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短めです。
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檸檬の部屋では少年二人が向かい合っていた。とはいえ、今は休憩中である。
「なぁ、亨。」
「うん?」
「昼間の話だけど…。」
今度は檸檬の方が言いにくそうに呟く。だが、機嫌の良い亨は笑顔で檸檬を見た。
「何?」
「…実は、桃の肩にいた精霊、俺と契約してるんだ。」
「そうなのか?!」
「うん。桃を見守って、必要な時は俺に連絡をくれるように…。
俺も、亨に黙っていたのは同じだよな。ごめん…。」
「いや。檸檬が俺に言いにくかったのも判るし。自分がそうだったから。
でも、そんなとこも檸檬と俺、似てるよな。」
「うん。そうだな。」
「だけど。」
少し言い淀む亨に、檸檬は顔を上げた。すると亨は、悪戯ぽくニヤッと笑い返した。
「檸檬の精霊、すっごい綺麗だろ?
そうじゃなくても檸檬って女の理想が異常に高いのに、
毎日あんな綺麗な人と一緒にいたら、益々人間の女が霞んでしまうよな?!」
「大きなお世話だ。」
檸檬はちょっと膨れてみせた。だが、思い直して亨に聞く。
「そういえば、みんなとの話の腰を折りたくなくて、そのまんまにしていたんだけど、
精霊と妖精ってどう違うんだ?」
「精霊は自然現象から力を得たりその力をコントロールしたりする生き物で、
妖精は大抵植物なんだけど、個々の生命に付いている生き物って言ったら良いのかな。
だから、妖精は自分の植物が枯れることが自分の死に繋がるから、
日々の生活を営むのに必死になってる。
人間と契約なんて、そんな余裕は全く無いんだ。
逆に精霊は、自分の属性の力を司っているから、
その力と引き替えに自分の望みを叶える為、人間と契約する。」
「ふうん。」
柔軟な頭脳を持つ檸檬は、その説明を、何の抵抗もなく受け入れた。
そんな様子を見て、亨は言い足した。
「それから、見た目も違う。
精霊は属性の姿か人間の姿だけど、妖精はよくあるイラストみたいな感じ。
人間に羽が生えたような。
それに妖精は身体が小さくて、その大きさを変えることはできない。」
ああいったイラストは架空であって架空ではないということだ。
納得して檸檬は頷いた。