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明けましておめでとうございます。

 

 第7話 辺境騎士団出撃


 翌朝


 マルシャワ達の姿が見えないので宿の女将に聞くと、どうやらまだ戻って来て居ないらしい。


 このままここに突っ立て居ても仕方ないので、先に朝食を済ませておく事にした。


「朝食はもう食べられるだろうか?」


「問題ないよ」


「そうか、では5人分お願いする」


「あいよ」


 部下4名も呼んで5人で朝食を取る。


 4人はアンドロイドとは言え、そこは凝り性な性格なレンとクルーガーである。


 ちゃんと食事が出来る様にしている。


 食べなくても問題なく動く事が出来るが、其処はやはり気分の問題である。


 それに食事をする事で、僅かだが余剰エネルギーを得られて能力が向上する様に設定した。


 人工知能も搭載しており、ちゃんと学習して進化する事が可能である。



 昨日が初めての実戦と言うこともあり、4人と四機の機体のメンテナンスも昨夜のうちに、手早く済ませたが全て問題は無かった。



 朝食を取っていると、3人の騎士のうちの1人がやっと戻って来た。



 だが、その表情は険しい。


 何やら厄介毎を抱えて来た様だ。


「騎士殿。ほかの皆様方は如何なされたのですか?」


 中年の渋い騎士が返事をする。


「うむ。実はな……ここでは何だ部屋で話そう」


 騎士が周りを見ると、少ないが起きて来て朝食を取っている他の客を見てそう提案する。


「わかりました」


 応じて部屋に向かう。


 部屋に着くと中年の渋い騎士は椅子に座り、話し始める。


「実はな。タイミングの悪い事に大型魔獣の群れが此方に近付いてくるのが発見された。その大型魔獣はトリプルホーンライノでな稀に起こる群れの大移動だろう」


 トリプルホーンライノは確かサイに似た大型の魔獣で、頭に三本の立派なツノがありそこから雷撃系の魔法を放つ厄介な魔獣だったな。


 確か皮も分厚くて頑丈でタフだったな。


 大体40〜50匹程の群れ単位で行動する魔物で、普段は大人しいが群れの移動時は食べ物が少なくなって起こる現象で、空腹で苛立っている事が多く危険な状態になるな。


 この情報はマルシャワから聞いた。


「それで、トリプルホーンライノの移動ルートにこの都市があるのでその迎撃の為に、辺境騎士団が出動する事になったのだが、運の悪い事に辺境騎士団の半数が現在他の町が魔獣の被害に遭って、その救援と復興支援の為に出動して居てな、数が足りないので我々にも出動要請が来た。我々は王国騎士団であり辺境騎士団とは命令系統は違うが、同じ王国民でもあるし今回の護衛対象であるマルシャワ様の言葉もあり、トリプルホーンライノの迎撃部隊に参加する事になった。それでお主達にも参加してほしい様だ。勿論報酬は辺境伯様が出すと仰っているが、受けてはくれないだろうか?」



(辺境騎士団の実力も見て見たいし、せっかくの異世界でロボットがある世界だ。よしこの依頼受けるか)


「わかりました。その依頼お受けいたしましょう」


「そうか。助かる。早速で悪いが辺境伯様の元へと一緒に来て欲しい」


「わかりました」


 外に馬車が用意されており、部下4名を伴って乗り込む。




 辺境伯の館に着くと、すぐに中に通された。



「よく来てくれましたね」


 とマルシャワが先に声をかけて来た。


 部屋の中にはマルシャワとその護衛騎士2人に中年のハゲ親父と、これまた筋骨隆々な騎士達が居た。


「お主らがマルシャワ殿の雇った傭兵か。傭兵で魔道騎士を五機も所有しているらしいが、聞いた事は無いな。この辺には初めて訪れると聞いたが……まあよい。今はそれよりもトリプルホーンライノの事だな。騎士団長説明を」


 騎士団長と呼ばれたのは、カイゼル髭を生やした中年の騎士である。


「はっ!では状況を改めて説明申し上げます。現在此処から北西に約二時間行ったところに、トリプルホーンライノの群れがこちらに向かって来ています。群れの数は約60匹と大規模な群れだと報告を受けております。対して此方は辺境騎士団の約半数が出動しており、戦力が減少しています。マルシャワ様の護衛騎士の魔道騎士三機と傭兵の魔道騎士五機と残った我々辺境騎士団の魔道騎士を合わせても、30機前後しか居ません。対してトリプルホーンライノは我々の約2倍の数になります。

 馬鹿正直に正面からぶつかると被害は甚大ですので、トリプルホーンライノをこの窪地まで誘導します。そこに囮の魔道騎士以外を予め伏せて起き、窪地に誘導が成功次第一斉に魔法攻撃を放った後突撃しトリプルホーンライノを撃滅します。

