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プロローグ

『○○○○○殺す』

 目の前のPCモニターには、自分の名前と共に殺害予告が並んでいる。

 原因となったのは数年前のインターネットにおける炎上騒動。

 今では自分の名前、住所などの個人情報は全てインターネット上に流出してしまっていた。

 他人の目を避けるようにして怯えながら暮らした大学時代、やっとの思いで卒業したは良いものの、インターネットで検索をかければすぐに悪評が目に入るような現状では就職など当然できず、大学を卒業してからは実家の自室で引き籠って暮らしていた。

「もう、無理だ」

 思わず諦観の言葉が口をついた。

「死のう」

 大学を卒業してから数ヶ月が経ったが、このまま生きていたところで永久に就職などできるはずもない。

 自殺だけが、自分に残された最後の親孝行に思えた。

 幸い、自分には優秀な弟がいる。親の面倒はきっと彼が見てくれることだろう。

 思い悩めば悩むほど、親に迷惑を掛ける時間も長くなっていく。決意が鈍らないうちに早く首を吊ってしまおう。

 そう考え、家にあった電化製品のコードを束ね、首吊り用の紐を作った。先が輪になるように結んだそれを、扉の通路側のドアノブに括り付け、扉の上を通すようにして部屋側にもってくれば、簡易的な首吊り装置になる。

 先の輪に自分の首を通すと、あまりの惨めさに思わず涙がこぼれた。

 けれど、これで全て終わりだ。

 覚悟を決めて体の力を抜いた。一瞬の宙に浮くような感覚、その直後に、首にかかる強い圧迫感。

 呼吸が苦しくなるとともに、意識が遠のいていった。

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