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 第3話 旅立ちの日




 この世界オリジンに誕生してから8年の歳月が経った。


 身体も大きく成長して、身長183cmと高身長で顔も整った美丈夫である。



 髪は燃える様な真っ赤な赤髪で瞳の色は綺麗に輝く金眼である。


 この髪色はクルーガーと同じで、瞳の色はエメラルダと同じ色である。


 何でも一門全員の遺伝子を詰め込んだらしく、その中でも二人の特色が色濃く出たのだろう。




 見た目の変化はこれで暫くは止まるらしい。


 今現在の体格が、一番適した体格であり死ぬ数年前まではこのままの状態を維持するらしい。



 そうそう神から与えられた加護は『限界突破』であり、生物に決められた限界を突破する力を持った加護らしい。



 二人からはエラーイオ一門の全てをこの8年間で受け継いだ。



 先に亡くなった18人も何かしらの形で、後世に伝えられる形にしていたのである。


 僅か8年で20人全員の知識などを習得出来たのは、この身体が高性能であり一を言えば十を理解する事が出来たからだろう。



 そしてクルーガーとエメラルダの寿命はそろそろ尽きようとしていた。



「レン。私達はそろそろ眠るわ」


「そうじゃの。流石にそろそろ疲れたわ」


 二人はベッドに横たわり、静かにレンにそう告げた。



 二人が同じタイミングで尽き果てようとして居るわけは、二人で協力して初めて成功する『生命回帰』と呼ばれる特殊な魔法によって、寿命を引き延ばして居たのである。


「ああ、十分に休んでくれ。後のことは俺に任せてゆっくりすると良いよ」


 泣きそうになるのを堪える。


「…レン。私達は貴方の様な息子を人生の最後に迎え入れられて幸運だったわ。これからも貴方の側で見守って居るからね」



「そうじゃな。幸せだったのう。レンは儂ら皆の息子じゃ。こんな立派な息子を持てて誇らしく思っとる」



「レン。自由に生きなさい。街に行って見ると良いわ。私達は2000年もの間人里を訪れて居ないから。今の世がどんなところかはわからないけど、きっと素敵な出会いがあるはずよ」



「そうじゃな。儂も若い頃それはようモテてのう」と楽しそうに若い頃を話すクルーガーにエメラルダは「クルーガーやめなさい。レンに変な事を最後の最後で教えないで下さいな」と苦言を呈する。



 そんな光景を微笑みながらレンは見つめる。



「後は一人で大丈夫かレン?」


「一人じゃないよ。彼らが居るよ」


 レンが後ろを指し示すと、其処にはアンドロイド達が居た。



 レンの異世界の知識とエラーイオ一門の技術の結晶で、この8年の間に作り上げた者達である。


 従来のゴーレムとは一線を画す性能なので、新たにアンドロイドとレンが名付けた者達である。



 正確には魔法なども使っているので、レンの前世の記憶にあるアンドロイドとは似て非なるものだが、他に適当な名前が思いつかなかったので、アンドロイドと名付けた。



 姿形は更には肌触りまですっかり人間と見分けがつかない驚愕の出来栄えである。




 他にも人間以外に動物の形をした者までいる。


「そうだったわね。いつの間にか大家族になってしまったわ。貴方達レンの事を宜しくね」



 エメラルダの言葉に恭しくアンドロイド達が頭を下げた。



「この8年間は本当に楽しかったのう。そろそろ疲れたから眠るとするかの」


「そうねぇ。そうしましょうか」


「おやすみレン」


「おやすみなさいレン」


「はい……おやすみなさい」



 二人はそうして静かに息を引き取った。



 その後レンは泣いた。


 前世では早くに天涯孤独になり、家族と呼ばれる存在は居なかった。


 生まれ変わって初めて出来た、家族と言える二人を亡くして泣いた。



 アンドロイド達の手を借りながら二人を埋葬し終えたレンは、二人に言われた通り人里を目指す事にした。



 探求者の塔には転移用のアイテムを持って居るので、いつでも戻ってくる事が出来る。




「塔の維持は任せたよ。みんな」



「はい。お任せ下さいレン様」


 執事服を来た初老の男の見た目をしたアンドロイド──セバスチャン──が代表して答える。


 執事と言えばセバスチャンだろう。とレンが命名した。


「落ち着いたら一旦戻って来るよ」



 此処にはクルーガーと悪ノリして二人で、レンの前世の世界にある武器を面白おかしく再現した物が数多く存在する。


 それらは今の所は出番は無く倉庫の奥にしまってある。



 探求者の塔と言うが、中は空間拡張の魔法により広大である。



「レン様。お供は連れて行かれないので?」


 セバスチャンの問いにレンは少し考える。


「いや、最初は一人で行くよ。必要があればその都度誰かを呼ぶ事にする」


「畏まりました。では、いつでも出発出来るように準備させておきます」


「助かる」





 二人の埋葬から2日後、準備を整え終わったレンは探求者の塔から出て人里を目指す。



 探求者の塔は深い森の奥地にあり、周りには鬱蒼として木々が生え揃っている。


 徒歩で目指すのは大変なので、レンが自身の前世の記憶を頼りに一台のバイクを製作した。


 見た目はトリッカー似だが、性能は段違いである。



 レンの見た目は軽装であるが、荷物は全てアイテムボックスの中である。


 見た目は只の腕輪だがエラーイオ一門が作り出した物だけあり、破格の性能を持っている。


 盗難防止機能もあり、レン以外が使用しようとすると雷撃が起こり不正使用者を焼き殺す。


 そして居場所は特殊な波長でレンに知らせる高性能な品である。


 なので今来ているのは、黒いローブと衣類のみであり、武器は懐にM1911型魔銃を入れている。



 これもレンが作成した武器で、先ずは火薬の材料から探して無ければ作った一品である。



 勿論純粋な科学の結晶では無く、其処には魔法の力も加えられたオリジナル品であるが、見た目はレンの趣味もありM1911その物である。






「では、行ってくるよ」


「お気を付けて行ってらっしゃいませ」


 アンドロイド一同が揃い、レンを見送る。




 魔導バイクに乗り出発する。

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