 撃滅出来なくとも、ある程度数を減らした後は人里から離れた場所へと誘導するだけです」


「ふむ、わかった。その案で行こうか。誘導する為の囮は傭兵のお主らに任せる。何その分報酬も弾んでやる」と上から目線で言う。


 それに部下の4名が抗議の視線を向けるが、レンはそれを押し留める。


「わかりました。それで窪地には心当たりがあるのですか?」


「うむ。この辺りに大きめの窪地がある。そこなら60匹の群れのトリプルホーンライノも収まる大きさだろう」


 地図に示された場所は周辺に人工物や障害物が何も無い平原らしい。


 トリプルホーンライノの速度がわからないので、出来れば障害物がある場所が良かったが仕方がない。



「では、各人各々の役割を見事に果たして見せよ」と最後に辺境伯が命じる。



 辺境伯に一礼してから、自分の機体に向かって行く騎士達。



 レン達も向かおうとするとマルシャワから声がかかる。


「レン殿。少し宜しいかな?」


「ええ、構いません」


「ならちょっと付き合ってくれ」



 そう言われてマルシャワの後について行く。


 案内されたのは中庭で、周囲に誰も居ない事を確認してから口を開く。


「レン殿。我が国の恥を晒すようで申し訳ないが、騎士には気を付けてくれたまえ」


「それは……」


「そう。騎士は騎士以外が魔道騎士に乗る事を快く思わない者達が多い。知っての通り先の大戦で幾つもの国が滅びて、そのどさくさに紛れて多数の魔道騎士が流出して騎士団以外も所有する様になった。それに当初は反発して居た各国の騎士団も、野に放たれた魔道騎士の多さとまだまだ大戦後で復興がままならず放置するしか無かった。それにより魔力操作に適性がある者なら誰でも魔道騎士乗りに慣れる事が知られてしまった。

 それまでは騎士しか乗れない特別な機体だと思われて居たからね。

 皮肉にもそのおかげで戦力の底上げが出来る様になったが、それを快く思わない者は一定数居るからね。

 まあ、下級騎士の殆どが平民出だから前よりは偏見は無くなったが、それでも上級の騎士は全てが貴族で構成されて居る。

 下級でも一応騎士の位を持つ者達でも不快感を示す彼らが、傭兵の君達を快く思わないのは当然だ。

 幸い辺境はそんな甘ったれたことを考える余裕があまり無く、実力主義な所があるけどそれでもよく思わない者がいる事は覚えておいて欲しい。

 そしてそんな者達が多くいる王都までの護衛を頼んだ僕としては言えた義理では無いけど、気を付けた方がいい。

 困ったことがあったらいつでも言って欲しい。君達は僕の命の恩人だからね」


「ありがとうございます。それで謎が解けました。あの赤毛のポニーテールの方が我々を睨む理由はそうだったのですね」


「ああ、彼女か。そうだね他の2人は下級騎士で平民出だけど、彼女は中級騎士で貴族出身だからね。でも彼女はマシな方だよ。ちゃんと実績を示せばある程度は認めてくれるからね。幸い君達はその実力を示したから睨んだりはするだろうけど、ちゃんと話は聞いてくれると思うよ」


「わかりました。態々ありがとうございます」


「いいよ。じゃあ気を付けてね。騎士団長は傭兵だろうが何だろうが、使える者は使う主義だけど騎士長や副長はわからないからね」


「重々承知しました」


「うん。そろそろ行った方が良いね。引き止めて悪いね」


「では、失礼します」



 レンは中庭の近くで待機して居た4人を呼び機体が置いてある格納庫に向かう。




 格納庫に置いてある機体に乗り込み、外へ出ると辺境伯の城から20数機の魔道騎士が列を成して出て来て居た。


 その中には護衛騎士が操る魔道騎士の姿も見える。


 辺境騎士団は茶色で統一された機体カラーをしており、形も似ている。


 少しばかり違う意匠の機体は隊長機だろうか。


 先頭を行く騎士団長機は、他の機体と違い様々な改修が施されているのが見て分かる。



 そしてそんな魔道騎士の列の後方を、複数の馬車が帯同する。


 馬車の中には魔道騎士の呼びの武器や食糧品などが乗せられている。


 更に偵察用の騎兵も帯同している。



 魔道騎士は動かすのに魔力を消費して行う。


 その魔力は操縦士の騎士の魔力から消費されるので、偵察などで無駄に魔力を消耗したくないので斥候は騎兵が担当する。


 それに魔道騎士なら大きくて目立つが、騎兵なら魔道騎士と比べると目立たない。



 戦場の花形は騎兵から魔術士、魔道騎士と変わって行ったが、歩兵などの一般兵も昔と変わらず存在する。


 今回はあまり関係ないので割愛する。


 その後ろを護衛騎士三機の機体が追随する。



 それを確認した後、レンも機体に乗り込み格納庫から出る。


 そして四機を率いて辺境騎士団に合流する。


今年もよろしくお願いします。

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