表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりあえず旅に出よう  作者: とりあえず旅に出よう
1/1

都会とのカルチャーショックってはんぱないよね

二人は少し開けた道を歩いている。辺りの草花は夜露に濡れてきらめいている。眼下に小さく見えている都を眺めつつ道を下る。マシィは途中で足を止め咲いている草花をノートに記録している。レオナルドは度々止まるたびにそれに合わせて止まってあげるのだ。「なかなかに勉強熱心なんだな。俺は草花のことはサッパリだ。」そばにある葉っぱを触りながらマシィに言う。「んー必要なことだから仕方ないよね。」淡々と書き終えるとジャケットの内ポケットから懐中時計を取り出した。「そろそろ来るころかなぁ。」その言葉の意味には見当がついた。その途端レオナルドの耳には上空からバサバサと羽ばたいてくる音が聞こえてきた。

「毎度ありがとうございます!お荷物お届けに参りましたー。」爽やかな声と共に迫力満点のドラゴンが降りてくる。

「お久しぶりりなたん。配達ありがとうねー」手を振りながら近づくマシィが見えると「え”!?またあんたなの?お久しぶりじゃないし。」顔と声を濁したショートヘアーの女の子がドラゴンから降りて荷物を運んできた。「ていうか、あんたちょくちょく頼みすぎ。それに名前も変えすぎ。」レオナルドもマシィと旅をしてまだ日が浅いものの、道中あれが必要だからとちょくちょく背中に背負っている水晶がのった杖で何やら注文しているのを知っている。「仕方ないじゃん。昨日荷物をほとんど無くしちゃったんだから。それから名前、全部ミドルネーム使ってるよ。」どんだけミドルネームあるんだよ。荷物を受け取ると流れるように中身を出していく。「いくら最近の配達業者が速いからって軽んじられては困るんですけど!」怒り気味のリナをよそに流れるように箱からバーナーとフライパン、トングを取り出し真空パックされたステーキ肉を取り出した。「ちょっと人の話を聞いているんですか!?」うんうんと頷きながら花柄割烹着を着てこの度はガスマスクは横に置き淡々とステーキ肉を焼きだした。その様子にはぁとため息をついてガクリと頭を下げるとあなたも大変そうね、と言うような目でリナはレオナルドを見た。人の様子を知らずかマシィは話しかけてくる。

「お仕事忙しいんだね。最近じゃドラゴンナイトも兼業で頑張ってるって聞いたよ。」話しながら携帯用のイスを二つ出した。少し躊躇するも先にレオナルドが座るとリナも続いて横のいすに座って話しだした。「最近は世界のほとんどが平和になってきたでしょ。お城の護衛も都の警備隊もそんなにいらないし、ほとんど男の人で埋まっているわけ。」リナは昔から城に仕えてきたドラゴンナイトの家系だ。そこまで大きな位にある家柄ではないものの代々受け継いだ家業だからとリナはドラゴンナイトをしながら配達業もしているのだそうだ。昔なら都への道中も危ないモンスターや人に襲われる危険性もあったが昨今の国々が安定して栄えると共にモンスターの討伐も盛んになり今ではモンスターの数事態少なくなっているらしい。西の一部と北の方はまだ荒れた土地があるためそちらに流れているとも聞いている。リナのように兼業をしている者は少なくない。そうでなくては今の時代は暮らすに厳しくなってきているのだ。

「都は確かに安定してるし人種のるつぼだから色んなものが溢れているのよ。だからその流れに乗らないと生きていけないの。あー過渡期ってやつかな?仕事の在り方自体考えないといけなくなるよね。」組んだ足をぷらぷらさせながらリナはどこをみるでもなく話していた。その話を聞いてそうなのかと頷くレオナルド。「あ、でもさ、れおたんみたいに剣術磨きたいからとかで昔ながらにそれ一本を探求する人もいるんだよね。」え!と驚くリナにレオナルドがあたふたする。「れおたんはね、愛と勇気の勇者をめざしてるんだよ!」かぶせて悪びれもなく話すマシィにまたまたあたふたしてしまう。リナの話を聞いて自分が場違いな人間だと恥ずかしくなったからだ。「あー、んん、まぁそういう職人肌の人もまだまだいますよね。生活に困らなければなにやったっていいわけだし。お金とかちゃんと工面してるんでしょ?」レオナルドを気遣ってリナか話を合わせた。

よくよく考えると旅のお金もその場でどうにかなるだろうと軽く思って旅を始めた。それも旅の醍醐味だろうくらいだった。でも昔と今との違いや、地方の認識の違いを今思い知らされてレオナルドは自分の考えの甘さに恥ずかしくなってしまった。「はい、ステーキできたよー!」どもっているレオナルドに被さるようにマシィが大きな声を出してリナとレオナルドはびっくりした。いつに間に四枚も焼いていたのだろう。香ばしいいい匂いにこの場に帰された。皿に綺麗にのせられたステーキがレオナルドの前に差し出される。  「あ、俺はいいよ。それお前の金で買ったものだし。」遠慮してしまう。よくよく考えれば今まで口にしたもののほとんどはマシィが用意したものだ。自分が実験体にされてる感覚だったけどなんだかんだで今も生きてるのはマシィが大丈夫なものを食べさせてたからだ。自分の不甲斐なさに元気をなくしてしまう。「え?れおたん遠慮しなくていいよ。これれおたんも協力して稼いだお金で買ったんだから。」あっけらかんとマシィがいう。俺が稼いだって?特に何もしてないけど。「ほら、れおたんいつもご飯食べてるでしょ。あれに入ってる草花の調合記録とかもお金になってるし、一緒に採取したものも売ったりしてお金になっているんだよ。気づいてなっかった?」今までの行動をちくいち気にしていなかった。マシィは俺のことも考えてあれこれしていたのか。そう思うと余計に申し訳なくなる。はい早く取って とレオナルドに渡した。それからリナにも差し出す。申し訳ないからと手をブンブン振ったがマシィにあっけらかんと渡されてリナも受け取ってしまった。横で寝ていたドラゴンの前にも差し出した。「やっぱ美味しいものはみんなで食べなきゃねー。」ふんふん笑いながらマシィが言った。

ひざの上のお皿はじんわり温かい。ふっ と軽く笑った後「じゃあ遠慮なくいただきまーす。」そう言ってリナがステーキを食べだした。それを見てレオナルドも食べることにした。ドラゴンは一口で食べてしまった。美味しいものを食べて三人はわいわい他愛もないことを話していた。そんな楽しい時間はあっという間だ。

リナはドラゴンの鞍を整えると軽快に背に乗った。そろそろ午後からの仕事に移るらしい。またね。と軽く手を振ると勢いよく上空へ飛び立ってしまった。マシィとレオナルドも支度をして歩き始めるところだ。「あの、マシィ・・。」声をかけたレオナルドに振り向くマシィ。ん?となるマシィにうまい言葉が出ない。ふふっと軽く笑うと「じゃあ出発しますかー。」いつもどおりに歩き出した。「おう、出発だな。」続いてレオナルドも歩き出す。陽はまだ高い。二人は都へと旅を続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