔法攻撃にトリプルホーンライノ達は怒り狂ったのである。



 そして次々と稲妻が飛んで来る。


 辺境騎士団は砲撃の後、砂煙が収まり次第突撃する予定であったので、身を乗り出しており次々と稲妻の餌食になる。


 しかも魔道騎士の鎧の大部分は鉄で出来ているので、掠っただけでも中の騎士が感電死してしまう。


 お返しと言わんばかりに五分間、絶え間なく雷撃の嵐が続いた。


 そして漸く雷撃の嵐が終わったと思うと、何やら足元が聞こえてくる。


 雷撃を加えていたのは全てのトリプルホーンライノでは無く、3分の2であった。


 残った3分の1のトリプルホーンライノは、窪地から抜け出して辺境騎士団の後ろに回り込んでいたのである。



 雷撃の嵐により回り込まれている事に、目の前に現れるまで気付く事が出来なかった辺境騎士団は、そのまま踏み潰されていく。


 護衛騎士の三騎と下級騎士数機は、少し離れた場所に配置されたので助かったのである。


 騎士団長のカイゼル髭もトリプルホーンライノに踏み潰されてしまう。


 その後トリプルホーンライノの群れは、辺境都市から進路をずらして西の方へと向かう。




 群れが去った後、残ったのはレン達五機に護衛騎士三騎に、辺境騎士団が六機のみだ。


 後は騎兵がいるだけで壊滅である。


 一応生き残りの騎士が居ないか、魔道騎士のコックピットをこじ開けて確認していく。



 何人かは重傷だが一命を取り留めて助かったが、騎士団はミンチになっており主だった上級騎士は皆戦死した。


 理由は単純に武功を自分達で挙げる為に、中級や下級の騎士達を後ろに下げて、自分達は前に出たからである。


 散々な結果に終わった討伐戦は大失敗と言えるだろう。



 辺境騎士団は半数が消滅した事になる。


 残りの半数が別任務でこの場に居なかったのは、もしかしたら不幸中の幸いかもしれない。



 例えいたとしても同じような結果になったであろうからだ。


 残りの半数の辺境騎士団は副団長が指揮しているので、副団長が繰り上がりで騎士団長に就任するだろう。


 取り敢えずいつまでもここに居ても仕方が無いだろう。


 レン達も窪地から抜け出して合流する。



「やはり此処は一旦辺境都市に戻り、辺境伯閣下の指示を仰がねばならないな。騎兵の諸君らはトリプルホーンライノの行方を追ってくれ。何処に向かっているのか知る必要がある」


 残った辺境騎士団で一番上役の壮年の中級騎士が、指示を出して行く。


 この中級騎士は平民出身であり、普段なら反発する貴族出身の騎士達も、疲れからか大人しく指示に従う。



 ここに到着した時の倍の時間を掛けて辺境都市に帰還した。


 辺境都市の人達は、辺境騎士団がぼろぼろになって帰って来た事に驚き、不安の表情をしている。


 何せ防衛の要である辺境騎士団の実に半数が失われたようなものである。




 辺境騎士団の騎士達のみが辺境伯の元に向かい、護衛騎士とレン達5人はそのまま放置された。


 8人は取り敢えず宿に戻る事にした。



 暫くすると辺境伯の館からマルシャワがやって来た。



「皆ご苦労様」と労いの言葉を掛けてくれたが、その表情は暗い。


「さて、大事な話がある。辺境騎士団は今回の失態の原因を我々に負わせようとしている。まあ、騎士の3人は王国騎士団所属なので悪くても降格処分であろうが、傭兵の君達は斬首してその機体を奪えばいいと考えている。それで本当のところはどうなんだい?」


 マルシャワに事の次第を話した。


 中年騎士はそれに加えてポニーテールのレン達を狙った砲撃の事も話した。


 ポニーテールはデマかせだと騒いだが、マルシャワが一喝して黙らせた。


 そしてポニーテールを部屋から追い出して、騎士の二人に監視して置くように命じた。



「なるほどね。かなり悪い状況だね。この事を正直に話しても、王国の上層部は騎士団の失態を何とか隠そうとするだろうね。何せ隣国が最近キナ臭いからね。そうなると槍玉に挙げられるのは君達傭兵だろうね。僕一人の力では庇いきれない。すまない」


 そう言ってマルシャワは頭を下げてくれる。


「いえ、お気になさらずに」


「本当にすまない。君達はこれから南方諸国に行くと良いよ。あそこは小国が入り乱れていて、常に戦争状態だと聞くから傭兵の需要もあり、大国よりも傭兵を下に見ていない。それに暫く身を隠すにはうってつけだ。その間に必ず僕が君達の無罪を証明してみせるよ」


「ありがとうございます」


「これは少ないけど路銀にしてくれ。暫く僕は辺境伯を抑えているから、その間に逃げると良い。これは地図だよ」


 そう言って皮袋と地図を受け取った。



 深々と一礼してから宿を後にする。



 辺境都市から抜け出した後、空中戦艦に回収してもらい。


 南方諸国を目指して旅立つ。

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