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第6話 辺境都市
マルシャワの元々の護衛達とも軽く挨拶を行い、馬車や機体に問題が無いか確認した後、王都へ向けて出発する。
元々の護衛機三機が、マルシャワが乗るゴーレム馬車の近くを護衛し、レン率いる五機の機体が、一定の距離から追従する。
レン達の乗る機体は魔道騎士とは正確には違うが、此処では魔道騎士と呼ぶらしいのでそれに合わせることにする。
度々の休憩時間中にマルシャワから情報を仕入れる。
此処は辺境と言うだけあり、村や町が全然無い。
一応王国領ではあるらしいが、魔獣の被害が大きく小さな村だと、数日中に壊滅。何てことがざらにある地域らしい。
なので辺境にある町は立派な外壁に囲まれた町で、最低でも魔道騎士は一個分隊4機は滞在しており通常は一個小隊が居る。
魔道騎士と言うように、見た目は騎士を大きくした様な見た目である。
なので乗り手は騎士だけである。
馬から魔道騎士に乗り手が変わったのである。
騎士と言えば魔道騎士乗りと今では常識であり、騎士になるには魔法の適性が無いとなれないらしい。
魔道騎士を動かすには魔力操作技術が必須だからである。
昔は騎士と言えば貴族である。
何せ馬に全身鎧と兎に角お金がかかり、とても平民では用意出来なかった。
更に軍事にも精通していなければならない。
なので必然的に騎士は貴族の職業であった。
だが、今は違う。
例え貴族で無くても、魔力操作技術が高ければ騎士になる事が可能になった。
もちろんそれ相応の教育機関があり、そこを見事卒業すれば、と付くが昔よりは平民でも上に上がれる可能性が増えた。
そして魔力操作技術があると言うことは、魔法使いにもなれるも言うことである。
魔法使いも特権階級であるが、騎士の様に魔力操作技術以外にも精通して居なければならないので、難易度は劇的に高い。
確かに、魔道騎士が出来てからは戦場の花形が、魔法使いから騎士へと変わったが、それでも魔法使いにもの重要性には変わりはなかった。
それに対人戦の場合は騎士よりも魔法使いの方が強い。
なので必然的に王族の護衛役としての地位は揺るぎなく、更には魔法使いの中には魔道騎士と大差ない戦術級魔法を放てる術師も存在する。
時にはそれを凌駕する魔法使いもおり、やはり魔法使いも必要な存在である。
……閑話休題
2日後
漸く辺境との境目にある城塞都市に到着した。
辺境領が王国の領土になる100年近く前は、此処が王国の最北部であった。
王国の古い文献によると、この先の北部にも 数百年ほど前は国があったそうだが、大挙して押し寄せて来た魔獣により滅亡した。と記載されて居た。
「此処が辺境領一の都市であり、辺境唯一の都市ですよ」とマルシャワが嬉しそうに言う。
時刻は既に夕刻である。
八機の魔道騎士が辺境からやって来るので、辺境都市から10機近い魔道騎士が、もしもの時に備えて出動して来る。
元々のマルシャワの護衛の内の一機が辺境都市に向かって行き、残りは此処で待機する。
(行きは魔道騎士三機なのに、帰りは八機に増えていれば、警戒するのも当たり前か)
それに上空に佇む空中戦艦アコラサード型も、発見された兆しはない。
今日は此処で宿を取り明後日王都に向けて出発するらしい。
辺境は碌な宿が無かった(そもそも辺境に好き好んで旅をする人は居ない。一応冒険者や商人用の宿はあるが、それほどの宿でも無い)なので久々にまともな宿でゆっくりと休んで、英気を養ってから再び王都へ向けて出発する。
流石は辺境で唯一の都市である。
魔道騎士用の格納庫が有料ではあるが、借りられた。
「では、私はこの後領主殿と少しばかり話があるので、護衛は騎士の3名だけで良いから君達は休んでくれて良いよ」
そう言って3名の騎士を連れて領主館に馬車で向かった。