プロローグ 女神様(妹)とご対面
まだまだ拙い文章ですがよろしくお願いします
「鈴木晃さん、貴方は残念ながら先程不幸によりお亡くなりになりました」
真っ暗い部屋に机と椅子が二つ。
そこに俺と目の前にいる相手、このシチュエーションから言うと多分女神なのだろう。
アイドルやハリウッド女優など比較にならないほどの美貌。透き通った綺麗な銀髪をしており、俗に言う黒を基調にした修道服を着ている。年齢は大体十二、三歳くらいだろうか。
その人物は俺の人生終了宣言をしておきながら微笑んでいる。もっと残念そうにしろよな!不謹慎だぞ!でも可愛いからお兄ちゃん許しちゃうぞ。
てか今この子、俺の事死んだつった?は?意味わかんないんですけど?何気に怖いこと言うな。なんで俺死んでんのに意識あんの?
疑問は溢れてくるがドッキリで実は死んでいませんでしたーという可能性も捨てきれない。いや俺ぼっちだけどさ!
一応聞き直そう。
「えっとすみませんもう一回言ってもらってもいいですか?」
「鈴木晃さん、貴方は残念ながらお亡くなりになりました」
Oh!ドルクエかよ!まんまリピート過ぎたろ!いや言い直させたの俺だけどさ。それにしたって表情も最初と全く同じなんですけど!この子絶対俺がお亡くなりになって残念がってないよ!
それはまぁいい。しかし俺死んじまったのかぁ。
案外、俺の人生あっさり終わっちまったなぁー。
俺は自分の死んだ時の事を思い出そうとするが思い出せなかった。何故だ?自分の名前も覚えてる。多分俺が死んだと思われる日の前日の日のことも覚えてる。なのに何故?思い出せない?
「一つに聞いてもいいでしょうか?」
自分でも驚くぐらい普通に話せた。俺コミュ障でぼっちで人見知りなのになー。あれ?なんか自分で言ってて悲しくなってきた。
「ふふ、いいですよ。自分死んだ理由ぐらい知りたいですもんね」
おいそこ、笑うな!不謹慎だぞ!そう叫びたい気持ちを抑え
「ええ、自分何故死んだが知らないと気持ちよく成仏できない気がしまして」
俺まじ大人!まさにアダルト対応!なんか卑猥だな……。
「貴方は、朝の通学で乗っていた高校へ向かうバスが事故にあい死んでしまいました」
え……、それだけ?ふつー過ぎない?え、いやもっとさ女の子を助けて死んだとか気づいたら体が勝手にうごいてた的な感じで死んだと思ってた。
俺の勝手な妄想でしたね。すいません。でもまあ、両親はおれが小さい頃に死んでるから両親よりちゃんと遅く死んだし、3歳上の兄もいたらしいけど行方不明になってるし、あっ、妹一人で大丈夫かな。もう最悪!未練たらたらだよ!
「で?俺はなこれから成仏して天国行くの?それとも地獄行くの?」
「えっと、貴方には天国でも地獄でもない異世界に行ってもらいたいと思います」
この子頭おかしいの?と正直おもったが自分が死んでいてこんな訳の分からん空間に閉じ込められて正直今更だと思って無理矢理納得した。
「それで、その世界はどんな世界なの?」
女神の話を要約するとこうだ。その世界では魔族の王、魔王がいてその魔王の幹部が人族の大陸に攻め込んで来ていて、人族も応戦しているが劣勢らしい。このままでは魔族と人族のパワーバランスが崩れ魔族がその世界を支配してしまう。そうなると神様サイドは何か不都合があるらしく違う世界からその世界にチートスキルを持たせてなんとかパワーバランスを保っているらしい。
「ふむ、確かにチート能力でその世界で無双するのはさぞかし気持ちいことだろう」
「で、では異世界に行ってくれるのですね!」
目をキラキラと輝かせ前のめりになりわかりやすい喜び方をする女神。
お、おい顔近いぞ、俺が勘違いして襲っちゃったらどうすんだ。俺が大人でよかったね。
しかし死ぬ可能がある以上俺は成仏して天国で過ごすんだ。第一チートでも痛いんでしょ?生きてるんだから。わざわざそんな危険を犯してまでそんなめんどくさいことしたくないね。
「まて、話を最後まで聞け。俺はそんな世界行かないぞ?」
「えっ……」
あからさまに残念がる女神。涙を目尻に浮かべながらこっちを上目遣いで見上げくる。
やめて!俺をそんな目で見ないで!お兄さん揺れちゃうから!揺れちゃうから!
「お兄ちゃん、お願い…」
「よし、俺は異世界に旅立つとするか!」
え?痛いのがいやじゃなかったの?だって?めんどくさいんじゃないの?だって?いやいやいや、こんな可愛い子泣かしたまんま成仏なんてできないでしょう!それこそ男がすたるってな。
「じゃあ晃さん、この水晶に手をかざしてください。そうすれば貴方の性格にちなんだものをスキル化、または武器化して貴方にプレゼントします」
「…………」
しかし俺は手をかざさない。
「あ、晃さん!手をかざしてください!異世界に送り出せませんよ!」
「…………」
しかし俺は手をかざさない、
「晃さん!」
「違うだろ!お兄ちゃんだろ!」
あまりの剣幕に女神がビクッとなる。何この子可愛い。お持ち帰りしてもいいかな?
「お、お兄ちゃん…。手、かざしてくれる?」
女神か首をコクンと横にかしげ少し恥じらいながら聞いてくる。こたえは勿論
「イエス!」
俺が手をかざすと体のなかに何かが流れ込んでくる感覚があった。多分チートスキルを獲得したのだろう。
「今、お兄ちゃんにお兄ちゃんが最も求めていた能力を私が出来るだけ強化してお兄ちゃんにスキルとしてプレゼントしました。後あっちの世界の言葉の読み書きはこちらでできるようにしておくのでご心配なく」
おお、読み書きの心配をしなくていいのか。それはありがたい。
先程まで立っていた床が光り出す。どうやら魔法陣が描かれていたようだ。これから異世界に送り出されるのだろう。魔法陣の光が俺を包み出す。すると徐々に俺の意識が薄れて行く。
薄れ行く意識の中、俺が最後に見たものは
「どうかお兄ちゃんが魔王を倒し私の目の前にひょっこり顔をのぞかせることを願っています。どうかご武運を」
そう呟いてこちらを微笑んで見ている女神だった。
わかってるじゃねぇか女神さんよ。お兄ちゃんちょっくら行ってくるわ!
こうして俺は異世界に旅立った。
なお晃を送り出した後の女神のため息など誰も知る由もない。
良ければ続きも見てください!