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山賊リーグへようこそ  作者: 十七夜
3:元サッカー選手
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相棒(仮)と美少女(仮)2

前線に張っていると、もう例の畦道越えはできなくなってしまうが、それよりも彼らがつないだボールを託されてシュートを撃つときの快感の方が、ずっと大きいから構わない。

褒めてもらえること、よろこんでもらえること、どちらも所属チームでゴールを決めたときとおなじはずなのに、なぜか、湧いてくる感情が大きくちがう。

翔には、その理由が何なのかは分からなかった。


5番のアシストでもう一点奪うと、なんと、翔のマークをしに例の美少女がポジションを下げてくる。

点を取り合うより、直接翔を止めようというのだ。

守備にあまり自信のない翔ならぜったいしない選択だが、彼女には自信か、もしくはプライドがあるのだろう。


「なによそ見してんの、ヨユー?」


翔は、勇が来ていないか気になってときどきまわりを見ているのだが、昨日とおなじ畦道ではどうやら留学生たちがボールを蹴っているようだった。

小学生らしきすがたは見当たらない。


「もう一点も取らせてやんないからね!」


かわいらしいくちびるから、けんか腰のことばがぽんぽん飛び出してくる。

翔は、美少女とのマッチアップにどきどきしていた。

どのていど本気を出していいものかは分からないが、ショルダーチャージで弾き飛ばしたりしなければべつにいいだろう、そうおもって翔はボールをスペースに要求するなり、トップスピードで走り出す。

出てきたパスは、翔のそれまでのスピードに合わせてやや短かった。

仕方なく、一度止まってボールを受けた翔は、追いついきざまに足を伸ばしてくる美少女をひょい、と足裏をつかったターンで躱すと、そのままシュートを撃つ、と見せかけてキーパーも釣り、走り込んできた味方へと横パスを出す。

パスを呼ぶ声でそうかなとはおもったが、やはり翔からのパスを受けてゴールを決めたのは司だった。

翔が両手を広げて駆け寄ると、司はややためらいながらも胸に飛び込んでくる。


「ありがとう。ナイスパス」

「えへへ。俺、いつもはあんなところでパス出したりしないんだよ。でも、今のは司の声だな、とおもったら勝手に足が動いてた!」

「僕も……いつもは桃さんにボール取られちゃうことを考えて上がらないでいるんだけど、翔くんなら躱すだろうなとおもって」

「あのひと、モモさんっていうのかー」


ちら、と肩ごしに視線を投げた翔に、中指を立てたジェスチャーが返る。

あわてて翔は目をそらした。


「こわっ。躱しちゃだめだった?」

「桃さん、負けるのきらいだからよけい向かってくるんじゃないかな。いつも、望くんとバチバチやり合ってるよ。ふだんはお似合いのカップルみたいなふたりなのに。攻撃でなら桃さんも負けてないから、望くんに本気を出させる数少ない相手かもね」

「そうなの? じゃあ、オレンジとー」

「望くんなら、赤」

「そう、赤が対戦するときだったら、猿渡が本気でディフェンスしてるとこ、見られる?」


首をかしげた司が、背中の方を指さす。


「それなら、赤と黒の対戦の方がいいんじゃない? 今、校庭でやってるよ」

「いいわけないじゃん。ぜったい、ダメ」

「え。どうして?」

「どうしてって。こっちの試合、置いて行けないもん。今日こそ、オレンジに勝つんだって。俺たちで点を取り勝つんだからさー」


にぎりこぶしで力説する翔に、苦笑が返る。


「あ、そう。すっかり、うちの一員だね。ちなみに、赤とオレンジの対戦なら明日だよ」


明日かぁ、と翔はつぶやいた。

さすがに、三日連続で練習を休むのはまずいだろう。

ただ、自分が自分の成長につながると確信できる練習をしているのであれば、それがコーチの指示でなくても、場所がどこでも、べつにいいんじゃないか、とおもうきもちもあった。



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