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都市の行方
とある少女はその日、全身を拘束具により身動きを封じられ、猿ぐつわ、目隠し、耳栓で外部の情報を遮断された状態で、更に特殊なガラスの棺に入れられた状態で法廷の証言台に立たされていた。
厳重な拘束から微かに覗く少女の肌は白く透きとおりどこか人形の様な作りものめいた美しさを見せている。傍聴席に座る人々や少女の警備にあたる兵士は皆、この少女が起こしたとされる事件の当事者として証言台に立っていることを俄かには信じられないでいた。
事件の大きさと、目の前で拘束されている人形の様な少女の無垢で無知で無害そうな印象からは余りにも乖離したできごとだったからだ。しかし、もしもこの少女が本当に事件の当事者であったのならば、どんなに可憐で美しい少女であったとしてもそれは無罪にはできない程の大罪を犯したことになる――
約三万人を街ごと一瞬にして蒸発させ、殲滅した張本人だと言われても現実味が無さ過ぎたからだ。